【簡単解説】徒手からつなげる段階的な介入方法!
パフォーマンスピラミッドという大枠は前回説明しました。
今回はそれぞれのゾーンでは具体的にどんなことに焦点を当てて介入しているのかについて、サラッと解説してみます。
まず重力に抗して動くための準備『Isolate』
パフォーマンスピラミッドの一番土台となるのがファンデーション・ゾーンでしたね。
このゾーンでやるべきことをざっくり言うと
・柔性、可動性
・神経、筋・筋膜反射
・固有感覚
を調整することになります。
そして、第1のテーマは『Isolate』といって、分離した・孤立した運動を獲得しましょう。
Isolateでは、まずはどこの部位でも体重や重さがかかってない状態で「痛み」や「違和感」がないこと。
足首であれ、股関節であれ、肩であれ。
単独で動かした時に不調がない状態を目指します。
はじめはMobilityの獲得、次に神経・筋/筋膜反射の調整や固有感覚活性の獲得です。
状況に応じて、徒手療法から入っていって徐々に自動運動へと移行していくのも良いでしょう。
この時、筋膜の問題であれば筋膜へ、関節の問題であれば関節へ、筋肉の長さや硬さであれば筋肉へアプローチする必要があり、問題に合ったアプローチを選択し実践しかなければなりません。
どこにどんな問題があるのかきちんと評価して、対応できる知識と技術が必要です。
そして動かせる範囲が増えてきたら、単関節(単部位)で力発揮がきちんとできるようにしていきます。
単関節筋の力の量だけでなく力の入る理想的なタイミングもしっかりと評価して獲得できるようにしていきましょう!
例)
①股関節の伸展の可動域が他動で15〜20° 獲得
②股関節伸展が自動でも15°〜20° 獲得(臀筋しっかり収縮入ってるし、タイミングもバッチリ、MMTは5!)
重力環境で運動するかの瀬戸際『Innervate』
単関節や単部位での動きが問題なくなれば、多関節や他部位を同時に動かす運動へと発展させていくのが『Innervate』になります。
日本語では、"神経を行き渡らせる"というような意味を含んでいるとか。
重力環境で動くためには多関節が連動して、そして協調して動くことが条件です。
ただし、重力環境でなくても多関節を連動させて動かすシチュエーションは多いので、Innervateはファンデーション・ゾーンとパフォーマンス・ゾーンをつなぐテーマとなります。
体重が加わっていない状況や部分的に加わっている状況で痛みや不調なく多部位を協調して動かせるようになれば、体重をかける運動でより日常生活やスポーツ動作に近い応用的な運動へと発展させていきましょう。
例)
③コアを安定させながら膝伸展位での股関節伸展で臀筋・ハムストリングス・下腿三頭筋を同時に使う練習!(姿勢は腹臥位・側臥位・仰臥位➡四つ這い)
④片膝立ち➡片膝立ちから立ち上がるとか、座位から立ち上がるとか(この時、脛骨に対して大腿骨を乗せていくイメージ大事ね!)
走る動作の前段階のイメージであれば・・・
⑤壁押しながらトリプル・フレクション(足背屈-膝屈曲-股屈曲)からのトリプル・エクステンション(足底屈-膝伸展-股伸展)※Isolate〜Innervate前半がパフォーマンス・ピラミッドでいうファンデーション・ゾーンにあたります。
全身をつなげる『Integrate』
Innervateのイメージはあくまで、「コア+上半身」や「コア+下半身」です。
そのため『Integrate』では、コア+上・下肢になり、より統合された動きの獲得を目指します。
今までは部分と部分をつなげる形になっていましたが、ここでは全身運動がメインになります。
簡単➡複雑といった感じでしょうか。
体重をかけなくても全身をつなげる運動はたくさんありますが、強度と複雑さも含めている点で立った状態での運動ということにしましょうw
例)
⑥壁から離れて実際に走る動作をイメージして、腕振りと⑤の動作を連動させる
※Innnervate後半〜Integrateがパフォーマンス・ゾーンと連動しているイメージです
より生活や競技に沿った『Specific』
最後は、よりリアルな生活状況に即した、または競技シチューションに即した運動になります。
「走る」動きであっても種目によって特異性があります。
短距離と中長距離では腕や脚の回転も違うし、競技によって走る路面の形状も違うでしょう。
ここでは、よりその競技に即した動きをトレーニングしていきます。
例)
⑦短距離走であれば腕振りと脚の回転を速めながらダッシュの練習、球技ならボールを持ちながらの走動作やボールがない状況で想定される走動作
※文字に表すのが難しいですが、パフォーマンス・ピラミッドではスキル・ゾーンにあたります。
どこで行き詰まっているかを考える
目標としている所があったとして、そこに向かって段階的にかつ適切な方法で導くためには、目の前のクライアントさまの状況が「どこで行き詰まっているか」を考える必要があります。
時期が来たからと行って、勝手にできるようになる(可動域が戻ったり筋力が戻ったり)ことはありません。
そのため、パフォーマンス・ピラミッドや段階的な介入(Isolate〜Specificまでの流れ)のイメージはセラピスト〜パフォーマンスコーチにおける動きに関わるすべてのヒトが共通して認識しておいてほしいなと思います。
ですが・・・
勘違いしてほしくないのは、すべて1人で指導できるようになる必要はないということ!
むしろ、それは自分が何もので何を専門に仕事をするかをわからなくする大きな要因にもなります。
もちろん1人職場であったり、興味がある分野であればどんどん取り入れて行けばいいと思いますが、各ゾーンや各段階ではそれぞれの専門家がいるので、難しいなと思ったら任せられる関係性や人脈は作っておくことをオススメします。
私としては大まかな流れを掴み、多少はオーバラップして知識や技術を蓄えておいたほうが各専門家と情報を共有できる部分が多くなるので、知っておいて損はないと思います!
なので、今、目の前のクライアントさんがどこで行き詰まっているか、セラピストとしてどこを提供できていないのか?を知るために、今回のnoteをご活用いただければと幸いです。
なかむぅ
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