コントラスト
春という季節がすきだ。
こどもの頃から季節の中では秋がいちばんすきだったのだけど、ここ最近は春という季節に魅せられている。
花が咲き、鳥が歌い、陽のひかりはやわらかく、街が色とりどりに染まってゆく。
瞳にその風景が映る瞬間、世界で起きていることなど忘れてしまうほど、それはとてもうつくしい。
2020年の春。
ことしも春はいつも通りやってきた。ただその裏側で、世界中が今まで経験したことのない混沌の中にある。
わたしは部屋の窓からそとを眺めることが多くなった。
できることは身をひそめること。
それが終息への道をつくるのだと信じたい。
ゆく先の不安があたまをもたげるとき、色とりどりの世界がまだあることをたしかめるように、窓のそとに視線を移す。
ふたつの世界が織りなすコントラストの中で
折り合いをつける日々を過ごしている。
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