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2016年 1冊目『HARD THINGS』

シリコンバレーのスター経営者たちに慕われる最強投資家であるベン・ホロウィッツ氏の著書です。

エアー・ビー・アンド・ビー、ギットハブ、フェイスブック、ピンタレスト、ツィッターなどに投資をしています。

自身も起業し、上場し、売却した経験を持っています。
強力ライバルからの反撃、会社売却、起業、急成長、資金ショート、無理な上場、出張中に妻が呼吸停止、バブル破裂、株価急落、最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客の解約危機、3度のレイオフ、上場廃止の危機など。

壮絶な実体験を通して著者が得た教訓から「答えがない難問と困難へのたち向かい方」を学べます。


著者はマネジメントの本を読むたびに、「なるほど、しかし、本当に難しいのはそこじゃない」と感じていたと言います。

本当に難しいのは

・大胆な目標を達成することではなく、達成し損なった時にレイオフする事。

・優秀な人を採用する事ではなく、その人達が既得権にあぐらをかいて不当な要求をし出した時に対処する事。

・会社をデザインする事ではなく、人々を意思疎通させる事。

・大きく夢を見る事ではなく、その夢が悪夢に変わり、冷や汗を流しながら深夜に目覚める事。

これらの複雑で流動的な問題には、決まった対処法はない。
ハイテク企業を作るマニュアルはありません。

特に困難な事の中でも、もっとも困難な事には、一般に適用できるマニュアルなどないのです。

ただし、これらの経験から得られる教訓もあるし、有益な助言もあるのです。

この本はそれらについて著者自身が直面し、対応した経験について語った話です。

例えば次のような場面に対して、経験に基づいたアドバイスを得られます。

書いている補足は、私の備忘録です。

・CEOはありのままを語るべき。:困難な問題に取り組む頭脳は多いほうが良い。悪いニュースは早く伝わり、良いニュースは遅く伝わる文化を作る。

・人を正しく解雇する方法。:理由を明確にし、実行を先送りしない。全社員に説明する。

・幹部を解雇する準備:根本原因を分析し、取締役会に報告し、コミュニケーションプランを作る。

・親友を降格させる時。:代わりに誰を雇い、どのように伝えるのか考える。

・敗者が口にするウソ。:人が辞め出すと、その人は元々必要ではなかったので問題ないと言い始める。

・やるべきことに集中する。:選択肢が無いことに悩まずに、やれることを実行する。

・鉛の弾丸を大量に使う。:ありもしない銀の弾丸(今は無い画期的な製品など)は無い。あるのは(競合に劣っている)鉛の弾丸。それを全社員で必死に戦わないと生き残れない。

・人、製品、利益の順番で大切にする。

・部下を教育すべき理由。:人が辞める2大理由は、マネジャーと合わない。何も教えられない。

・友人の会社から採用して良いかどうか。:必ず友人に伝える。

・大企業幹部が小企業ので活躍できない理由:ペースとスキルのミスマッチ。

・社員がマネジャーを誤解する時。:数字で見られないものを数字で見ようとする。

・肩書きと昇進。ピーターの法則とダメ社員の法則(ある意味制約条件理論)

アンドリーセンは肩書を大盤振る舞いする。ザッカーバーグは低い肩書にする。

・優秀な人材が最悪の社員になる場合。:バスを待たせて良いのは、ロッドマンだけ。ジョーダンもピッペンもダメ(滅多に無い事)

・個人面談:とても重要

・急速に拡大させる秘訣。:メンターを見つけ、自ら拡大実績のあるエグゼクティブを雇う。拡大に伴う劣化を限りなく遅らせる。

・CEOとしてもっとも困難なスキル。:誰にも責任転嫁できない。孤独な仕事。心を鎮め、怖気づかず、投げ出さない。

・平時のCEOと戦時のCEO。:平時のシュミット(Google)、戦時のジョブス(Apple)

・自身をCEOとして鍛える。:不自然さに耐える。

・CEOを評価する。:何をすべきか明確に意識している。それを実行させる。目標を達成できる。

・責任追及と創造性のパラドックス。:創造性のある従業員のチャレンジを阻害してはいけない。ただし、約束を守る従業員のやる気を阻害してもいけない。

・対立部門の責任者を入れ替える。:特効薬になる事が多い

・最高を維持する。

読むと、背筋がピーンと伸びる本です。お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。
よかったら、手に取ってみてください。

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