いんちょのつぶやき・その9
【理論の解説と実践の解説】
僕の卒業した鍼灸学校は千葉の幕張にあります。特徴として、易や東洋医学の授業があるユニークな学校です。国家資格を取るだけではなく、卒業後の鍼灸師の「厚み」を気づかせてくれる素敵な学校です。
そんな鍼灸学校の後輩にあたる方が、治療を受けに来てくれました。
20年ほどの隔たりはありますが、昨年卒業された方とは、やはり同門。
校風や授業の特徴などについて、いろいろ懐かしくも共感させていただきました。
話題は鍼灸理論や易の考え方、食の養生や「仙術(生活の知恵)」などにもおよびました。
通り一遍の理論をお話しするのは、自分の学んできた手順を追ってお伝えするのですが、実践・臨床の解説となると、さてさて、こまった。
理論を越えたところにある臨床。まず、必要な用語が存在しません。
説明するためには、お互いの共通の感覚・体験が必要になります。
都合の良いことに、そこは同門。
在学中に同じ流儀で学んできたこともあり、脈をとることや、腹に触れること、易を引用しての解説などで、共通理解が進みます。
今回の経験から、自分の臨床や養生法の組み立てを人に話すとき、易をベースにしていない(関東鍼灸専門学校以外の)鍼灸学校の方とは、共通の会話や解説は困難なのだろうと思いました。
陰陽五行をベースにした一般的な東洋医学と、じつはベースに八卦の概念がひそんでいる東洋医学では、ひとのカラダを見立てるニュアンスが異なります。
※このあたり、易をベースにした東洋医学用語などはないようなので、解説はやはりむずかしい。
東洋医学には、ひとのカラダを見立てるだけでなく、生活リズムや食生活のアドバイスをしたり、風邪の予防や症状対策をひとに授ける役割があります。その時に必要なのが「八卦」。
ひとのカラダをマクロに観ていくためには、カラダと環境との兼ね合いを見立てる必要があります。
易の宇宙観、在学中にもっとひとと語り合っておきたかったなぁと、学生時代をふり返った今回のご縁でした。
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