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フリーランスのためのマーケティング術。

すべてのフリーランスに捧ぐ。

どんな職種であっても、誰であっても必要な技術。
そして誰しもが学ぶべき知識。

それは、マーケティングだ。


必要なのはセールスではなく、マーケティングだ。

セールスとマーケティング。「それは同じじゃないの?」と思った人もいるでしょう。書店でビジネス書をパラパラと見ても、その2つの言葉が同義語のように扱われていることも多いから余計にそう思うのかもしれません。
一般的には使い分けこそしているケースはあるけど、ほぼ同じ意味で捉えている人も多いでしょう。

それでも私は「セールスとマーケティングは違う」と明確に言います。
まずはその違いから書いていくとしましょう。


セールスとマーケティングの違い。

一般的に「セールス」とは「何かを販売すること」だと捉えられています。
言葉の意味として間違ってはいないけど、これだと少し大雑把な解釈だと私は感じます。

私のいうセールスとは、
売り込みをして買ってもらえるようにクロージングすること」です。

つまり「セールス」という言葉のほとんどは「クロージング」という行動で表されると言ってもいいと思うわけです。
目の前にいる「見込み客」に、自分の扱う商品やサービスを一生懸命にアピールして、その人の「じゃあ買います」と言う言葉を引き出す活動。
それが一般的なクロージング活動です。

だから売れるセールスマンのイメージは「話が上手い」「聞き上手」「明るく元気」「勢いがある」というように想像されやすいのです。
ある意味「説得力」と「押し切る強さ」が必要なのですね。


一方で「マーケティング」という言葉にはいろんな解釈があります。
販売活動のひとつであることは間違いないのだけど、販売そのもののことでもない。プロモーションや販売促進活動もマーケティングの一部分なのかもしれないけどイコールではない。

それでは「マーケティング」とは一体何か。

マーケティングとは、
それ(あなたの扱う商品やサービス)を必要とする人たちを、あなたの目の前に連れてくる活動」のことです。

マーケティングは「販売すること」ではないのです。
マーケティングとは「販売すべく人たちを集めて連れてくること」です。

あなたの商品の存在を知らない人たちにそれを「知ってもらい」、
その情報によってその人が「興味・関心を抱き」、自らの意思であなたの目の前に現れる。
そこまでがマーケティングです。
そこから先は「セールス」になっていくのです。

まとめると、
それを必要としている人を目の前まで連れてくるのが「マーケティング」。
目の前まで連れてきた人をクロージングするのが「セールス」ということです。

例えば、あなたが個人事業の飲食店経営者だとしましょう。
あなたのマーケティング活動は、「お腹の空いた人」「食事を取ろうとしている人」を店の前まで連れてくることだということです。

それで店の前まで来てくれたとして、その人は店に入ってくれるでしょうか。それはわかりませんよね。食べたかったものとは違うかもしれないし、そもそもその料理は好きじゃないかもしれない。

そこで必要になるのがセールス。つまりクロージングなのです。


セールスとは売り込みだけじゃない。

先の飲食店の例を続けると、店の前まで来た人の入店をクロージングするときに「言葉以外の方法」もあります。
例えば「におい」。美味しそうな香ばしい調理中に出る匂いを店の外で嗅いだその人は食べたくなって店に入店する。するかしないかという結果の話がしたいのではなく、意図的にそれをクロージングのひとつとして機能させるというところが重要です。

もちろんその他に言葉のクロージングもあるでしょう。
「今ならお席が空いているのですぐに食べられますよ」とか。

つまりクロージングとは、説得することばかりではないということです。
マーケティングによって連れてきた見込み客が、自分の意思で「買う」という選択をするように仕掛ける。それこそが本質的なクロージングなのです。


フリーランスのマーケティング。

フリーランスとして仕事をする人が増えています。
私個人的にはその現象をいいことだと捉えていますが、一方で小規模事業者が増えていくことによって市場の奪い合いが激化するとの見方もあります。

多額の開発費を投じる大手企業や、設備投資できる中小企業と比べて
フリーランスは低投資で実になるビジネスをしていく必要があるでしょう。
その場合、自分と同じような商品やサービスを扱う他者(他社)が増えていきます。

例えばフリーランスの税理士さん。
事業者の税務会計を任せられる税理士は東京だけで 23,756人います。
もう競合だらけです。もうどうやって新規顧客を獲得していくのか、わからなくなりますね。
それが税理士さんだけでなく、ほとんどのフリーランスは似たような状況になっているのです。競合だらけの中でどうやって食っていくのか。

