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ナカさんの寄席日記 第16回古今亭志ん陽独演会

古今亭志ん陽師匠の会、本駒込養源寺と王子北とぴあはたいてい見に行きます。どちらも地元感ある、のんびりゆったりした雰囲気が好きです。
今回のネタだしはご当地ネタで「王子の狐」。あまり聴く機会がない噺で前に聴いたのは四代目金馬師匠かな。王子稲荷は北とぴあから目と鼻の先です。そしてもう一席は「百川」。志ん陽師匠では初聴きです。
毎回チラシには掲載されいてないシークレット二つ目を楽しみにしています。たまにツイッターで検索して誰が出るか事前に知っちゃうこともありますが。。。予想が当たるかどうかも楽しみの一つです。

前座の松ぼっくりさん。ご常連さんも名前になれたのか自己紹介で笑いもなくなりましたが落語はめきめき上達してますね!饅頭怖いでした。
志ん陽師匠の落語会予約ははいまどき珍しく電話です。たいがい奥様(田畑めぐみさん)がお出になるのですが、先日かけたら若い男性が電話に出て「?!」かけ間違えたかな?と思ったのですがすぐに弟子の松ぼっくりさんかーと気が付きました(笑) ツイッターやフェイスブックで志ん陽師匠ご家族と松ぼっくりさんの愉快な日常を見ると和みます。

今回の二つ目さんはなんと柳亭市弥さんでした!なんか柳派の人が出るのって新鮮な感じ~いつもはやっぱり古今亭の人が多いから。
市弥さん、今年のNHK新人落語大賞の本選に進出しているそうです。イケメンだし市馬一門だし大賞とったら超売れっ子になるの間違いなしですね!
ネタは「のめる」でした。口跡はっきりして聴きやすい落語です。

志ん陽師匠のマクラ。この日は北とぴあ、昼間に若手の落語会があって、さらに志ん陽師匠と同じ時間帯に別のホールで柳家さん喬師匠の会もやってる、同じ施設で日に三度も落語会があるなんてすごいですね、北区。
まずは「王子の狐」。王子稲荷にまつわる噺です。実在の卵焼き屋さん、扇屋も登場します。創業はなんと1648年(慶安戌子年)だそうです!

王子と言えば飛鳥山もあります。江戸時代の花見スポットとして人気でした。王子稲荷や飛鳥山で遊んで扇屋の卵焼きを食べるというのは庶民にとって楽しい娯楽だったのでしょうね。扇屋さんの卵焼きはとても美味しいです。今は駅前に持ち帰りのみの小さなお店になっています。志ん陽師匠のおやりになる動物の噺、可愛らしいですね。狐のお玉ちゃん、師匠どちらかというとポッチャリ狸っぽいけど・・(笑)サゲの狐が穴の中でコリゴリしている様子が可愛かったです。昔は狐に化かされるなんていう事が本当にあったんでしょうかね。今でも王子稲荷の方は静かで寂れた雰囲気があります。

後半は「百川」。こちらも実在のお店です。日本橋室町の福徳神社の近くにあった料亭百川は明治初期まで営業していたのだそう。今日の二席は実在のお店シリーズかな?百川は寄席でもよく聴く噺ですが、じつは私、百川はちょっと苦手・・・百兵衛さんの田舎者の演じ方がかなり奇抜にやる人が多くて、わざとらしさが好きになれないなーと思っていました。今日の志ん陽師匠の百兵衛さん、自然な田舎者っぽさでわざとらしくなく、今まで聞いた百川の中で一番良いなと思いました。奇声を発する百川たまに見かけますが、百兵衛さんは宇宙人じゃないんで・・・(笑) 誇張にも程がありますよね。
百兵衛さんが鴨池先生に「今朝がけに四五人の若い衆が来(こ)られて」と言うところを「来(き)られて」と言ってしまい、「袈裟懸けに切られた」と間違って伝わる。私の母は福島県出身なのですが、母もたまに「来る」の変化活用形がヘンテコな言い回しをしていたことを思い出しました。キル?クル?が曖昧になることがあったのを思い出しました。落語に出てくる「田舎者」は場所を特定しないことが多いですが、百兵衛さんは東北の出身なのかもしれません。対して「棒鱈」に出てくる田舎侍の方言は九州弁っぽいですよね。田舎者が出てくる落語は楽しい噺が多くて好きです。
今日の寄席の踊りは「どもまた」でした。これは浄瑠璃の「傾城反魂香」が元ネタですね。文楽で見たことがあるので振付と歌詞も楽しめました。

志ん陽師匠の会、先月から神田明神でも新しい会が始まったそうです。次回は11月21日(土)、志ん陽師匠の落語を楽しめる機会が増えて嬉しいです!

2020/10/24 北とぴあペガサスホール
第16回古今亭志ん陽独演会

松ぼっくり 饅頭怖い
市弥 のめる
志ん陽 王子の狐 ~吃又~
 仲入り
志ん陽 百川

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