見出し画像

雑学note【第22回】コップは英語でグラス……? じゃあコップって何語?

日本人には夏、コップに麦茶を注いで飲む習性がある。

コップ……。英語でコップのことを言うときは、「コップ」だと伝わらないから、「グラス」と置き換えて表現する必要があると習った。

じゃあコップなんて言わずに、日本でも「グラス」って最初から言えばいいのに。まあ、言うこともあるけど……でも、「グラスで麦茶を飲んでます」だと、なんだか豪邸に住んでいる人みたいだ。我々一般庶民が麦茶を入れるのはやっぱり「コップ」であるべきだ。

じゃあ、なんで日本人は「グラス」のことを「コップ」って読んでいるの? 「コップ」って何? 何語?

調べてみると、どうやら、日本では、江戸時代にオランダからガラス製の飲み物容器が伝わったらしく、オランダ語の「kop」を語源としているようだ。

オランダ語の「kop」は、英語の「カップ(cup)」と起源が同じ言葉。飲み物などを入れる容器を指す言葉なのだけど、ガラス製の、英語で「glass」と呼ばれているようなものが、先にオランダから「kop」として伝わったため、麦茶を飲むためのそれは、日本では主に「コップ」と呼ばれている。

日本で一般的にコップと言えば、主にガラス製で取っ手がないものを指すし、カップと言えば、主に陶器製で取っ手があるものだ。だが、英語では取っ手があってもなくても、素材が何であれ、一応「cup」の範疇。その中で取っ手のないガラスでできているものを「glass」と呼び分けている。

日本でも、「グラス」「コップ」「カップ」など呼び方は厳密に区別されているわけではないし、ちょっとややこしいことになっているけど、それまでなかったものがカタカナ語として定着するという流れから考えると、多少わかりやすくなるだろう。

飲み物を飲むための容器は元々日本にもあったはず(「杯」とか「湯飲み」とか)。だから似たものが外国から入ってきても「杯」などに翻訳されるだけにとどまる。

だけど、大きく違う物が入ってくれば、別の呼び方をする必要が出てくる。

「ぐい飲みっぽいけど、ガラスでできてる。こんなのは日本にはなかったぞ」→「コップっていうらしい」→「じゃあそういう物のことをコップと呼ぼう」

「取っ手があるやつは今までなかったぞ」→「カップっていうらしい」→「じゃあ、こういう取っ手の付いているやつはカップと呼ぼう」

みたいな感じで、日本語として定着していったことが想像できる。

コップを「glass」と訳し続ける限り、英語圏の人に、麦茶を「グラス」ではなく「コップ」で飲むという庶民感覚は、伝わらないのである。

主な参考文献
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97
http://chigai.soudesune.net/cup.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?