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ベンツGクラスに乗る経営者が多いのには合理的な理由がある【M&A日記】

ベンツGクラス(ゲレンデ)に乗っている経営者が多い印象はないだろうか。

所有者にはいろいろな人がいると思うが、経営者の割合は少なくないと思う。
仕事柄、決算書を年間になん十本も見るが、資産にGクラスが入っていることがやはり少なくないのだ。

何故Gクラスに乗る経営者が多いのか。

車として優秀、カッコいい、ステータス、モテるなど、いち車として人気が出るべくして出る要素は当然にあるが、もう一つ大きな要因がある。

それは節税。

事業用に使用する車であれば、法人で取得した車両の償却費は税務上の損金として認められる。
車の購入額分だけ利益を減らすことができるので、その分税金の支払いが減る。
課税対象利益が1億円、税金が30%とすると、支払う税金は3000万円。
しかし、2000万円の車を購入して、これを全額損金に入れられたとすると、課税対象利益は8000万円となり、税金は2400万円。
600万円税金が少なくなる。

これだけを見れば、車買うのめっちゃお得だ!となるが、別途車の資産性を考慮する必要がある。

2000万円で車を買って、600万円税金を縮小したとする。
しかし、その車の価値が1年後に1000万円に落ちてしまっていたら、差し引き400万円損したことになる。

もちろん車を1年使っている訳で、それに一定のコストがかかって当然ではあるものの、1年で1000万のコストはしんどい。
なので、できれば資産性の高い車、価格が落ちづらい車を買いたい。

ここでベンツGクラスが出てくるのだ。
ベンツGクラスはとても人気車種=資産性が高い。

走行距離や状態にもちろん依るが、1年経っても10%程度しか資産性が落ちない。
ということは、先の例だと、2000万円で購入して600万円税金が減少し、車の価値も1800万円ぐらいのままなので、差し引きしても400万円得した状態となる。

また、価格が高いということも重要だ。
500万円の車では、節税効果は小さい。
Gクラスは中古でも1000万以上するものが多いし、高いものでは2000万円を超えてくる。
高ければ、その分だけ節税効果も大きくなる。

あくまで節税の話なので、それ相応の利益を出している会社が前提にはなる。
利益をたくさん出しているとして、個人の報酬を増やしても税金が高くなる一方なので、効果的に節税して法人にお金を残していくのが望ましい。

また、自動車の償却は新車の場合は6年なので、2000万円で買っても、÷6≒330万円しか1年で償却=損金算入できない。
しかし、中古車を買うと償却期間が短くなる。
特に3年10か月を経過した中古車は、12か月で償却可能なので、年度初めに購入すれば、1期で全額償却することが可能となる。

なので、経営者が乗っているベンツGクラスは中古車であることが多いかもしれない。

M&Aでは、資産は基本的に時価換算して評価する。
なので、帳簿上は2000万円でも、時価が1000万円なら1000万円評価が下がることになるし、逆に帳簿が1円でも時価が1000万円なら、評価が約1000万円上がることになる。

資産性の高い車、即ちGクラスに乗っていることは、M&Aにおいても評価上優位に働く。

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