総合内科系緩和ケア医

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総合内科系緩和ケア医

★MISSION『その人らしい生き方を支える医療を提供する』 ★Note:緩和医療中心 ★Twitter:主に一般内科の学びを共有中 ★小さい病院でも『Generalist/Hospitalist mindでがんばるぞ!』『多くの方に緩和ケアを!』と思いながら生きてます。

最近の記事

総合医育成プログラム研修記録 ミーティング・ファシリテーション③

今回は、実際にファシリテーションをするときの質問スキルなどをまとめます。以前、上司から「タモリやさんまのようになればいい」と言われたことがあります。さすがに、「それは、ハードルが高いな…」と感じたことを覚えています。ただ、「話を回していく」ことでその場が盛り上がるので、ある意味、理想的なファシリテーターなのだろうと思っています。 1.質問のスキル参加者の「発言しよう」という意欲を高め、何について発言すればよいか参加者が迷わないように手助けします。参加者もドキドキしながら発言

    • 総合医育成プログラム研修記録 ミーティング・ファシリテーション②

      実際の会議の進め方についてです。 講義では、4つのステップ「構造化→拡散→収束→共有」が紹介されていました。個人的に学びとなった本の内容も一緒にまとめました。 1.話し合いの4ステップ講義では「構造化→拡散→収束→共有」という4ステップが紹介されました。 ①構造化:現状と目標・目的について共有する。 ②拡散:議論を広げていく。 ③収束:ペイオフマトリックスを用いて絞り込む ④共有:誰がいつまでに何をするか、を確認する ことになります。 ペイオフマトリックスは、下のようなグ

      • 総合医育成プログラム研修記録 ミーティング・ファシリテーション①

        今回は、ファシリテーションの講習でした。 話し合いの事前準備についてまとめました。 良い会議になるか否かは事前準備にかかっています! 個人的には、「ファシリテーションの教科書-組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ」が最も理解できた本です。その中の一部分を下記の通り作成しました。すべてはコレ! 1.視点、視野、視座の違いファシリテーションの根底には、物事を目の前の話し合いに集中しながら、視野を広く保ち、視点、視座を変えて議論をとらえることが必要になります。

        • 総合医育成プログラム研修記録 産婦人科① 受講:2024/2/25

          今回は産婦人科領域の研修記録です。妊婦のかかりやすい病気や薬剤、胎児被曝などの内容でした。 妊婦と薬剤・健常妊婦では、   先天異常(奇形)の自然発生率 約3%   流産の自然発生率 約15%    (妊娠・授乳と薬の知識(第2版).医学書院;2017) ・妊娠3週までは「All or None」の時期。この時期に胎児に影響がある薬剤を使用し有害な影響があった場合、受精卵が着床しないもしくは流産になる。 ・「生理が遅れた」という状況には注意が必要。既に妊娠4-5週の可能性

        総合医育成プログラム研修記録 ミーティング・ファシリテーション③

          総合医育成プログラム研修記録「仕事の教え方」研修TEAMS-BI

          「教えた」ようで教えたことにならない「教え方」は、   言って聞かせるだけ   やって見せるだけ   である。 これで学習者は成長できるのか? 答えはNO!  そのために、「教え方」を学ぶ必要がある。 「教え方」はスキルであり、修得することが可能。 TEAMS-BIとはTraining for Effective & efficient Action in Medical Service-Better Instructionの略である。これは、産業界で広く導入されている

          総合医育成プログラム研修記録「仕事の教え方」研修TEAMS-BI

          総合医育成プログラム研修記録医療運営コースDay2 受講:2024/1/7

          地域医療構想と第8次医療計画1.人口問題から見える医療課題 ・生産年齢人口の減少 ・2035年まで85歳以上人口が急増。その後概ね一定になる。 ・日本のどこの地域でも5年前後には後期高齢者のなかで85歳以上人口が最も多くなる。 ・85歳以上の外来患者数は減少し、在宅患者数、看取り数が増加。 2.第8次医療計画 ↓ 第8次医療計画@厚労省 ↓ https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000911302.pdf (1)地域医療構想

          総合医育成プログラム研修記録医療運営コースDay2 受講:2024/1/7

          総合医育成プログラム研修記録医療運営コースDay1 受講:2024/1/6

          総合医育成プログラムは、全日病と日本プライマリ・ケア連合学会の共同プログラムです。医学的な知識(一般的な内容)、医療経営、ノンテクニカルスキルの3領域を学びます。現在、Zoomで研修を受けることができます(以前は現地集合だったそうです)。座学とグループワークで学びや考えを深めます。  ※個人的な学びの記録です。 日本の医療の在り方1.医療需要の変化 ・医療は「病院完結型」から地域全体で治し支える「地域完結型」の  医療介護へ移行 ・入院患者数は増加傾向 ・85歳以上が占め

          総合医育成プログラム研修記録医療運営コースDay1 受講:2024/1/6

          緩和ケア移行期のコミュニケーションスタイル~抗がん治療中止時期にどのようなコミュニケーションがよい?~

          がん治療を行うなかで、いずれ治療効果が得られない時期がきます。このような時期には、がん治療中止と緩和ケア移行の話をします。 この話は患者さんや家族にとって「治療中止=新たな死の宣告」のような悲しい話でもあります。もちろん、がん以外の病気でも、治療を中止しなければならないときがあります。人はみな同じような話を聞くことになります。 さて、患者さんや家族にとって、好ましいコミュニケーションはあるのでしょうか? 好まれるスタイルTOP10抗がん治療中止や緩和ケア移行時のコミュニ

