冬場,乾燥期の皮膚の乾燥に伴う痒み

お正月であり,帰省されている方も多いだろう.
そこでおじいちゃんやおばあちゃんに会うと,最近身体が痒くて,みたいな話に遭遇する確率は割と高いのではないだろうか.

その場所を見せてもらうと乾燥している,特に湿疹がある訳でもない.
乾燥しているところが寒そうだ.
場所は足の脛だったり,肩だったり,背中だったりが多い.

治療されていなかったり,治療されていても近所の内科医についでに診てもらっていて,ステロイドを使用されていたりする.
そして,痒くなったら塗っているとそのおじいちゃん,おばあちゃんは言う.

そんな光景を何度も何度も見てきた.

けど,本当にその治療で良いのか.

皮膚科のガイドラインには実は治療薬の項目にステロイドの記載はない.
(皮脂欠乏症診療の手引き2021 3.1 治療薬: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/131_2255.pdf)

別の項目に一応記載はある.
皮膚に炎症の症状がみられる場合はステロイド外用薬などの抗炎症外用薬と併用して保湿剤を外用することをすすめる. 」
保湿剤による治療にもかかわらず増悪して湿疹化した場合には,ステロイド外用薬などの抗炎症薬を用いた治療を併用する. 」
「皮脂欠乏症は治療が必要であり,その治療には医療用保湿剤が重要と考えていた.また,湿疹を伴わない場合は必ずしもステロイド外用薬は併用されておらず,医療 用保湿剤単剤での治療をしているとの回答が多かった.」

要するに,炎症も湿疹もなければステロイドは不要である.

掻痒感に対して抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が処方されることはある.
しかしながら,必要不可欠な場合は致し方ないが,漫然と内服することは推奨できない.

治療はヘパリン類似物質で行われることが多い.
以前,ヒルドイド(ヘパリン類似物質)を美容感覚で求める患者が多く,問題になったことがあり,ヒルドイドは皮膚科専門医が必要と認めない限り,出せないところも出てきた.

ただ,正直患者や自分で試す限り,必ずしもヒルドイドが必要とは思わないし,今は同効薬が薬局で手軽に買える.

先述のガイドラインにも
「温まると瘙痒が生じる場合のように,瘙痒が軽度な皮脂欠乏症や,治療により寛解に至り,湿疹が再燃する可能性が低い皮脂欠乏症の場合ではセルフメディケーションで対応している医師が多く,医療費を意識していることがその主な理由の 1 つであった. そして,美容目的で医療用保湿剤を処方している医師は多くなかった.」
と記載があるが,私もこのような場合はセルフメディケーションで対応していただいてる.
また,私自身も皮膚科医に診察してもらわないといけない程悪化し,必要と判断された時以外はセルフメディケーションで対応している.

薬局で購入する際はヘパリン類似物質が0.3%含まれているものを勧める.
もちろん,症状が軽くなった場合は,安価な保湿剤に切り替えていけば良い.

参考になれば幸いである.

私自身はこちらにお世話になっている.

皮膚疾患で悩むことがあれば,こちらがわかりやすく,読みやすく,図表も豊富でお勧めである.



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