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1/4【モロッコ】異国の地を踏みしめる。

つい、この間まで「暑い暑い」と言っていたのに、もう秋の足音が聞こえている。先週までモロッコに行っていた私は、日本に帰国して、スーツケースの荷解きが終わるやいなや、3年ほど住んだ街を離れ、引越しをした。
長時間移動の旅と引越しの疲れからか、そのあとコロナに感染してしまい、秋の訪れを感じることなく、しばらく床に伏せていた。

もう帰ってきて一週間も経つのか、と慣れない部屋の壁を見ながら、遠い異国の地モロッコでの日々を思い返すのだった——飛行機がどんどんと高度を落としていくにつれて、白い住居や建物がだんだんと見えてくる。


カサブランカの街並み

窓際の席だった私は、絶対今まで見たことないであろう眼下に広がる世界を眺めていた。遠くの方の景色を見渡すと、砂埃で霞んでいてはっきりとは見えない。あの先には砂漠があるのかなと想像しながら、着陸準備が始まりそわそわしていた。

到着間際、アラビア語での現地の時間と気温のアナウンスが流れ「あ〜、もうここは知らない言語を話す人たちの世界なんだな」と、強く感じる。


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モロッコは、大西洋と地中海に面する北アフリカに位置する国だ。アフリカ大陸の中では、ヨーロッパ圏に近いため(スペインはすごく近い)、欧州文化とアフリカ文化が入り混じっている。人種はアラブ人だけでなく、「砂漠の民」と呼ばれるベルベル人や、スペイン系・アフリカ系の人もいる。観光地が多いので、比較的行きやすいアフリカの国だ。

今回、ドバイ経由でのモロッコ入りだったため、日本からモロッコまでかかった時間は、おおよそ20時間ほど。ドバイでの乗り継ぎも人生で5回目となり、だいぶん慣れた。長時間のフライト中は映画を観たり、本を読んだり、寝たりしていたら、あっという間にモロッコに到着した。(慣れって恐ろしい……)


カサブランカ国際空港は、意外とシンプルな空港で、カフェやお店も必要最低限。人はそこまで多くない印象だった。到着ロビーで友達を待っていると、ぞくぞくとモスク(礼拝堂)に人が流れていく。「あ、そうだった。モロッコはイスラム教の国だったんだ」と、気付かされる。私はイスラム教の国に訪れるのが、今回初めてだったのでとても興味津々だった。空港内に野良猫がいることも、すごい新鮮でびっくりした。(のちのち気づくのだが、モロッコ国内、かなり野良猫や野良犬が多く、空港に猫がいることは、何も不思議なことではないのだ)



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モロッコ到着初日は、友達と合流し、第一の都市フェズを目指す。
予定では車を手配していたのだが、ちょっと色々問題が発生し、今回はローカル電車で行くこととなった。

モロッコの交通事情は、ここ2年ほど前に新幹線のような高速列車が運行し始めたが、まだまだ一部の区間しか走っておらず、離れた都市部にアクセスするには、車か飛行機か、ローカルな電車が必須だ。


もちろん、地元の人にとってもこの電車は大事な足となるため、8人1部屋のボックス型の車両には、かなり人が乗っていた。

空いている席を見つけて、少し緊張しながら、大きな荷物と一緒に座る。
列車が発車して、ホームを出発。「お〜動いた〜!」と思ったのも束の間、じんわりとした暑さが付きまとう。

日本も倒れそうなほど暑いと言えど、モロッコは地中海気候で、さらには近年の温暖化影響もあり、温度計は38度、39度というおそろしい数字を表示している。

(もしかして、この電車クーラーついていない…????)

おそらく超弱なクーラーはついていたのかもしれない。が、締め切ったボックスの中は、本当にサウナ状態。男性も女性もこんな暑いのに、何もないかのように涼しい顔で座っていて、モロッコの人たちすごい。尊敬する。


車内では、アジア人女性が2人ということで、かなり目立つ。
一緒の車両に乗ってたモロッコ家族のパパさんに、席を譲ってもらい「どこから来たの?」と話しかけられ、「日本だよ」と話すととても嬉しそうに話をいっぱいしてくれた。別の家族にはお菓子まで頂いた。(なんてみんな優しいのだろう)隣に座っていたシャイな男の子は、『ワンピース』が好きらしい。

そして、この電車に揺られること五時間。(夕方以降は日が落ちて、クーラーが効き始めたような気もする。)23時、あたりはすっかり真っ暗になっていたが、「迷路の街」と呼ばれるフェズに到着したのだった。

私の長いながい1日が、ようやく終わった。


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