とある最高に堕落した日々の初日

仕事を終えて、友人の誕生日ということでいつもの酒場に。

約束はしていないけれど「きっといるよね」の予想だけで、リクエストされた紅芋タルトの大箱を抱えて吉祥寺へ向かう20時10分。

お酒を飲んでいなくても、気分が高揚していると、ちょっと浮き足立つような奇妙な気持ちになって、J-POPの懐メロをシャッフルで再生。青い珊瑚礁と、ずるい女。

向かっている最中に別の友人からLINE。

「いるよ!まだ素に近い!」

なんだそれ。と思いながら、心なしか早足。ちょっと肌寒くなってきた季節にはちょうどいい歩調。

酒場はお祝いムード。彼の定番の緑茶ハイで乾杯。

「誕生日の彼に1杯」

その言葉に群がって「じゃあ私にも」「俺も」「こっちも」「今度はあたしが出す」「じゃあこれは次の1杯で使って」「ここは僕が払うよ」って、結局主役にたくさん出させつつ、いつもの夜が更けてく。


もう1杯、もう1杯。


そう言いながら主役を囲んで、女の子がベタ惚れしてる年の差カップルの前戯を横目に、宮崎から出張で来てる妻子持ち30歳銀行員の話を聞き、酒場を自宅のキッチンとして使う塩顔男子に久しぶりの挨拶をして、19歳に見える22歳に「お酒はハタチになってから」と寒いボケをかまして、急に泣き出すメンヘラ姉さんを介抱、一晩だけ恋した男性と初めて真面目な会話をして、たまに会う常連さんが同い年だったことを知り、

気づけは、朝4時。

「30秒だけ寝るね」と言い残してしゃがみこんだ主役は、30分たっても起きない。


特別な日の、変わらない夜。


5時就寝。明日は朝から仕事が入ってる。

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