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マイクロノベル集 276「眠たすぎる人の話」

No.1526
その日は疲れてたから、電車の中で眠気に負けちゃったんだ。そうしたら。「目覚めなさい」あれぇ、どうしてこんな場所に女神様が? 「それはこっちのセリフです。電車で異世界に突っ込んでくる馬鹿がありますか」で、気がついたら車庫にいたってわけ。


No.1527
寝ずの番ってさあ、なんだか楽しそうだよね。夜が明けるまで、じ~っと監視するんでしょう? ほら見て、ご主人様が机に向かう、凜々しい姿。あんなに猫背になって。明日はシケンなんだって。「お前たち、もう寝なさい」ぼくたちも一緒に寝ずの番をします~。


No.1528
理解できる人は、一万人に一人。それでもぼくは理解したいんだ。なぜ夢の中で、お父さんがぼくのポテトチップスを食べてしまったのか。そして、なぜ現実にお母さんが食べてしまっていたのか。「夜中に他人の夢に入り込む映画を見たから」理屈がわかんないよ。


No.1529
他人の夢を作るのには飽きてきたな。美男美女は三日、憎しみと復讐は一週間で飽きた。「海が見たい」そういうのも飽きた。「ただの海じゃ嫌。自分の気持ちがわからない。恋かもしれない。そんな少女が見蕩れてしまう海が見たい」そういうのを待ってたぜ!


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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眠れない夜に

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