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【読書録】「マイノリティデザイン」 澤田智洋

概要


 コピーライターの著者は視覚障害の息子のために、新しいスポーツを開発されました。それらは「ゆるスポーツ」とよばれ、現在多くの種目が存在します。「ゆるスポーツ」のアイデアの原点は著者自身が大の運動音痴であり、どんな人でも楽しめるスポーツはないかというところから来ています。この体験から「できないことはむしろ武器になる」というのが本書の大きなメッセージです。今回はそんな本書から特に勉強になったと感じた部分を4つ紹介します!!

「苦手」「できない」は新しいルールを生み出すキッカケ

 失敗が起きるのはその人が悪いのではなく、仕組みが悪いという考え方は多くの企業で取り入れられていると思います。苦手やできないことはをできるようにするためにはルールから作る。この発想からイノベーションが生まれるのだと感じました。そして個人での発信が気軽にできる現代では、誰もがルールからコンテンツを簡単に作ることができます。苦手やできないことは克服するだけが正解ではないということを常に意識していきたいです。

マイノリティとは「社会の伸びしろ」

 弱さを伸びしろと捉える思考は常に持っておきたいです。苦しい時ほど成長していると自分に言い聞かせ、モチベーションを維持していきたいと思います。自分がマイノリティ側になった時こそチャンスだと思えるくらいポジティブになりたいです。

「弱さ」の中にこそ多様性がある

映画監督に「幸福な家族を撮ってください」とお願いしたら、ある程度似通った画になると思います。一方で、「不幸な家族を撮ってください」なら千差万別です。つまり、「弱さ」の中にこそ多様性がある。

マイノリティデザインより抜粋

  本書の中では上のような説明がされています。「マイノリティ」と一つにくくらず、一人ひとりに焦点を当てて物事を考えることが重要なのだと思いました。また弱さの中にこそ多様性があるという視点は今まで持っていませんでした。確かに優秀さのイメージはある程度共通する部分がありますが、できないことは人によって千差万別であると思います。これからは強みではなく弱みも個性であると捉え、他人と接していこうと思いました。

この怒りを他の人に、自分の大切な人に味わってほしくない

 この考え方をする人は少数派であると思います。日本人には自分が苦労してきたのだから下の世代も同じ経験をすべきだという考え方の人が多い気がします。たとえそれが組織にとって有益でないことであっても、「同じような経験」をしていることに重きを置くのが日本の文化・風習であるとさえ感じます。この文化は大勢の足並みをそろえるのに有効な反面、組織の進化を止めてしまうと思います。なので自分が嫌な経験をしたら、他の人には絶対に体験させないよう仕組みから変えることが重要だと感じた。またこの考え方が当たり前になるような社会になればもっと日本は生きやすい国になるのではないでしょうか。

さいごに

 弱さこそ武器にするという難しいものを見事に実現した事例の本であると感じた。ここまでピンチをチャンスに変えた事例はあまり聞いたことがありません。これからは「弱さのなかにこそ多様性がある」という視点を持って物事を捉えれば、面白いアイデアが浮かんでくると思いました。
最後に私の好きな歌の歌詞の一部を紹介して終わりたいと思います。

「本当は弱さは強くて 涙こそ道しるべ 
その目を離さないで さあ 次はどこへ、どこへ行こう?」

UNISON SQUARE GARDEN 「to the CIDER ROAD」 作詞作曲:田淵智也

参考文献

澤田智洋(2021)「マイノリティデザイン」ライツ社





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