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「学び直し」より「学び重ね」

 とある通信制大学の説明会に参加した。定年後を見据えて、これまでの仕事とは違う分野の「学び直し」をしたいと考えてのことだ。そこで聞いた言葉がやけに胸に響いたので、メモっておく。

 大学の方が仰っていたのは、大体こんな感じのこと。

「学び直し」という言葉は、リセットというニュアンスを込めて使われていて、学ぶ人のこれまでのキャリアを否定するみたいで好きじゃない。そうじゃなくて、これまで仕事をして積み重ねてきたものの上に、新たに学ぶんだから、「学び重ね」と呼びたい。

 これだ!と思った。

 年々、確実に「市場価値」の下がっていくシニアにとって、仕事とはまったく違う分野を年単位で学ぶ時間をとるのは冒険かもしれない。そうでなくても50代の転職は厳しい状況なのに、何かを学んだとてそう簡単に転身などできるはずもない。

 そもそも何かを勉強して分かったところで、「わかったバンザイ」で終わってしまうかもしれないのだ。「学び」を社会に何らかの貢献、還元できるようにするのは難しそうだ。 

 でも、大学の方の話を聞いていて、いや「わかったバンザイ」でもいいじゃないか、自己満足でいいと思うようになった。「ほんとはこういうのが勉強したかったんだ」というものが目の前にあるなら、とりあえずそこに頭を突っ込んでしまえと私の心の中で声が聞こえる。

 それに、たとえまったく違う分野のことを学ぶにしても、これまで社会人として学び経験してきたことは、きっとたしかな土台となる。何か活かせることがあるはず。そして、新たに学んだことと重なり合って私の人生を豊かにし、厚みのあるものにしてくれるはず。

 私の中でそんなふうに考えが傾き、背中を押してもらえた気がしている。

 

 主催者の方々は商売上手だなとは思うけれど、その熱のこもった声を聞いていると、これまでたくさんの学生を見て、社会人の「学び重ね」の意義、価値を実感しておられるのは間違いない。説明会にはたくさんの人たち、それも私と同年代かそれより上の方々が参加していたけれど、きっと私と同じようにその「学び重ね」という言葉に鼓舞されたんじゃないだろうかと思う。

 いい時間を過ごせて良かった。

 教訓。何かをしよう迷ったら、ただ頭の中で考えてうじうじ悩んでないで、そこに足を運び、そこにいる人を見て、話を聞くこと。

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