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ナカさんの読書記録 「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」吉村昭 著

私としては珍しく大河ドラマ「青天を衝け」熱心に見ています。その中でも平田満さんが演じる川路聖謨に興味を持ちました。遭難したロシア船の救助活動の指揮をとる姿がカッコよかった!ドキュメンタリー小説を数多く書いている吉村昭さんの著書の中にこの川路聖謨の小説がありましたのでさっそく読んでみることにしました。吉村昭さんの格調高い文章が好きです。
文庫版で上下巻読みましたが、とにかく川路は歩く歩く!江戸から長崎へ、江戸から下田へ、特に上巻は歩いてる描写が多いです。江戸時代ですから歩くしかないですよね。毎日素振りで鍛えている川路、気力体力で駕籠にも乗らずもの雨風の中寒さも堪え歩く!そのくらいタフでないと勘定奉行は務まらないのでしょう。人柄も質素で実直、上司からも部下からも信頼が厚く、折衝能力も高い。それでいて冗談を言ったりする柔らかさも持ち合わせた川路の人物像が良く描かれています。ロシア人プチャーチンとの長きにわたる交渉の中に厚い信頼関係が結ばれたのも川路の人柄ならではでしょう。
川路聖謨のような清廉潔白で鋼のような心を持った武士がいたからこそ、混乱の幕末を乗り越えて今の世の中があるのかもと思いました。今の政治家はどうでしょうか?川路のような人はもう現れないかな。そして壮絶な最後を遂げた川路聖謨。お墓は台東区池之端にあるそうです。近いのでお参りに行ってこようかな。川路邸は水戸徳川家の上屋敷(今の小石川後楽園)のすぐ近くにあったそう。大河ドラマ「青天を衝け」はもう京都に舞台が移ってしまったので川路聖謨は登場しません。川路と平岡円四郎の江戸弁の会話を楽しみにしていたのになぁ。ちなみに江戸弁指導は噺家の柳亭左龍師匠です。
私は川路聖謨が好きなのか、平田満さんが好きなのか?どっちもかな😀

2021.4

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