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ダサくても不器用でも「自分」を生きる『百円の恋』

※映画のネタバレを含みます。

『百円の恋』を観て思ったこと

映画『百円の恋』は、安藤サクラ演じる一子(いちこ)が、無職から脱却しボクサーになるという物語である。あらすじだけ見ると、よくありがちな逆転成功ストーリー。しかし、映画の中で描かれているのは綺麗事だけではない。

主人公である一子をはじめとして、彼女を取り囲む人たちもどこか変で、ぎこちない。

ボクシングを引退し、無気力になったボクサー
一子に執拗に絡むバツイチ子ありのコンビニバイト
コンビニの廃棄を漁りにくる元コンビニバイト
なぜか訳ありなバイトばかり雇ってしまうコンビニの店長

実際、人間はみんな不格好で、不完全だ。人生は思った通りにいかないし、自分が好きな自分で生きられない。好きな人には振られるし、好きじゃない人には好かれたりする。

けれどそんな自分でも、自分のままで生きていくしかない。でも、自分に自信がないまま、自分のことを好きになれないまま、生きていくのはとても苦しい。自分を好きになるためには、どうしたらいいのだろうか?

自分を好きになる方法

自分を好きになるための方法の一つは、自分との約束を守ることだと思う。

一子は、妹との喧嘩がきっかけとなり、家を出ることになり、初めての一人暮らしをした。そして好きな人ができたことがきっかけで、好きな人がやっていたボクシングを始めた。そこからプロテストに受かるため、自堕落な自分から脱することを決意し、必死で自分と戦う。

一子は、熱中できるものを見つけ、辛い練習でも毎日取り組み続けた。失恋しても嫌なことがあっても、怒りや悲しみを練習にぶつけた。年齢や体調など、自分に言い訳をして練習をやめることは簡単だけど、一子はそれをしなかった。そして地道な練習を積み重ね、ボクシングの技術が上達した。「練習を続ける」という自分との約束を守ることで、少しずつ自分に自信をつけていったのだ。

映画の終盤、一子はプロテストに合格し、ボクシングの試合に挑む。対戦シーンでは、胸にいろんな感情がこみ上げてきて、涙がボロボロと溢れた。彼女が血だらけになりながら戦っていたのは、対戦相手ではない。過去の彼女自身だ。

一子は、だらしなくて自分に甘い、言い訳ばかりで何の努力もしなかった過去の自分を振り切るように、パンチを繰り出す。相手からのパンチで倒れ意識が朦朧としても、よろめきながら立ち上がる。身体が限界を超えても残っている気力でリングに立ち、相手を睨みながら決死の覚悟で戦い続ける一子。殴られ続けて、顔も身体もボロボロになったその姿は、ライトを浴びて輝いていた。

一子は自分自身で努力して、自分を変えた。理想の自分になるためにはコツコツと、地道に、自分との約束を守り続けることが大事なんだと思う。自分への信頼と小さな成功体験を積み重ねていくことが重要だ。

私は今、自分のことがあまり好きではない。自分の現在の状況や、自分の性格に誇りをもてていないからだ。一子のように、自分のことを好きになれるように、まずは何から変えていこうか。

今がどんな状況でも、私たちは何だってできるし、何にでもなれる。未来を描くことを諦めない。




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