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称号を与える


この記事は、喜多川泰さんが書いた「手紙屋」 ~僕の就職活動を変えた十通の手紙~ の話を参考にしています。まだ読まれてない方はぜひ一度お読みください。

あなたは、称号を与えていますか?

あなたが出会った人すべてをあなたの味方にする魔法の方法を教えようと思います。 それは……、 相手にこうなってほしいという『称号』を与えてしまうのです。

「手紙屋」 ~僕の就職活動を変えた十通の手紙~ (2007)喜多川 泰


あなたは相手にどんな称号を与えていますか?

称号なんて与えているつもりはないんだけど・・・

と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は私たちは日頃何気ない生活の場面で相手に称号を与えているのです。

例えばこんなものがあります。

あの人は頑張り屋だなぁ。
あの人は努力家だなぁ。
あの子は最後までやり抜くことができる子だなぁ。

あの子は算数得意だなぁ。
あの子は国語の読むのがとても上手だなぁ。
あの子はすぐ怠けるなぁ。
あの子は字が汚いなぁ。
あの子は算数が苦手だな。
あの子は国語の音読が苦手だな。



ということを相手に伝えることが称号を与えるということになります。

言い方を変えてみると、ラベリング、レッテルと言うことになるかもしれません。

教室では、無意識のうちに、もしくは意識的に相手に称号を与えています。


称号は2種類ある



2種類と聞いてどんな種類に分けられると思いましたか?

相手にとって良い称号と、相手にとって悪い称号に分けるのではありません。


この種類は、相手の現状に対する称号相手のの未来に対する称号かということなのです。

上の例に挙げたものは、全て相手の現状に対する称号です。

しかし、ここで大切にしたいのは後者の称号なのです。


相手の未来に対する称号とはどのようなものなのでしょうか?


それは、相手がこういう風になってほしいという思いや願いを込めた称号です。

相手の現状に対する称号を使うとすると、どうしても人はネガティブな部分、欠けている部分、できない部分に目がいってしまいます。
そちらの方が目につくし、わかりやすいからです。

そうではなくて、相手の現状からこうなってほしいという思いを込めて称号を先に与えてしまうのです。


・あなたは絶対に約束守る人ですね。
・〇〇君あなたは絶対に時間通りに来ます。
・あなたは本当に優しい人ですね。
・あなたは時間通りに行動することができる子です。
・あなたはこの時間、自分の力でいっぱい出して頑張ばります。先生は知っています。

というように、先にズバリと相手に称号を与えます。
「先に」です。
それも今から起こる未来のことを確信めいた言い方でズバリと言います。

そうするとなぜだか人はその称号通りに行動しようとするものだそうです。

「絶対に約束を守る子だよ」と言われたら、約束を守ろうとし、
「君、優しい子だね」って言われた子は、言われて人の前では優しくなろうとする。

そういうものなのだそうなんです。


人にはあらゆる性格が備わっている。


少し話はそれますが、ここでは性格について書きます。

例えばAさんという子がいたとします。

その人が自分の前では、いつも優しい振る舞いをしているとします。

では、Aさんは優しいという性格だけをもって生きているのでしょうか。

おそらく、「そんなわけないだろう」と思うでしょう。

これは数が増えても同じです。

Aさんは優しく、正直で、真面目な性格だけをもっているのでしょうか。

そうでもなさそうです。

Aさんだって、家では怠けているかもしれませんし、嘘もついたこともあるでしょう。
兄弟がいれば自分勝手に喧嘩もしたかもしれません。

Aさんの性格に「努力ができる性格」を加えても、「恥ずかしがり屋な性格」を加えても、真面目の反対の「怠ける性格」を加えても「Aさんの性格」にたどり着けないようにも思えます。


つまり、Aさんは、あらゆる性格をもちあわせているのです。

これは誰にとっても当てはまります。

人はあらゆる性格を持ち合わせているが、あなたの前では「ある一面しか」見せていないのです。

我儘に思うあの人も。
いつも屁理屈を並べるあの人も。
会ったらすぐに喧嘩してしまうあの人も。
話すのも嫌なあの人も。


あなたの前では、そういう一面しか見せていないだけなのです。

しかし、相手にはその意識はありません。
むしろ、あなたと同じように、あなたに対して、「どうしていつもこんなに我儘なんだ」とさえ思っているかもしれません。


では、どうしてあなたの前では「その一面しか」見せられないのでしょう。


それは、あなたとの関わりであなたや周りの環境が、いろいろある感情や性格の中で「相手のその一面」を引き出しているからです。

無意識のうちに。
なぜなら、我儘だけの性格を持ち合わしている人はいないからです。

いつかの、どこかの場面では、その人も我儘ではなくなる瞬間がある。
それは、その周りの環境や人が、その人の「ある一面」を引き出しているのです。

では、どうしたら、あなたが相手のもっている性格の中であなたが欲しいものを引き出すことができるのでしょうか。


相手の欲しい称号を与える

ズバリこれです。

称号を与えることです。

それも、「相手も欲しがる称号」です。

なぜそうなるかは、本の中で記されています。

なぜなら、この世の中でその人の欲しがる称号を、思わずそうなろうと頑張ってしまうような嬉しい称号を、先に与えてくれる人なんてほとんどいないからです。
みんなが与える称号は「こうなれ」という希望を込めたものではなく、「こんなまずいところがある」という現状に対するダメ出しばかり。

「手紙屋」 ~僕の就職活動を変えた十通の手紙~ (2007)喜多川 泰

つまり、「人が欲しがる称号」を「先に」与えてくれる人が稀有な存在だということです。

称号をもらった人は、その称号通りになろうと自然と頑張る。
そうすると、自分のことをよく言ってくれた人に感謝はすれど、態度を悪くしたりはしないでしょう。

こういうわけで、
「相手が欲しがる称号を先に与えること」が相手の欲しい性格を引き出す方法なのです。


ただし、これには必要なものがあると思います。

それは、相手への本気の敬意。
これがなくては、相手を手玉に取ろうという卑しい下心があるというとこです。
相手に称号を与えて、相手の成功や成長を手助けするという気持ちでなくてはうまくいきません。
むしろ、関係が悪化するかもしれません。

関係が悪くても、本気で相手も尊敬するところを、相手の欲しい称号で表してくれる人を悪くは思わないはずです。

相手に敬意、そして希望や願いをもって、あなたに関わるあの人に称号を与えてあげましょう。

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