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【私的】和田毅ベストゲーム5選(後編)

 前回の冒頭で、佐々木朗希の完全試合と東浜巨・今永昇太のノーヒッターに触れたが、先日の山本由伸のパーフェクトで今シーズン4人目の達成者が生まれた。まさに「前代未聞の事態」とはこのことである。さて今回は、私の和田毅推しアピールnote完結となる後編にお付き合いいただきたい。なお、後編ではMLB復帰後の試合の中から私のお気に入りゲームを2試合紹介する。

4.2017年8月27日 vs千葉ロッテマリーンズ

 4試合目は、ホークスがシーズン94勝という圧倒的な強さでリーグ優勝・日本一と勝ち進んでいった2017年シーズンから選んだ。MLBでは、怪我の影響で通算5勝にとどまり、2016年に古巣ホークスに復帰した。復帰の際には、怪我の影響などから活躍に懐疑的な見方もあったが、終わってみれば15勝5敗・勝率.750で最多勝と最高勝率の2冠。貫録の成績を収めた。迎えた翌2017年シーズンは、先発ローテ入りするも戦線離脱し、6月に左肘遊避軟骨除去手術に踏み切った。除去した骨は、第一線で活躍した勲章として自宅にホルマリン漬けして保管している。
 そして紹介するこの試合は、6月の術後初の1軍マウンドとなった。さらに、この試合前の時点で通算の奪三振数は1494。大台まであと6と迫っていた。そんな試合で和田は初回から快投を見せ、4回2死までで奪三振は5。王手をかけて迎える打者は、元チームメイトの井口資仁だった。2003年の日本一に貢献し、その後共に海を渡った。そして、井口はこのシーズンを以ての現役引退を表明しており、この試合が最後の福岡凱旋だった。そんな2人の対決は、1‐2から投じたストレートが見事キャッチャー髙谷のミットに収まり、1500奪三振を達成した。しかし、本当の見どころは6回の最後の対決である。和田はここで全球ストレート勝負を選んだ。「全部ど真ん中めがけて投げた。成長している姿を見せたかった」と3球目でセンターフライに打ち取った。終わってみれば、6回2安打9奪三振無失点の快投。先輩へ成長した姿を見せたとともに、見事な復活劇を果たした。


5.2020年10月27日 vs千葉ロッテマリーンズ

 2017シーズンは、先述の試合以降も安定した投球を披露し、8試合登板ながら4勝負けなしの成績を収め、ポストシーズンでも登板を果たした。しかし、翌2018年シーズンではプロ入り後最大の試練が待ち受けていた。左肩の違和感が拭えず、1軍登板は0。同じ松坂世代の杉内俊哉・村田修一が相次いで現役を退き、自身の頭にも「引退」の二文字がよぎった。しかし、オフの契約更改では「日本一になるための必要な戦力」という球団からの言葉もあり、減額制限を大幅に超える3億円ダウンを提示を受け止め、再スタートを誓った。そんな中迎えた2019年シーズンは、開幕当初は二軍で調整するも、6月5日ルーフオープンデーの中日戦で復帰。勝敗は付かなかったものの、5回を2失点でまとめた。その後は、登板間隔などの調整もありながらシーズン終了までに12試合で4勝。復活の狼煙を上げ、39歳となる2020シーズンに挑んだ。この年は、新型コロナ感染拡大による開幕延期という前例のない調整を強いられてのスタートながら開幕ローテを勝ち取ると、開幕2戦目で初登板を果たし6回1失点の好投。その後も順調に勝ち星を積み重ねた。チームも一時は2位ロッテに肉薄されたが、終盤に怒涛の12連勝。首位を独走し、マジック2で2位ロッテとの優勝をかけた戦いに先発として和田を送り込んだ。
 この試合が行われたのは10月27日。お気づきの方も多いと思うが、奇しくもこの日は17年前にルーキーイヤーの和田が胴上げ投手となった日本シリーズの阪神戦と同じ日付だった。そして、この日の和田は17年前と変わらず、いやそれ以上の円熟味を帯びた投球を披露する。「悔いのない球を投げたい」と語った左腕のストレートは唸りを上げ、ロッテ打線の各打者のバットは空を切った。5回に訪れたこの日最大のピンチでは、元同僚の福田秀平を見事左飛に仕留めた。6回を投げ奪三振8、無失点のこれ以上ない内容で和田はリリーフ陣にマウンドを託した。その後、ホークスは岩嵜・モイネロと危なげなく繋ぎ最後は森唯斗が締め、プロ野球界・ファンそして和田本人にとって特別なシーズンは、最高の結果となり結実した。このシーズンの和田は、16試合に登板し8勝。2年前、37歳のシーズンに苦悩を味わった男は、不死鳥のごとく蘇った。


まとめ

 2021年には、球団初の40歳以上の複数回勝利投手、今年は日米通算150勝を達成。奪三振数は球団歴代1位に躍り出るなど、球団史にプロ野球史に名を刻み続ける和田毅。2003年10月27日、当時2歳の私の目の前でルーキーながら日本一の胴上げ投手になった男は、19年後も変わらず私たちホークスファンを魅了する。この先、どんな姿を我々に見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。
 そして、私の拙い文章に最後までお付き合いいただいた事に、心から感謝申し上げます。


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