vol.11 小沢健二さんの歌詞に救われた話
「今夜はブギーバック」「ラブリー」のヒット曲で
おなじみの小沢健二さんは1993年にソロデビューして、1998年にアメリカに渡米して以来、約4年もの間、音楽活動を休止していたとwikipediaで知った。
本格的に音楽活動を再開して間もない頃に出された2019年リリースの「彗星」という曲にとてつもない衝撃を受けた私は、
それ以降、底なしのオザケンワールドにハマっていくのであった…。
小沢健二さんから「渋谷系サウンド」という一つのジャンルを知った。
90年代前半をリアルタイムで過ごせなかった私から見た"渋谷系"というのは
なんだか途方もなく明るくて、知る人ぞ知るポップカルチャーというイメージ。
小沢健二さんの歌はその中でも歌詞がとびきり難解で、且つものすごく文学的。
歌に乗せる"言葉"という意味合いより、"言葉"そのものに楽しげな歌とメロディーが乗っかってるような、独創的な歌詞がとても素敵なので紹介したい。
1997年渡米直前の「恋しくて」という曲。
曲の途中にもある通り、すごく生々しくて、取り戻すことのできない切ない恋愛と、その瞬間の尊さを描いてて。
のっけから人との関係性を"複雑なあやとり"と表現するその文学性にシビれます。
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1995年リリースの「さよならなんて云えないよ」という曲。
タイトルが示す通り、別れの曲です。
サビのフレーズ。
登場人物は"みんな"。3〜4人ぐらいかな?
ドライブ中かな?
この瞬間が続くことを祈るような別れを連想させる
ステキな言葉だなー…。
くだらないことや他愛もないことを延々と話して、
この先訪れる旅立ちや別れの予感を感じながらも
あえて口には出さない強がりな自分たち。。
私は旅行が大好きです。
大好きな自然に触れると心が癒されて、この瞬間だけは誰にも邪魔されたくない。
この瞬間を大事に、糧として生きていきたいとさえ思います。
ただ、生まれつきネガティブとして生きてきた私は、例えば2泊3日の旅行の最終日にはもう憂鬱になっています。
"もうこれで終わりか…"
"この瞬間は楽しいけど、でも次の日には仕事があってアレやらないといけないな"とか
結構早い段階で、この旅行が終わってしまう事に
寂しさを覚えてしまう…
余計なことを考えてしまう性分です。
旅行に行って、すごく楽しくて、良い経験をすると、歌詞の通り"2度と戻らない美しい日にいる"と感じる瞬間はあるけど、
でもそれはいつしか終わりを迎えて、いつもの日常に戻っていくことが分かってるから
どうせなら早いうちに心を閉ざして、別れに対する耐性をつけておこうと
"静かに心を離していく"気持ち。
色んな解釈で分かれるところだと思うけど
上記に近いような感覚を小沢健二さんは
早いうちに言語化して歌として残してくれています。
共感性のある曲はこの世にたくさんあるけれど、この別れの何とも言えない虚しさを曲として残されていることにとても救われます。
でもほんとは、「犬は吠えるがキャラバンは進む」の、
「天気読み」と「天使たちのシーン」の方が好き。
いつかこの曲について誰かとじっくり考察するそんな日が来ればいいな。
歌詞の難易度★★★★★です💧。
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