それを可能にする方法があるとしたらそれは「マーケティング」です。
先の税理士さんの例でいうと、もし知人が「私の友人が税理士を探しているらしいから会ってくれないか」と言われたらどうでしょう。
かなりの確率で成約できるのではないでしょうか。
しかしその「知人の紹介」は完全に受け身です。こちらの意思ではなく突然降ってくるラッキーのようなもの。そればかりを当てにしていてはビジネスが成り立たないでしょう。

だからこそ「マーケティング」を仕掛けるのです。
マーケティングによって、コンスタントに「目の前にあなたを必要としている人」を連れてくるのです。

マーケティングの方法はここでは書ききれないくらい多くの方法やツールがあります。無料でコツコツとつくり上げるものもあれば、有料で戦略的にやるものもある。WEBを使ったものもあればアナログもある。様々です。

ただ私が言いたいのは、フリーランスこそマーケティングを真剣に考えてほしいということです。顧客から見れば同じような商品やサービスを扱っている他者が多いのがフリーランスというジャンルだからです。

そして人はどんなものを買うか。どんな人と契約するのか。
それに対して私はこう思っています。

「人はいい物を買うのではない。人は知っている物を買うのだ」


知らないものはどんなに良いものでも買えない。
こんなに税理士がたくさんいるのに、その会社が必要とする目的から探すのではなく知人に紹介してもらおうとする。それがある意味「人がものを買うときの突発的な心理」なのかもしれません。


フリーランスのマーケティング手順     (C)2021 HOHARU WORKS.inc


マーケティングには4つの段階がある。

ここで フリーランスが知っておくべき「買う側」の心理の話をしましょう。
私がいつも言っていることですが、商いとは「人の消費行動」です。
だから「どう売るか」ではなく「なぜ買うか」を先に考える必要がある。
つまり、売り手である自分の想いより先に、
「それを買ってくれる人の気持ちや行動」を考える必要があるのです。

世の中の広告を見てみてください。いかに売り手のエゴが多いことか。
「これはこんなに良い商品ですよ」「私はこんなことができますよ」
「あなたはこれを買うべきです」「私たちは日本一ですよ」

私はアピールを否定しているわけではありません。
しかし売り手の私たちでも「買い手」になるときはあるでしょう。その時を思い出してみてください。

私たちは誰でも、信頼するものを買い、気に入ったものを信頼し、知っているものしか好きになれない。

つまり、マーケティングという活動には、買い手の心が動く「瞬間」があるということです。それを無視してセールスをしたらどうなるか。
「売り込み」だと感じて逃げていきます。人とはそれほどまでも「信頼の段階」を重視する生き物なのです。

マーケティングの4段階  (C)2021 HOHARU WORKS.inc


①知る  -  発見する。

人は知らないものを買うことができない。
税理士の話で例えると、その税理士の存在を知らなければ何も起こらない。
もし誰かが「税理士を探している」という動機があったとしてもあなたにたどり着かない。
それほど「知られていない」ということはビジネスにおいては致命的なのです。

だから「知ってもらえる活動」は、例え費用にかからないSNSであってもすべきです。
ただ、「知ってもらう」という活動には「どういう人だと知ってもらうか」という目的観が必要になります。
わかりやすくいうと、新規顧問先を探している税理士がプロフィールに”税理士”とあるだけで普段はペットの写真をアップしているだけでは何も起こらないということです。

私はこのようなマーケティングの依頼があるときにはまず「どう魅せるか」を徹底的に「設計」します。
他の税理士と何が「違う」のか。それは重要な戦略です。
マーケター界隈ではその「他者との違い」「他社との違い」が重要だと捉えられていて、私もそれと同意見。違いを魅せることこそが、あなたのビジネスを光輝かせる第一歩なのです。

特に競合の多いビジネスをしている人は、競合に勝つために より商品力やサービス力を強化したり、製品の品質を上げようとしたり、
つまり「より優れたものにしよう」とします。
そうして優れた商品によって優位に立ったのも束の間、またそれをも超える優れた商品が他社から発売される。もうそうなったらイタチごっこです。

それよりも「違い」に着目すべきです。他者との違い。そこがマーケティングの鍵です。
例えば、丸いのが当たり前のものを楕円にしてみるとか、白か黒が当たり前のものにカラーバリエーションを加えてみるとか。
あと、先払いが当たり前のサービスを後払いを可能にするとか、買ったときでなければ受けられないサービスをいつでも受けられるようにするとか。

そういう「違い」こそがフックとなって、マーケティングの効果を増強させるのです。あなたの商品やサービスには「他者との違い」があるでしょうか。もし無いのなら、それを考えることからマーケティングは始まるのかもしれません。


