見出し画像

地味で滋味

茶弁(茶色の弁当)にチャレンジしてから3ヵ月が過ぎたらしい。
“茶弁師匠”まみぶーちゃんは神がかった茶弁を作り続けているし、尚子ねーさんは日を追うごとに色鮮やかな弁当に進化していくし、まさちゃんは妻&母のカガミのような安定感を保っている。
そんな中で、わたしは考えた。茶弁は難しいしなぁ、新ジャンルを編み出さなくては。誰に頼まれたわけでもないのに、ぼんやり考えて数日。9月の末、色相環をヒントに閃いたのが、一色の弁当だった。
赤、橙、黄、緑、青、紫のうち、青はボツにした。青い食材を探して弁当にするのは、かなり難しいからだ。週刊キャプロア出版66号のテーマ「ぶどう」をきっかけに見つけた巨峰も入れて作ったのが、紫弁の始まりだった。メンバーのアドバイスでできた黄弁、試しに買ったふりかけに失敗した赤弁、弁当企画がなければ買わなかったであろうカニカマを使った橙弁を作った。緑弁は一番にイメージが浮かんだものの、まだ手をつけていない。
最近作ったのは白弁だ。白弁を作ろうと思い立った前日に、蕪と大根を糠漬けにしていたのは、何かのタイミングに違いない。白い蒲鉾を買い、ゆで卵を作って、糠漬けを取り出して、切って詰めただけ。一色弁当史上、一番手間のかからない、かつ地味すぎる弁当になった。味もあっさりしている。精進料理でも、もう少し華やかだろう。
でも、負担がかからない弁当とでもいうのだろうか、食べるのもどこか穏やかに進められる。ほんの少しの塩を足して、ゆっくりと味わった。無彩色の弁当は、飲み物でいう白湯のようだと思った。

週刊キャプロア出版76号「脱・茶色 私のお弁当2」に掲載
https://www.amazon.co.jp/dp/B0821Z37N2/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?