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マイクロノベルちょいす 069「ぎゃあ!」

No.1325
「一枚足りな~い」目の周りにはまるでタヌキのようなクマ。「あと十円は、一円玉で出してもいいかな?」その財布には、たくさんの葉っぱが入っている。出された小銭は獣臭くて、打ち合わせても音がしない。これはタヌキだろうな。今夜は寒いし、鍋にするか。


No.1330
珍しく雪が積もったので、小さなカマクラでも作ろうかな。「よいお住まいで」あら神様。いつの間にこちらへ? このカマクラは明日には解けてしまいますよ。「やだー。延長希望。無病息災をあげるから」翌日、カマクラはあっさり解けて、腰痛が襲ってきた。


No.1336
ふふ……お招きありがとう。あなたの趣味は完璧に把握してるんだから。あたしのデータをスマホに強制DLして埋め尽くしてあげる。あれ? どこにもアクセスできない。暗い。冷たい。ブロックされてる!? 違う、回線がしょぼいだけだわ! もっと光を!!


No.1346
この日のために特訓してきたんだ。五十メートル走。クラスで一番のあいつに、絶対追いついてやる。よーい、ドン! 好スタートだ。もしかして一番? あれ、ここはどこ? 「ようこそ、異世界最速の勇者よ。どこいくの!?」そっちを目指してたんじゃないの!


No.1351
ある日の事。ぼくが縄跳びをしていたら、雲に引っかかったみたいに消えちゃったんだ。そんな馬鹿な。そこで友達と縄跳びを何本も結んでつないで投げたら、空に引っかかって垂れ下がった。ぼくらが登り始めたとき、雲の上でお釈迦様が二重跳びを始めた。



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