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熱燗文化をより手軽に~「コンビニで熱々の日本酒、全国で発売へ 新技術で実現」【読み出し無料】(朝日デジタル)~

1.はじめに

秋分を過ぎてから、肌寒い日があります。こういう時、温めた日本酒。熱燗という方法で温めたお酒で、燗酒(かんしゅ)と呼ぶらしいです。それを徳利でお猪口に入れ、くいっと飲みたいなぁ、と私の院生時代のお酒好きな方々は仰っておられました。

ところで、皆さんは日本酒、お好きですか?

においのお話で告白したように、私は薬品アルコールのにおいが苦手なせいか、飲めるほうのお酒も、においが苦手です。特に、においの強いタイプの日本酒は、舐めるくらいのため、年始のお屠蘇の残りは、家族に飲んでもらっていたこともありました。梅酒やカクテルなど、飲みやすいお酒はありますが、お祝いの席、それから、秋冬の夜の居酒屋では、やはり、私も熱燗を分けて日本酒を味わいたい!と感じたことがあります。

今回は、熱燗ファンの方には朗報かもしれません。兵庫県西宮市の酒造メーカーが新技術を使って、全国のコンビニで熱々の日本酒を販売するニュースがありました。

「コンビニで熱々の日本酒、全国で発売へ 新技術で実現」(朝日新聞デジタル、2017年9月25日19時26分、http://www.asahi.com/amp/articles/ASK9T51F7K9TULFA01K.html )

ということで、本記事では、コンビニで熱々の日本酒を販売することが可能になった「新技術」を紹介します。加えて、その将来、酒造メーカーが目指しているのは何なのか、コンビニで熱燗にした「燗酒」が買えるようになれば、日本の食卓でのお酒の楽しみ方はどう変わるのか、といったことについても、考えてみたいと思います。

2.「コンビニで熱々の日本酒、全国で発売へ 新技術で実現」(朝日新聞デジタル)で知る燗酒のこと

 2ー1.ニュースの概要
最初に、今回の報道内容のさわりを確認しておきましょう。

コンビニで熱々の日本酒、全国で発売へ 新技術で実現
植松佳香 2017年9月25日19時26分

 ありそうでなかったホット販売専用の日本酒が、10月2日から全国のコンビニや駅の売店などで売り出される。25日、日本盛(兵庫県西宮市)が発表した。日本酒は温めると品質がどんどん落ちるが、同社が新技術で克服。温かいお茶やコーヒーなどと一緒に燗(かん)酒が並ぶようになる。
(「コンビニで熱々の日本酒、全国で発売へ 新技術で実現」(朝日デジタル))” 

日本酒に詳しくない私は、熱を加えて温めてしまうと、日本酒の品質が下がってしまうという事実を、このニュースで初めて知りました。それゆえ、日本酒の熱燗というと、サラリーマンが仕事帰りに居酒屋に立ち寄り、温めた酒の一瞬を楽しむところに、価値があったのかな?と気づきました。つまり、熱燗のお酒は、少し日常とは距離のある特別な価値を持つお酒だったということです。

既存の熱燗のお酒イメージに対して、酒造メーカーの日本盛が「 新技術で克服。温かいお茶やコーヒーなどと一緒に燗(かん)酒が並ぶようになる」レベルに、燗酒の敷居を低くしようとしているようです。ある意味、ビール感覚で、より日常的に熱燗のお酒を飲めるようにして、熱燗による日本酒のシェア拡大を狙っていることが窺えます。

さて、これまで日本酒は温めると品質が落ちるという説明がありました。それは一体、どういうメカニズムにより、その品質の低下はどんな新技術によって克服され、商品「燗酒」は誕生したのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

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