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【おすすめ本80冊】神保町本物語。迷えるあなたのための読書案内。【note版】

その悩み、本で解決してみませんか

私はブックコンシェルジュのmoon。
みんなからは、ムーンさんって呼ばれてる。本名以上に知られているこの名前が、私は好き。
月みたいに輝いて、今日も生きていきたい。

トウキョウのど真ん中、神保町。
昔ながらの古書店が立ち並び、世界に誇る本の街。
私はそんな歴史あるこの街で、とあるホテルの支配人を頑張っている。

びっくりするほど小心者な私。

感受性が鋭すぎて、ドラマはすぐに感情移入して疲れるし、日常生活でも周りの人の気持ちを汲みすぎるので、驚くほど生きづらい。

いっぱい悩んでいっぱい泣いて、どうにかこうにか過ごしてきた。

私はたくさんの悩みの答えを、本から
もらっていた。

人生をうまく生き抜く方法はわからないし、人にアドバイス出来るほどの人生経験もない。

でも、この溢れんばかりの「人の気持ちを汲み取る力」とか、「ビビッとくる本を見つける直感力」とか、「とりあえず思ったらなんでもやってみる行動力」とか。

そして何よりも、人よりも何倍も悩んで、その度に本に頼ってきた経験とか。

もしかしたら、もしかしたら、そんなものは活かせるのかもしれないなと思って。

ビビりながらも支配人を務めつつ、ビビりながらもお客さんに選書をさせてもらってる。

今日はどんなお客さんに会えるかな。上手に話せるかな。


もうすでに読んだことがあるって言われたらどうしよう。
もう少しライトな本がよかったかな。

色んな思いが頭をよぎるけど、それでも。

今日も私とお客さんの大切な「一期一会」が始まる。

私にとって、読書はこの上ない娯楽。

もちろん物語を味わうことも楽しいけれど、その本自体が持っている熱とか、そこに漂う空気とか。そんなものたちをひっくるめて、全てを自由に感じながら噛み締めるように読む読書ってすごく幸せだなと思います。

何も難しい啓発本を読む必要はない。そもそも、本は「きちんと読む」必要はあまりないと思うのです。 

パラパラめくる。それだけでも紙の本の素晴らしさは80パーセントくらい楽しめてしまうから。

たくさんある中から「出会うこと」「触れること」そのこと自体に意味があると思います。
何も得なくていい、何も感じなくていい。

ただ、好きな言葉を見つけたり、装丁の美しさに惚れ惚れしたり、肌触りを楽しんだり。

もちろん、全て一語一句逃さずに読んで、それをまとめたノートを作るなんてのもよし。


これはもう、人それぞれ。
性格やその時の気分によって、本を自由に使えばいいと思っています。
本の楽しみ方も味わい方も、それぞれ。

それでいいのです。

読書は自由だから。

私は現在、神保町にあるブックホテルにて勤務しており、そこで、お客様と対話をしながら選書するサービスを展開しています。

この本は、これまでホテルにお越しいただいた本好きの皆様とのやりとりを基にしながら、物語として再構築したものとなっております。出てくる登場人物や相談内容は全て架空のものです。

本書を通して、約80冊の書籍を紹介しています。

そのどれも、私の宝物のような本ばかり。

読書初心者の方にも読みやすいものを選んでいるので、ぜひ本選びの参考にしてみてほしいです。

巻末には、おまけというにはかなり豪華な(!)おすすめブックガイド(66冊のご紹介!)もご用意しています。
ぜひお好きなところからお楽しみください。

さてさて、そろそろ本日のお客様がいらしたようです。

いってきます!

⭐️こちらは、Kindleにて出版している書籍をnote用にアレンジした記事です。
完全版はぜひKindleにて!



