見出し画像

【読書録】スキマワラシ 恩田陸

あらすじ


 白いワンピースに、麦わら帽子。
廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?

古道具店を営む兄と、ときおり古い物に秘められた“記憶”が見える弟。
ある日、ふたりはビルの解体現場で目撃された少女の噂を耳にする。
再開発予定の地方都市を舞台にした、ファンタジックミステリー。

感想

 今年の夏の文庫フェアで購入したものをようやく読み終えました。やはり恩田陸作品にはずれはないですね~。最後まで飽きることなく、楽しい読書体験でした。
 本書はファンタジーとミステリの間のようなジャンルになると思います。主軸は主人公の持つある特殊能力をきっかけに「スキマワラシ」と出会い、自分の過去と向き合っていくという内容です。この特殊能力の設定が秀逸で物語を一気にファンタジーへとしている要素でした。特殊能力といってももしかしたら本当に似たような体験をした人がいるのでは?というくらいのいい塩梅の設定で、ミステリとしても問題ないようになっていました。
 今まで読んだ恩田陸作品はいずれも主人公たちが十代のことが多く、青春要素がありましたが、本作の主人公は成人で仕事をしているという点も新鮮に感じました。若さゆえの感情の大きな動きというより、昔を思い出してノスタルジックなるシーンが多かったです。私も少し子供頃を思い出して、日々の忙しさを少しだけ忘れることができました。
 恩田陸作品は作品ごとに登場人物や舞台となる業界が違い、作品を書くためにどれほどの取材をしているのかといつも感心しています。作品を読むたびに新たな趣味の扉を開くきっかけになるところが恩田陸作品の魅力だと思います。
 今回はこの辺で終わりたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?