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譲渡経験者のアドバイスを鵜呑みにしない【M&A日記】

会社を譲渡したことのある経営者がだいぶ多くなった。
毎年、数千件のM&Aが実施されているはずなので、その分だけ会社を譲渡したことのある経営者が延べ数で増えていることになる。

少なからず経営者との繋がりのある方であれば、一人ぐらいは譲渡したという人がお知り合いにもいるのではないだろうか。

身近な譲渡経験者は、M&Aを考え始めた経営者にとっては相談しやすい相手になるはず。
なので、私のようなM&A会社や会計士等の士業や、あるいは銀行などではなく、まずは譲渡経験者に相談するという流れがある。

有難いことに、そのように相談にのった譲渡経験経営者が、当社を紹介してくださる。
当社の顧客発掘ルートは100%紹介で、一部法人間のビジネス連携もあるが、殆どは過去に支援した経営者からのご紹介だ。

さて、ご相談頂く経営者だが、時に我々専門家よりも、譲渡経験のある経営者のことを信用するという方がいる。
M&A会社は、お客様のことよりも自分たちのことを優先することがあると疑われてしまっている印象。
そういうM&A会社もいるのだろう。

確かにそういうM&A会社であれば、信用して任せるというのは難しいかもしれない。
なので、入り口の段階で、信じて任せられるM&A会社をまずはちゃんと選んでほしい。

その前提で、セカンドオピニオンは賛成。
しかし、譲渡経験者ではなく、他のM&Aの専門家に相談されることをお勧めする。

大事だと思っているのは、M&Aの経験値。
会計士や弁護士は専門家っぽいかもしれないが、士業であってもM&A経験値の浅い方はあまりお勧めしない。
譲渡経験者はこの理屈で言うと、1回しか経験していないという方が殆どなので、経験値は決して多くない。

M&Aは全て基本的にオーダーメイド。
相手が変わればその過程は大きく変わるし、目的によってM&Aの方法も変わるし、規模が変われば全然違うし、とにかく1件1件が全然違う。
なので、経験値が多いほどに、いろいろなケースを想定したアドバイスや支援ができる。

譲渡経験者が譲渡した相手と、今回自身が譲渡しようとしている相手は全く違う相手。
目的も違うだろうし、条件面も恐らく全然違う。
譲渡経験者が仮にとても魅力的な条件を得ていたとしても、それはその時の話であり、自身にもそれを当てはめられるかどうかは、異なる前提条件を踏まえて判断しないといけない。

なので、譲渡経験者の話はあくまで参考程度とし、本当に相談したいのであれば、経験豊富なプロフェッショナルに相談されることをお勧めする。


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