②気に入る。  -   好きになる

人は「知った」ものを直感的に「好きか嫌いか」を判断するように情報処理します。あなたがSNSをスマホでスクロールしているとしましょう。
日頃気になっていたり好きだと感じていたフォロワーの投稿は一瞬スクロールの手が止まるでしょう。
逆に不快に感じていた人の投稿はすぐにスクロールしてしまう。
これは本能的に、毎日たくさん入ってくる情報を処理しようと脳がしていることです。

だからこの「好きになる」という心理は直感的です。
「好きだな」と直感で思っても、よく読んだら好きじゃなかったということもあるから、「その直感=好きになる」ということではないにしろ
それでも直感が「好きだ」と処理しなければ0.4秒でスクロールされてしまうのです。

せっかく「知って」くれたのに好感を持たれなかったら次へは進めない。
だからこそ直感的な興味・関心レベルが高くないといけないのです。

ただしビジネスの場合はプライベートのSNSのように「人間的な好感度」だけが必要なわけではない。
この人がどんなことを考えていて、どんな能力があるのか。
そして自分に何を提供してくれる人なのか。
そういうスペシャリストとしての好印象が「なかなかの人だ」という直感をくすぐり、「気になる」というポジションに導いてくれるのです。


③信頼する。

この「マーケティング 4つの段階」においても最も重要なのがこの「信頼する」という段階です。

特にオンラインでビジネスを展開したり、マーケティングをする人にとっては不可欠な段階です。
人は基本的にネット上で見るモノ・サービスを信頼していません。むしろ疑っています。嘘ばかりだと感じているし、買うのは怖いとさえ思っている。
それが普通です。普通だと思うべきです。

人は信頼できないものを買いません。
よく使う近所のスーパーでバナナが500円で売っていたとしましょう。あなたはバナナを買いに行ったのです。
するとスーパーの前で見知らぬ人が、「バナナを買うんならこれを200円で売ってあげるよ」とどこで手に入れたかわからないバナナを出してきた。
あなたは買いますか? 買わないでしょう。出どころもわからないし、その人だって一体誰なのかわからない。信頼できない。

そんなこと当たり前だと思うかもしれませんが、ネット上で同じようなことが頻繁に起こっています。
amazonを信頼して服を買ったら1ヶ月後に中国から届いたなんて経験がある人も多いでしょう。世の中に起きているその”騙し合い”があなたのビジネスにも少なからず影響しているのです。

売り手と買い手の間に「信頼関係がある」という事実はとんでもなく大きい差になります。フリーランスとして競合他者の多いビジネスをしている人にとって言えば、その信頼関係こそが顧客数の差となるわけです。

では信頼関係をどうやって築けばいいのか。
それはあなたが誰なのか、明確に伝えることです。ネット上だからといって本当にいるのかいないのか、本当は男性なのではないのか、本当にそんな仕事ができるのか。そんなことを思われないようにすることです。
そしてその疑心が信頼関係を損ねるということを知るべきです。

個対個としてまず向き合うこと。そこからがはじまりです。
その中でコミットメントする機会を作れれば尚いい。信頼関係とは言わば「コミットメントの数」でもあるのです。
一度でもDMでやり取りすれば信頼関係は増します。DMを勧めているわけではありませんよ。私が言いたいのはコミットメントするしないが重要だということです。

そうしてつくられた信頼関係は、商品やサービスとつながったときにビジネスになります。そして信頼関係を築く方法はいくらでもあります。

ただ忘れないでいただきたい。
「どんなに優れた商品を持っていても、信頼を得ていない段階でセールスをすれば一瞬でその人は目の前からいなくなる」という事実を。


まとめ       ④買うということ。

人が何かを買うとき、間違いなく「ある感情」が動きます。
人が誰かと契約するとき、間違いなく「ある感情」が動きます。

マーケティングはその感情を抱いていただくための「必要な準備」なのかもしれません。人は自分の未来のためになら喜んで財布の口を開けるのです。

「買ってくれ、買ってくれ」とどれだけ叫んでも誰も買わないでしょう。
なぜならばそれで感情が動かないからです。買うという行動の動機が生まれないからです。

フリーランスというワークスタイルはこれからの時代の中心になっていくでしょう。企業という大きな組織が動かしてきた時代から
個の力という小さな集合体が世の中を動かす時代になってきたのです。

だからこそフリーランスの皆さんにはマーケティングを学んでほしい。
だからこそフリーランスの皆さんには個人力を磨いてほしい。


これからの時代は組織に依存するのではなく、
個人力が生活を支えていく時代になっていくと思うからです。


マーケティングがフリーランスを活かす時代。それがこれからのビジネススタイルだと、私は思っています。



それではまた。
次回のnoteでお会いしましょう。





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