          緩和ケア移行期のコミュニケーションスタイル~抗がん治療中止時期にどのようなコミュニケーションがよい?~

          誰しも経験するであろう食への苦悩~悪液質と食事の工夫~

          がんの進行に伴い徐々に体重が減っていく。四肢の筋肉が減っていく。このような状況を悪液質(あくえきしつ)と言います。がんに限らずどのような病気でも生じます。病気が進行していることもあり、食べても筋肉になりません。食べようとしてもそんなにいっぱい食べることはできません。食事に関連する苦悩があります。 悪液質とは病気で筋肉量が低下する状態悪液質は、ワシントンで行われたエキスパートコンセンサス会議を経て以下のように発表されています。 要は、『病気によって身体の代謝異常が起きており

          誰しも経験するであろう食への苦悩~悪液質と食事の工夫~

          医療現場で泣くこと

          医療現場で泣くことはあるのか?それは許されるのか? ※注意※ evidenceを探しましたが、医療現場に関連したものは見当たりませんでした。もし知っている方がいれば教えていただきたいです。なお、今回は自分の不甲斐なさを痛感して悔しくて泣く、無力さで泣く、などを想定しています。遅刻して怒られて泣く、とかそんな話ではありません。 医療者は泣くの?どんな理由であれ、どんな場面であれ、涙を流す医療者はいます。もちろん泣かない医療者もいます。この辺りは他の職業の方々も同様かもしれま

          医療現場で泣くこと

          「家に帰りたい」けど帰れない3つの誤解

          入院患者さんが「帰りたい」と言っても、自分の大事にしている場所へ退院できないことがあります。大事にしている場所とは、自分の家だけでなく、長く利用していた施設のこともあります。私は、自宅に帰ることができない背景には3つの誤解があると考えています。 多くの人は最期を「家で迎えたい」と思っている亡くなる場所は時代とともに変化しています。1951年は病院9.1%、自宅82.5%、施設0%でした。2019年には病院71.3%、自宅13.6%、施設(老人ホームや老人介護保険施設など)1

          「家に帰りたい」けど帰れない3つの誤解

          死についての話・DNARの話

          医療者にとって死について話し合うことは、難しさを感じるコミュニケーションの1つです。そのため、医療者(特に主治医)は、患者さんに‘死’のことをギリギリのところまで話しません。周囲の医療者から見ると「そろそろ伝えておいた方がいいのでは?」と思っているような場面でも話していないことがあります。(もちろん、適切に話される方もいますので、すべての医療者に該当するわけではありません。) 患者さんの病気が進行したときや周囲の医療者からDNARを’取る’ように促されたときなどでなければ、

          死についての話・DNARの話

          誰しも治療中止するときがくる~そのとき医療者は~

          昨今、医療技術の進歩もあり、さまざまな治療方法があります。それでも治療の甲斐なく治療中止せざるを得ないときが訪れます。このような治療中止の話をするときは、患者さんや家族にとって非常につらいものです。もちろん、医療者にとってもつらい話になります。 治療中止は医療者の敗北!? 医療者には(本人が認識しているか否かに関わらず)「病気が治療できない=敗北である」と捉える傾向があります。ときには、無力感に苛まれることもあります。 がん患者さんの治療をしながら、抗癌剤が効かなくなった

          誰しも治療中止するときがくる~そのとき医療者は~

          【医療】患者・家族との意見の不一致への対応

          病気の治療は、患者さんと医療者との間で合意形成された上で進んでいきます。すべての医療現場でどんな時も合意形成があればよいのですが、そうでないことも経験します。 こんな場面を想像して下さい例えば、がん患者さんの場合です。 これまでさまざまな抗癌剤を用いて治療しても進行していることが分かった状況を想像してください。この時、医療者は「もう、治療できる手段はない。」「これ以上治療を続けることは無理だろう」と思うでしょう。それに対し、患者さんは「〇〇の方法が良いと聞いているから、その

          【医療】患者・家族との意見の不一致への対応

          病気の余命を伝えること

          病気の余命を伝えることは難しいです。予測することではなく、患者さんと家族に「伝えること」が難しいのです。 余命について尋ねたときに、医療者によっては「分からない」、「そんなことを考えるのはおかし」などとさまざまです。しかしながら、(本当は)目の前の患者さんの寿命がどれくらいかを漠然と感じているのです。 「1年後は生きてるかな?」 「半年後はどうかな?」 「3か月後は?」 「1か月後は?」 と自問自答していくと、どこかで「無理かも」と直感的に思います。 残念ながら「あなた

          病気の余命を伝えること

          医療現場における家族説明の心得

          基本的には病気の説明は患者さんに行います。 患者さんが、どこまで知りたいか?に応じて説明する内容を調整します。 もちろん、家族にも説明を行います。 さて、医療現場における家族説明の時にどんなことを考えているのでしょうか? 記載している内容は、多くの医療者にとって、「当たり前やな(・ω・)ノ」という内容が多いかもしれません。「そんなこと、考えんわ~」と言われる方が居られないことを祈ります(-人-;) 家族説明を行うタイミング大きく分けて2つの場面があります。 前提として、

          医療現場における家族説明の心得