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マイクロノベル集 285「読んだり、降ったり、奏でたり」

No.1571
今日は低気圧のせいで体調がイマイチだな。気圧と体調は関係ない、気のせいだって言う人もいるけど、実際に元気が出ないんだもん。「そう、人間の六割は空気でできている。気圧の影響を受けるのは当たり前です」あんた誰なんだよ? 「ここ、空気悪いね」


No.1572
雨を降らせたいという願い、確かに聞き届けた。だが、我が雨乞いで願いを叶えるより先に、報酬であるアメ玉を寄越せ。「順番が逆でしょ。カエルがゲコゲコ鳴いて、雨を降らせるのが先。降ったらアメ玉をあげる」うーん、最近のこどもは賢くてやりにくいなあ。


No.1573
俺が水だと思ったか? 天を垂れて下り、山に染み込み、湧き水となって川に流れ……ここ、どこ? 「地獄ってヤツですわ。人間はサワって呼んでます」ああ、また捕まったか。大木の根から吸い上げられ、葉から天へと昇り再び舞い降りるまで、しばしの別れだ。


No.1574
新しい楽器を作ったぞ。自然を音楽に変換するんだ。こら、小僧。説明の最中に勝手に触るな。それは雨を一カ所に溜めるスイッチだ。そっちは雷で山を焼く。タイミング良く押すと燃える森が洪水で鎮火して……いいタイミングだ。なかなかのセンスだな、小僧。


※noteだけで読める、このマイクロノベル集の続きはこちら。



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