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はじめての街選び~家賃7年円以内で練馬・戸越銀座・戸越公園~

条件は、「管理費込みで家賃7万円以内」。

数年前、大学を卒業してすぐのこと。東京の端っこに実家がある私は、初めて一人暮らしをすることにした。給料を鑑みた結果、家賃は7万円以内!

この条件さえ満たせば、どこの街のどんな家でもOK。会社からは遠くなってしまうけど、大好きな海の近くにだって住めるのだ! 初めての経験に胸が躍る。

富士山が見えるマンションに憧れた「練馬」

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まず、最初に候補に挙がったのは練馬。西武池袋線と都営大江戸線が通っている駅で、池袋までわずか7分! 会社のある汐留まで大江戸線一本で通えてしまう! (40分も乗るが!)

交通の便の良さに加え、駅直結の大きな西友があるため、買いものには困らない。駅前にコージーコーナーもミスドもあるのが、甘いもの好きにはうれしい!

そしてポイントは、駅の南側には10階以上の比較的新しい高層マンションが立ち並ぶこと。天気の良い日には高層マンションから富士山が臨めるのだ。

「富士山なんて高層マンションならどこでも見られる」と思うかもしれない。しかし、家賃7万円以内で高層マンションなんて、正直、練馬が限界!

また、練馬のちょっぴりダサくて、生意気感がないイメージも気に入った。

会社の先輩から「どこに住んでるの?」と聞かれて、「練馬です!」と答えるくらいが、社会人一年目の新人らしくてかわいらしいじゃない。

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しかし、満を持して家賃64,000円の富士山が見える物件に申し込むと、ちょうど他の人とバッティング。審査の末、他の人に決まってしまった。

理由を不動産屋に聞くと、「物件近くの練馬区役所にお勤めの方だったので、大家さんがそちらを優先する形になりました」だとさ!

「なんだと! 練馬は、練馬の人だけでやってればいいんだ! 練馬の女になんて誰がなるか!」

私の″練馬愛”は一気に冷め、他の場所を探すことにした。

●まとめ
練馬駅(西武池袋線、都営大江戸線)
【家賃相場】ワンルーム:6.0 万、1K:7.4万(CHINTAIより)
・池袋まで7分。都営大江戸線で六本木や汐留まで一本。
・高層マンションが多く、富士山が見える物件も!
・家賃7万円以内という条件でも十分選べる。
・「練馬の女」は、ちょっぴりダサくて、生意気感はゼロ。


品川区という都会感と商店街という庶民感のギャップに魅せられた「戸越銀座」

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ちょうどこの頃、合コンで「品川駅近くに住んでいる」という男に出会う。

「品川? あんなオフィス街に住むところあるの?」

同じ東京でも西の端に住んでいると、城南(港区、品川区、目黒区、大田区)は未知の世界。”会社のあるところ”というイメージしかないのだ。

だから、よくテレビで食べ歩きロケをやっている「戸越銀座」も品川区だと知った時は驚いた。あんな庶民的で賑やかな街もあるんだなって。

そして戸越銀座に足を運んでみて、虜になった。

名物商店街ならではのコロッケやらたい焼きのほか、よく行くチェーン店も揃っている! それに3両編成の東急池上線のローカル感もかわいらしいじゃない。

しかしながら、簡単に住めるほど現実は甘くない。人気の街だけあって、とにかく家賃が高い!

7万円以内で検索すると、15~16平米だったり、築50年くらいのバランス窯の物件がほんの数件ヒットするのみ。

「高層マンションがいい!」「トイレとお風呂は別がいい!」という夢は諦めても、23歳女子にはちょっと厳しい物件しか見つからなかった。

●まとめ
戸越銀座駅(東急池上線)、戸越駅(都営浅草線)
【家賃相場】ワンルーム:8.5万、1K:8.8万(CHINTAIより)
・都心からとても近い。
・商店街が賑やかで楽しい。
・ローカルな東急池上線がかわいい。
・家賃相場が高く、家賃7万円以内なら住まいには妥協が必要。


「戸越銀座」に近い!から決めた「戸越公園」

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戸越銀座から門前払いをくらい項垂れていると、不動産屋はこんな提案を持ちかけた。

「戸越公園なんていかがでしょうか。戸越銀座から1キロほど南にある駅なのですが、ここなら戸越銀座まで15分。仕事が忙しいのなら、商店街に行かれるのも休みの日だけでしょうし、緑も多くておすすめですよ」

「15分! 実家から最寄りの駅までよりも近いじゃないですか」

そう言い終わる頃には、完全に気持ちが戸越公園に傾いていた。戸越公園という響きも、「銀座」というギラギラした印象がなくなりかわいらしい。

電車はなんと、東急大井町線、都営浅草線、JR横須賀線の3路線が使える。JR横須賀線は、10分に1本しか電車が来ないという東京らしからぬ状況ではあったが、だだっ広いホームが実家近くのJR武蔵野線を思わせて気に入った。

戸越公園には、その名の通り肥後国藩主細川家下屋敷の跡地に建つ「戸越公園」や、1周470mのランニングコースもある「文庫の森」があり、散歩やランニングが楽しめる。

また、25分程歩けば「大井町」という大きな駅に出られ、イトーヨーカ堂、アトレ、LABIがあるため何でも揃う!

何より、このちょっと中途半端で”足を延ばさないと何にもありつけない”この駅が、当時の何者でもない自分を表しているようでしっくり来たのだ。

●まとめ
戸越公園駅(東急大井町線)、中延駅(都営浅草線)、西大井(JR横須賀線)
【家賃相場】ワンルーム:7.1万、1K:8.1万(CHINTAIより)
・戸越公園や文庫の森といった公園が多く、緑がいっぱい。
・東急、都営、JRの3路線使える。
・大井町、戸越銀座といった名所から近い。
・家賃は戸越銀座より1万円ほど安い。

エピローグ

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そんなこんなで戸越公園での生活が始まった。

住んだのは、クリーニング工場の2階という家賃66,000円のちょっと特殊なアパート。築40年越えだったが、リノベーションされ、内装は新築同様。

平日昼間の数時間のみ稼働すると聞いていた工場は、毎朝8時には始業。グォーという音と共に2回の部屋に振動が伝わるため、寝坊して遅刻することは許されなかった。

結局、あんなに恋焦がれていた戸越銀座には数えるほどしか行かず、買い物はほぼ、戸越公園の100円ローソンで済ませた。

理想ばかり追いかけた初めての”街選び”だったが、引っ越してしまった今も戸越公園は大切な場所。急行で通り過ぎるときには窓の外をじっと見つめ、感傷にひたってしまう。

あなたが、初めて選んだ街はどんな街だろうか?

編集:アカ ヨシロウ 

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