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私の考える "ブランディング"。

ブランディングって?

あなたは「ブランディング」という言葉をどう理解しているだろうか。


「ブランド」という単語が使われているから、何か高級なものを想像するだろうか。


それともロゴやマークなどのデザインをイメージするだろうか。

きちんとしたロゴがある商品と、一般的に使われる明朝体やゴシック体でただ書かれてある字で名称を書かれた商品を見比べて、ロゴがある方が「ブランディングされている」と感じ、一般的な字で名称が書かれた商品を見て「ブランディングしていない」と感じるだろうか。


ブランディングという言葉にはいろいろな捉え方があります。
人によってはブランド物をイメージし、
また人によってはデザインをイメージする。

それは共に間違いではないし、定義が様々。それがブランディングです。



実際にブランディングについて書かれた文献・書籍も「定義」は様々です。
私たちも当初はその「様々な定義」によって社内でも意見が分かれたことがあります。意見が分かれるだけならまだしも、考え方の部分でズレが生じると、実はプロセスもズレてくるし、意思決定もズレてきます。

その状態を防ぐために、私たちはあるひとつの定義を「ブランディング」として統一させました。あくまで私たちの定義ではありますが、何人ものチームをディレクションしていく中で機能させている定義ですので、考え方のひとつとして成立していると思います。


私たちが考えるブランディングとは


ブランディングという言葉は「BRAND(ブランド)」と「Doing (している)」という言葉の複合単語です。
つまり、直訳すると「ブランド化している」となります。
「している」というのは進行形ですので、実際は「ブランド化をし続ける活動」ということになりますね。
ではそもそも「ブランド」というのは何か?という話しです。
この辺りで私たちも議論しました。



[wikipedia]によるとこう書いてあります。(※抜粋)

> ブランド(英: brand)とは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。


中身はどうあれ、「概念」とか「イメージ総体」という表現で仕切られています。つまり、とんでもなくわかりにくいものであることは分かりますよね。
「概念」も「イメージ総体」も、効果測定しにくいものだということです。できているのかできていないのかがわかりにくい。


ブランド?それはロゴのこと?

私たちが考えている「ブランド」のお話をしましょう。

商品・サービス・会社・メソッド・そして人。それをブランドの対象とします。
例えば今回はその中で「商品」を例にして話しますね。

その商品には「価値」があります。
「価値」とは、それにお金を出して買おうとする人がいるという理由そのものです。

「その商品を欲しいと思う人がいない」ということは、「その商品には価値がない」ということです。そのような商品の場合は、ブランディングの前に商品価値のブラッシュアップが必要です。

話を戻しましょう。商品には価値があります。想定でも構いませんが、その商品を欲しいと思う人がいるとしましょう。
しかしその商品には同等レベルの競合商品があります。自分の商品よりも早くに世に出ているかもしれないし、最近出てきた「新しい競合」かもしれません。どちらにしても多少の違いはあれど、「それを欲しいと言っている人たち」は同じ人たちです。その人たちは「どっちを買うか、迷っている」。そのような状態です。


安ければ売れる・・・の間違い

例えば、その競合商品はあなたの商品よりも「安い」としましょう。
あなたの商品の方が高い。そんな場合、買うか買わないかの決め手になる心理は「高い理由(価値のレベル)」です。


売り手はみんな「価格が安い方が売れる」と思いがちです。
しかしそれは大きな間違い。価格も購入するための大きな要素であることは間違いありませんが、それだけではありません。

例を出しますと、家の近くに定食屋さんがあるとします。そこには「とんかつ定食」が750円でメニューにあります。大将が昔から同じ方法で肉屋さんから仕入れた豚のロースに市販の衣をつけて揚げています。

その店とは別に、家から車で2〜3分のところに、東京の名店で修行してきたシェフが「名代とんかつ専門店」をオープンさせました。ロース肉にこだわり、パン粉も生食パンを店でひいて作るほどのこだわり様。そこにシェフの繊細な技術が加わります。その店の「ロースカツ定食は1,580円」です。

価格は倍以上。しかし定食屋さんのとんかつ定食(安い方)が絶対的に売れるということはないでしょう。もしかしたら地域によっては専門店(高い方)に行列ができることさえあるかもしれません。

私は、どちらが売れると思いますか?というクイズを出したいのではありません。その店の特徴、強み、ベネフィットが「価値あるものかどうか」。
価格よりもそちらの方が重要だと言っているのです。


「価値」がブランディングをつくる

ブランディングとは、「価値」を明確にするところから始まります。
その商品の「価値」。ブランディングで印象付ける部分はそこです。
もしそれが無いなら、商品をブラッシュアップさせるか、無理やりに価値を作り上げます。嘘は使えないので「表現」によって価値化させる方法もあります。
(今回はテーマが違うので価値化させる方法は省きます)


デザインがブランディングに関係する?

その商品の圧倒的な価値(競合商品には無い価値、または競合商品が表現しにくい価値)が明確になるだけではブランディングにはなりません。

「ブランディング」とは「その価値」を「直感的に伝える」という必要があるからです。

その点で「デザイン」というものがブランディングに関係してくることがわかります。

ブランディングとは、最終的に顧客が感じる「イメージ総体」を作り出すことです。それを印象付けることです。それがその商品だよね!と勝手にイメージで結びつけさせることです。


つまり、ブランディングは「私たちの行動」ではなく、「行動によって顧客がそんな商品だと思ってしまうという結果」です。プロセスではなく結果です。「顧客がそう思ってくれる」という結果を得るために、一番安易で一番即効性があるのが「デザイン」だということです。


つまりブランディングとはこういうこと

「価値を直感的に伝える」。これが私たちのブランド化に対する行動です。
これを実現するために戦略的に考え企画します。
決まった施策があるわけではありません。商品によって1から組み立てるもの。それがブランディングです。


私たちがその商品のブランディングを成立させるために行う行動は、ブランディングとは言いません。デザインすることをブランディングとは言いませんし、企画することや価値を明確にすることだってそれはブランディングとは言いません。


なぜかというと「ブランディング」とは、「顧客が感じること」だからです。主語は「顧客」または「ユーザー(それを使う人)」です。


彼らがその商品の価値を「正しく理解」し、「この商品はココがいいんだよな」「この商品はこういう商品なんだよ」と当たり前の様に感じてもらう。
そしてその商品のロゴを見たら、一瞬のうちにその価値を感じてしまう。
それがブランディング。
言い方を変えると「ブランディングがされている商品」と言えるのです。


ブランディングとマーケティングの違い

ブランディングはその商品・サービス・会社・メソッド・人の「価値を明確化」させて、他には無い圧倒的なベネフィットを伝える行動と同時進行で行うものです。

よく「ブランディング」と「マーケティング」を同じ様な意味で言う人がいますが、この2つの単語はまったく違う言葉です。真逆と言ってもいい。それくらい違います。

「ブランディング」は、他と比べて圧倒的な価値を磨き上げること。

「マーケティング」は、その磨き上げた価値をたくさんの人に知ってもらえる様に拡げること。

きれいな衣服を着て完璧なお化粧をしても、家の中に閉じこもっていたら誰とも出会えません。

反対に、個性のない普段着で、大きなパーティーに出かけても違和感があって素敵な出会いは巡ってきません。


わかりにくい例を書いてしまいましたが、
「ブランディング」だけしても誰にも知られないし、
「マーケティング」だけしても他の商品と比べてももらえない。


「ブランディング」と「マーケティング」は、売れるためには必ずしなくてはならない両翼の翼なのです。


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