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ナカさんの寄席日記 二ツ目勉強会 やっちゃう?!

月曜の夜で寒い雨の中、お江戸両国亭に行ってきました。新しく始まった二つ目勉強会です。普段と違う地下鉄出口から出て若干道に迷いました。。。
落語協会からは林家彦三さんと三遊亭ぐんまさん。落語芸術協会からは三遊亭花金さん、昔昔亭昇さん。皆さん今年(令和2年)の春に二つ目になったばかりです。コロナ禍で昇進お披露目もままならない状況だったかと思いますが、秋になってようやく落語会も増えてきました。ピチピチの二つ目の芸を楽しみたいと思います!特に花金さんは前座時代(三遊亭金かん)から応援しています。今回はなんと「心眼」をネタおろしとのこと!これは聴きに行くしかない!!と早々と予約して楽しみに待っていました。

オープニングは4人のトークから。しきるのはぐんまさん。盛り上げているのは昇さん。その間で静かに佇んでいる花金さんと彦三さん。まったく対照的な2対2!ぐんまさん曰く「初めまして、みたいな感じの4人」だそうで、そこはかとなく漂う微妙な距離感。。。例えていえば、久々に集まった親戚の従弟達みたいな雰囲気でした。コイツ、どんな奴だっけ・・・絡んでいいのかな?みたいな(笑)ぐんまさんが1985年生まれ、あとの三人が1990年生まれ。ワチャワチャとしたトークが進んでいくうちにすっかり4人馴染んでました。各々の趣味についてのトーク、ぐんまさんプロレス、花金さん立ち食い蕎麦、彦三さん茶道、昇さんディズニーランドとキャラの違いも面白く、テンションの高低も楽しいトークでした。(カバー写真は撮影OKのスナップです)

まずは昇さんの「ぜんざい公社」。この噺は正直時代遅れ感が否めないなぁと苦手と思っていましたが、昇さんは見事に「趣味ディズニー」を生かした改作で楽しい一席になってました!一杯のぜんざいをゲットするためにお役所の窓口を駆けずり回る男、途中にディズニーのアトラクションめいたチェックポイントを通過するのですが、ハードな展開に「もう心が持たない・・・」とズタボロになりながら進んでいく様子が可笑しかったです。賑やかな芸風な人はちょっと苦手なんですが、昇さんの師匠桃太郎を尊敬している感じや、意外にも落語は丁寧だったので好印象でした!

二人目は彦三さん。「染色」という珍しい噺。二代目三遊亭円歌がやっていたくらいで、今はあまりやり手がいないようです。若旦那が出てきてちょっと色っぽい噺でした。師匠が林家正雀師匠ですから彦三さんも珍しい噺を選ばれますね。彦三さんの線の細さと若旦那の噺は似合っていると思います。女性の演じ方も丁寧で所作も綺麗です。もう少し声のトーンにメリハリが出ると噺もふくよかになりそうと思いました。芝居口調も丁寧に演じられる彦三さん、明治大正の文学にも精通しておられるようですし、他の二つ目さんとは違う路線の落語が出来ると思います、これからも期待します。

仲入り後はぐんまさんで「禁酒番屋」。実は花金さん目当てだったんだけど、ぐんまさんの禁酒番屋も楽しみだったんですよねー。というか、ぐんまさんの高座拝見するのもおそらく数年ぶり??前座の頃に高座返しの時、客席にチラリと目をやりニヤァっと笑うのが可愛らしかったぐんまさん。どんな破天荒な禁酒番屋を聴かせてくれるのか。。。高座で座布団抱えてバックドロップ決めたりするのか。。。などと勝手に想像していたら本寸法の禁酒番屋、上手でした!馬生さん型でした。新作の雄、三遊亭白鳥師匠に弟子入りして新作派なのかと思いきや、実は古典落語がやりたくて噺家になったのだそう。禁酒番屋も崩すことなくキッチリと口演されていらっしゃいました。ちょっと今までのイメージ変わりました。やっぱり実際の高座を見ないといけないですね(笑)これだけきっちり古典が出来ていれば新作だってきっと面白いと思う。寒い秋雨が降る夜の落語会なのに、なんと白い真夏の薄物の着物でした。熱い男ですね、ぐんまさん!

トリはお待ちかね花金さんの「心眼」。花金さんの前のお師匠さん、三遊亭金遊師匠が得意とされていたネタで、私は残念ながら聴く機会がありませんでした。金遊師匠といえば「心眼」と言うくらいとても素晴らしかったと、ネットに書いてあったり知り合いが言いますので、録音でもいいから聴いてみたい~と悔しい思いです。。。それならば金遊スピリットを受け継いでいるはずのお弟子さんの心眼を聴いてみようと、先日は兄弟子金の助さんの「心眼」を聴くことが出来ました。今日は花金さん、心眼ネタおろしだそうです。着物もキリっと黒紋付。トリをとるのにふさわしい、素晴らしい出来の心眼でした!この若さ、しかも二つ目になりたてでこれだけしっかりと出来たら文句なしと思います。花金さんの良さとしては端正な芸で隙のない口調で聴いていて心地よいのですが、綺麗すぎて透明度高すぎるので、逆に少し泥臭いところがあると奥深さが出るかなと思いました。ネタおろしとは思えない完成度でした。5年後10年後とどう進化するのかとても楽しみな花金さん。ちなみに兄弟子の金の助さんの心眼を聴いた時の感想はコチラです。

個性様々、しかも協会が違う4人の会と言うのも珍しいと思います。若者の進歩って本当に早いから、半年や一年見ないでいるとビックリするくらい上手くなる人もいるので、こういう会もたまには足を運びたいと思います。次回は12月21日㈪お江戸両国亭。来年からは神保町らくごカフェだそうです。

2020.10.19
お江戸両国亭
昔昔亭昇「ぜんざい公社」
林家彦三「染色(そめいろ)」
三遊亭ぐんま「禁酒番屋」
三遊亭花金「心眼」

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