紫藤

不定期に日記を書く

紫藤

不定期に日記を書く

最近の記事

義理チョコが届くみたいに年賀状が届く

同じ学区内で同じ習い事をしていたという「縁」で、ほぼ毎年年賀状を送ってくれる人がいる。 本当にマメな人だと思う。 そんな人付き合いにマメな姿勢を、年賀状という形で見せられても僕はずっと年賀状を書かなかった。 この感覚は「義理チョコを貰っておいてホワイトデーに返礼品を用意していない」によく似ている。 そして「用意するのが面倒くさくて忘れた振りをする」ことに繋がっていく。 幸い、(これを幸いと言っていいのかは分からない)まだ義理チョコに縁があった年齢の頃は流石に忘れた振り

    • 親子丼という名前をどうにか変えたい

      卵と鶏肉の血縁関係に着目して名付けられたであろう【親子丼】。 とろっとした卵と鶏肉が絡んだとても美味しい料理だ。 でもよく考えてみてほしい あなたが親子丼を作るのに使う卵は、これから調理しようとしている鶏(肉)と血が繋がっているだろうか? 同じ養鶏場で採られたものかどうかも定かではないし、同じだったとしても肉用鶏と卵用鶏という大きな壁がある。 ヒトで例えるなら隣に住む背の高い温和な人妻と、なんの取り柄もないし取り柄がないことを話題にできるほど器用でもない童貞の僕が

      • 三秋縋さんの本がすごすぎてすごいので感想を書きました

        タイトル通りです 以下の本の内容に関して言及してます。 『三日間の幸福』 『スターティング・オーヴァー』 『君の話』    三秋縋 1.『三日間の幸福』三秋縋一言でいうとこの本は「ハッピーエンド」だと思った。 自分は賢いと慢心して学生時代を過ごし、大学生になった頃にはもう取り返しのつかないくらいに堕落し怠惰な人間になったろくでなしが主人公。 ろくでなしだからこそ、作中の心理描写がまるで自分を見ているみたいで胸がざわついた。 寿命を売ったあとに「監視員」として主人公と同い年

        • 白髪を染められずにいる。

          高校生のときから若白髪が目立った。 朝、鏡をみたときに今まで黒一色だった頭髪に白い線が数本入っていたときは「こんなにも早く老い始めるものなのか」と悲嘆したがそれと同時に嬉しくもあった。 「周りと違って大人になりつつあるのだ」 私は伸びていく白髪を誇らしげに思った。 のうのうと生きていてストレスを感じない奴らよりも物事を感じ取る網の目が細かい故にストレスを感じて白髪を生やす私のほうが優れているとさえ思ってしまった。 それから白髪の多さを話題に出されたことは何度かあったが、中に

        義理チョコが届くみたいに年賀状が届く

          嘘語源①『ちんこ・うんこ』

          言葉は変化するものであり それ故に元来どのような意味を持ち どのように成り立ったのか忘れられがちです。 そこで身近な言葉の語源を私なり調べ上げましたのでここでいくつかご紹介いたします。 なぜちんこがちんこと、うんこがうんこ呼ばれるか大人になるにつれこれらの言葉は 『公共の場で発してはならない』 『低俗で下品』 といったルールに縛られる不自由な言葉となっていきます。 しかし、過去の人類はどうでしょうか。 もっと自由に「ちんこ、うんこ」と言い合っていたのではないでしょうか。

          嘘語源①『ちんこ・うんこ』

          夜勤とイヤホンと煩悩

          午後9時:S県某所 天候晴れ 気温10℃ 電車を降りて寒気を感じ肩をすくめた。 数十分、生暖かい空気の中で揺られたせいか寒さが露出した顔肌に刺さる。 これからバイトじゃなければこの寒気も季節を感じる趣き深いものだと思うのだけど、今はそんな余裕はない。 重たい足取りで改札を抜けて階段を降りた。ロータリーには客を待っているタクシーがぽつりぽつりと停まっていて、周囲の飲食店はそろそろ閉店時間を迎えるところだった。 「コンビニ前で待てば社用のバスが来ますので。」 電話口の気怠そう

          夜勤とイヤホンと煩悩

          ピザの名前があまりにも魔法っぽすぎるのでご紹介する。

          あまりにも暇すぎてピザの種類を紹介しているサイトにたどり着いてしまい、小一時間「魔法っぽいな」と妄想に取り憑かれていたので、ここで少し吐き出させてください。 1. マルゲリータ、マリナーラマリ、マリナーラ、マルゲリータと進化していく炎系の呪文である。 序盤で覚える割にゲーム終盤まで高い殲滅力を持つので、攻略スレでは    「マルゲリータでよくね」 というレスだらけになってしまうほど。 2.オルトラーナ雷系の最上位魔法。 オルト、オルトラ、オルトラーナと続き、命中率と引き換

          ピザの名前があまりにも魔法っぽすぎるのでご紹介する。

          1分で読めるショートショート

          「…番線ドアが閉まります…」 忙しなく手元を動かし、自分の世界に入っている人が座席を埋めている。 しかし彼は一種のデモ活動みたいに手すりを掴まずそこに存在し、恍惚とした表情で目線を斜め上に向ける。 「…この電車は快速急行…」 車窓からは一面の緑の景色。 気がつけば住宅街に、そして都市部へと景色は姿を変えていく。 しかし彼だけは変わらない。 「次は……お出口は左側です…」 無機質な日本語で駅名が繰り返される。 彼はまだ動かない。車内は彼の周り以外日陰だ。まるで日光を虫

          1分で読めるショートショート

          病院に行ってきたという日記

           腰が痛いな、ヘルニアだろうなと思って病院に行った。  その日は8月には不似合いな涼しい日で、晴れ間のない空から雲が落ちてきそうな曇天だった。  ここ最近の腰痛で、腰はあらゆる動作に関わってるんだなと正に身を以て経験させられた。  例えば、起床するとき。布団の上でデカい芋虫みたいに全身使って起きてた。痛みを和らげるために。  病院内でもそれは顕著だったが、身体の悪い人が集まっている中では、群れに紛れることができたのか目立ちはしなかった。  受付や待合室は、設置された

          病院に行ってきたという日記

          中学生ぶりに映画館に行った話

           動画配信サービスが普及した時代、映画館でしか味わえない興奮を求めてスクリーンの前に座った。  大体のものには 古き良き の観念は存在する。  映画はスクリーンで見ることが古いわけではないが、スマホ一つあれば見れてしまう時代においてはもはや古いと言ってしまえるのではないか、などと考えながら受付から3番シアターへと歩いていた。  上映の5分前に入ったそこはすでに満席。  しかし、それよりも先に聴覚に刺さってくる爆音。  彫りの深い男性が彫り深い男性と轟音をぶちまけながら格

          中学生ぶりに映画館に行った話