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最高だった情報法制-NFI合同シンポジウム in Kyoto

情報法制-NFI合同シンポジウム in Kyoto
、なんと、森田朗先生が登壇されるということで、京都大学へ。予想より遅くなって、結局対面は懇親会だけだったんですが、聞きたい内容は全部オンラインで聞けました。オンラインはwebexで、実はアメリカで使ってた時は古いパソコンでよく落ちてイメージ悪かったんですが、最近改善したのか、すごく見易くて、iPhoneの古いのにもかかわらず全く問題なかったです。これは見直しました。
更に内容が素晴らしかったです。ホント京大病院教授の黒田 知宏先生の報告最高。ほんと法律と技術と背後の体系、更に現場をわかっている人って本当重要ですね。いやあ、聴いてて全部ツボでした。

先ず、西陣織の織元の後継だったそうで、その技法がパンチカードベースだったので、家を継がずに情報系の分野に進んだとのこと(https://okamotoorimono.com/hello/hello2/)。リヨンの折職人が考案したのを西陣の職人に勉強させて西陣の織り機にも導入させたそうですが、こんなすごいものがあるんですね。情報の教科書には載ってるそうですがまさにデジタルの源流ですやん。

実はこれだけで十分聞いた甲斐があったレベルだったんですが、次に衝撃だったのは、北欧の電子処方箋の普及。理由は、リフィルを患者のクリックと医者のクリックでサインなしでできるようにした。医者がクリックしたかどうかは病院のログでわかるのでサインなし。サインなしでもリフィルできるようにして、電子処方箋が広まったそうです。なるほど。日本だと電子処方箋でインターネット販売解禁を恐れて全然進まない気が。

次に臨場感溢れる話。システムのバグで、個人情報が漏れちゃったそうですが、実は個人にまで被害が及ばない次元での漏洩で、データ加工はやり直しですが、個人の情報は全く漏れてなかった。なので、漏洩させた病院の公表とかはする必要なくて、内閣府もしなくていいと言ったのに、当局が漏洩した病院全部公開して、加重罰則にした。それで更にデータ利用が進まなくなった。

更に、医療情報の利用は、匿名加工のみ、データを集められるのは認定事業者のみ、通知をしないと使えない。という問題があり、現在それを緩和中。ただ、それでも通知をしないといけないのがネック。まあ、難しいですよね。関連の詐欺も出るだろうし、家族に漏れる方が問題だし、ということで、修正するように尽力されているそうですが、融通全然聞かなくて大変だそうです。

ここからは20年来お世話になって来た森田朗先生の懇親会での話を経済学的に解釈したものです。インセンティブ規制を導入するとクオリティが落ちるので、それを防ぐために情報の非対称性を解消する方向にする必要があり、そのために非常に詳細な医療情報の公開が必要になってきているというのが英国の最新事情だそうです。それでなくても医療技術が高度になれば、必要になる医療情報も高度になって、どんどん公開して利用しないといけないはずだけど、日本は....

以上むっちゃ府に落ちた黒田先生と懇親会での森田先生の補足でした。

本当経済学者もどんどんこういう分野で介入できる実力つけた人が増えてきているので、どんどんコラボして欲しいです。やっぱりトレードオフとか(経済的な意味での)比例原則がわかってくれる人とコラボするのがこの国のいろいろな桎梏を打破するのに本当に必要。

そして、森田先生も黒田先生も切磋琢磨されておられるし、切磋琢磨する環境に直面するのが若さを保つ秘訣なのかなあというのが最後の余計なことでした(ホント森田先生お会いするのは5年ぶりくらいですが、ますますご健勝で)。森田先生からはこれまで様々に勉強させていただいておりますが、今日はその中でも一番勉強になったレベルです。本当にありがとうございました。

13:30-13:35 開会挨拶
 森田 朗 NFI所長/代表理事・東京大学名誉教授
13:35-14:35 
 講演1「我々は何を為すべきか ー北欧を鏡に日本の医療IT政策を顧みる」
 黒田 知宏 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授
14:35-15:35 
 講演2「医療DX後進国からの脱却? :ドイツの最新立法の紹介」
 山田 哲史 京都大学大学院法学研究科教授
15:35-15:50 休憩(15分)
15:50-17:30 パネルディスカッション(100分)
 司会:曽我部 真裕 京都大学大学院法学研究科教授・JILIS副理事長・NFI 研究主監
 ・黒田 知宏 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授
 ・山田 哲史 京都大学大学院法学研究科教授
 ・森田 朗 NFI所長/代表理事・東京大学名誉教授
17:30-17:35 閉会挨拶
 鈴木 正朝 JILIS所長/理事長・新潟大学法学部教授

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