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Skypeレッスンについて

たまにはSkypeレッスンについて書いてみようかと思います。

5年ほど前、ご縁あってカフェトークさんでSkypeレッスンを始めさせていただきました。

当初、え?という反応が多かったものの、僕自身は海外のスカイプレッスンの事情を知っていたので前向きに考えていました。

あんまりハッキリと書くと角が立つかもしれませんが、今回はハッキリと書いていこうと思います。

多くの人が対面のレッスンに比べて質が落ちるとお考えかもしれません。これまでの経験でその疑問にお答えするなら、生徒さんに依ります。

対面のレッスンでは、手を取り、体に触れ...まさに手取り足取りのレッスンはできるのですが、感覚が伝わるか?というとそんなことはありません。生徒さんの右手に手を添えて、弓を引いてあげても、生徒さんの感覚は開きません。

中学生のころ、先生からこう言われました。「私の感覚をそのままあげるなんてことはできないのよ。なんどもなんども色々試して、自分で掴み取るの」

楽器を弾くというのは、音を出すという物理現象のために、身体をどう使うか、ということですから、フィーリングではなくて、運動神経です。反射神経のように勝手に動くものではないんですね。

楽器をどうするために、身体をどう使うか、というのは全部理論があることで、それを理解して進むか、あるいはいずれ理解が自発的に伴うような導き方が大切だと考えています。

幼児に物理のお話は無理です。でもそれを体感してもらう手順を用意しておけば大丈夫なんですね。

個人的な話ですが、感覚というのは埋もれている、閉じている、というのがしっくりくる表現です。そのあたりは開高健作の裸の王様によく描かれているので、気になる方はぜひ読んでいただいて...

何が言いたいかというと、手を取ってもらえる、それだけで感覚は掘り起こせない、開かないということです。

そういった説明のために生徒さんごとに言葉を選び、やり方を変え、感覚を開く努力をしています。

お互いに甘えやごまかしがきかない、というのがSkypeを使った音楽レッスンの最大の特徴だと思います。そこでじっくり耳を傾けて取り組めるひとはオンラインレッスンでもしっかり成長しています。

多くの先生はそこに生徒さんがいて、んー、とおもうとすぐ弾いてしまったり、手を取ってしまいます。その点、Skypeレッスンを通して自分自身の楽器への理解が相当深まりました。

正直なところ、まじめに積み上げている講師は音さえ聞こえていれば、どんな姿勢で、どの指で、どんな弓使いか、さえわかります。

発表会や一時帰国で実際の音が出る現場にも立ち会いますが、スカイプで観て思った通りなんです。姿勢も、フォームも。腕にさわれば力みも想像した通り。直に触ったところで治りません。いろんな方向から感覚を掘り起こすことが対面のレッスンでもスカイプレッスンでも第一歩です。

大きな差があるとすればお互いの音を聞きながら一緒に弾けない、ということでしょうか。これはスカイプの仕様なので仕方ありません。こちらの音を聞きながら生徒さんがついて弾くことは案外できます。

音色のことも気にされる方がいるかもしれませんが、一度同じカフェトークのピアノ講師に聞いてもらったところ、比較した二本の弓の音色の差は伝わりました。通信さえ安定していればかなりハッキリと音色の違いはわかります。

いい音、楽器に振動が循環しているいい音をしっかりと引き出す。スカイプレッスンの先駆者のズッカーマンはそれを強調します。そして実際に成果を上げています。

自分は生口島という瀬戸内海の島の出身です。当時は車で島を半周し、因島までフェリーで渡り、向島、尾道へ橋を渡り、福山市まで毎週通わせてもらいました。これは今自分に子供がいたとしてやってあげられるかと言われたら無理です。

あー、当時こんな環境があって、今の自分に習えたらなぁ笑、とたまに振り返ります。



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