【生徒のつぶやき】2022年4月25日

「漫才師を始め、お笑い芸人は設定によって役を演じるので、役者のようにも思います。先生は『芸人』と『役者』の違いは何だと思いますか。そして、先生は自分を『芸人』と『役者』のどちらのタイプだと思いますか。」


〔代表より〕
確かにお笑い芸人も設定に入るという意味で、役を演じていますね。私は全お笑い芸人を心から敬愛していますが、中でも漫才ならば「東京ダイナマイト」、コントなら「ラバーガール」が好きです。

東京ダイナマイトは設定によってボケ・ツッコミが変わることもありますが、松田さんがボケを担当することが多いです。風貌といい、声といい、「ヤバい奴」のオーラが出ていて、「何か変なこと言い出すだろうな」という期待がいつも高まります。今テレビに出ている芸人さんで言えば、かまいたちの山内さんみたいな、何を言っても笑っちゃう感じがあります。

ラバーガールは大水さんがボケを担当することが多いですが、大水さんも「ヤバい奴」感があって面白いです。風貌といい、話し方といい、「絶対にヤバい奴がヤバいことを言う」というのが面白いです。昔のバラエティ番組で、「なぞなぞになっていそうなことを言う」という得意芸を披露されていたことがあって、その「ヤバさ」にお腹を抱えて笑いました。

松田さんにも、大水さんにも共通して感じるのは、「ネタの設定ではあるにしろ、本当に少しはこういう『ヤバさ』を持っている人なんだろうな」ということです。芸人さんには尖りが必要だ、などということがありますが、この「尖り」が「ヤバさ」何だろうと思います。

それに対して役者さんは狂気的な演技をする人であっても、本当にそういう心情がない場合の方が多いような気がします。例えば刑事ドラマの殺人犯役の人は、実際には人を殺したことがないはずです。けれども人を殺した人間の感情で演じなければなりません。私はテレビドラマを見るのがすごく苦手だ、という話を授業でいつもします。それは役者さんが演じる登場人物の感情が、自分に入ってきてしまうからです。重いテーマの60分ドラマを見た後は、その日1日何も手がつかなくなります。そういう役者さんであっても、本当はそういう感情を抱いたことがない場合も多いのではないでしょうか。

以上をまとめると、「自分が持っている感情を爆発させる」のが芸人で、「自分にない感情を演じ切る」のが役者だと言えるのではないでしょうか。そういう意味では私は間違いなく役者タイプです。今だって、ずーっと、穏やかで気の良さそうな人物を演じているじゃないですか。

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