<第一章> 
誰かと比較してしまうならいっそ比較しまくって最強の私になればいい。


「ようこそお越しくださいました。ブックカウンセラーのmoonです!」

暑すぎる日を真夏日というのなら、溶けてしまうようなこんな天気にも名前をつけてほしい。今日は絶対に真夏を超えている。
そんな日に来てくれたお客様。
ゆずか様。28歳の女性。

事前のアンケートで「自分なんてダメな人間だと思います」と書かれていた。すごく、すごく気になった。

こうしたアンケートで本音を書いてくれる人は、実はあんまりいない。
どこかみんな隠しながら、どこかみんな濁しながら、そうやってみんな生きてると思う。


「moonさん。お願いします。もう私、疲れました。」

だから、第一声からこんなふうに始まったゆずか様は私にとって新鮮で、自分を開示してもらえるとやっぱり嬉しいものだな、と力が入った。

「ゆずか様、事前アンケート拝見いたしました。ものすごく共感の嵐でした。もう少し詳しく教えていただいてもいいでしょうか。」

書いてあることだけが全てじゃない。第一印象が全てじゃない。とにかく「聴き出す」私のカウンセリングで心がけていること。

「なんか、自分なんて。という思いが全く消えないんです。人より遅れている気がするし、人と比べてダメだな、と落ち込む日々です。『みんなすごいのに自分は』って思います。」

「わかります。なんなんですかね、この『隣の芝生は青い現象』」

スラスラと話してくれるゆずか様。

「はい。比べても仕方ない、自分らしく、とかいうけれど、でもそんなの難しくないですか?私は私らしく、ができていたら誰もSNSなんてやらない気がします」

「本当ですね。今のSNS、見ているだけでしんどくなりません?でも、見ちゃうっていう」

「まさに、です。見ても誰か知らない有名人とか、インフルエンサーとか、興味ないのに覗いてしまって。友達が子供産んでいたりすると、おめでとうの言葉よりも先に、私なんて…と思ってしまって。」

「SNSは中毒性がものすごくありますよね。やめたいけどやめられない。見たくないのに見てしまう。ちなみに、スマホは、普段結構見られてますか?」

「もうずっと見てます。大体NetflixかYouTubeですね。だから、なんだか時間を浪費しているようで、すごくもったいないなぁって思っていて。正直、この習慣をやめれば自己否定もしなくなるかなぁとは思うんですけどね。何かいい方法ありますかねぇ。」

もうこの辺りで本を紹介したくてうずうずしてくる。私が読んで効果のあった本。私には合わなかった本。いろんな本を読んできたから、伝えられることがたくさんある。

最近は本を読む前から、自分が得たいと思っている答えを知ることができる本を選べるようになってきた。

「私も、過去に『スマホ脳』や『時間術大全』などのタイムマネジメント本を読んで、絶対スマホ使わないぞ!と誓ったのですが、三日坊主になってしまって。

でも、1冊だけ、私にとって効果のあった本があったのでお伝えしますね!かなり有名な本ですが『小さな習慣』というものです。」

「あ、自己啓発系ですよね。名前は聞いたことあるんですが、自己啓発って苦手なんですよね」

ビジネス関係、というだけで眉をひそめるお客様は多い。自己啓発、という言葉自体に嫌悪感を抱いている方もいる。無理強いはしないけど、でも、せっかくなら踏み出してみてほしい、という気持ちもある。だから。


「わかります。私も難しいビジネス書はあまり。だからこそ、読むというより答えを見つける、そんな宝探しのような感覚で読みたいところだけつまみ食いしてみては?と思うんです。
それに、この作者さん面白いんですよ。よく、変えたいことがあったら習慣に入れ込めばいいっていうじゃないですか。歯磨きみたいに毎日の生活に組み入れてしまえば、意外とダイエットも勉強も続くっていう。この本のテーマはずばり、そんな形で習慣を変えていこうというもの。ここまでは「よくある話だな」と思ってしまったのですが...ここからがこの本の真髄です。著者が、生活の中に組み入れた習慣は、びっくりするほど「小さすぎること」だったのです。運動を毎日の習慣にしたい著者が取り組んだこと。それは、『腕立て伏せ1回』でした。」


「え!!それは、もはや、やる意味ある?って思いますね。笑」

お、好感触。

「本当にそう思います。ただ、毎日1回でもやれば月に30回になる。それがどんなに小さなことでも、『継続できている』という事実がある。そこから、自信に繋がりますよね。どうしようもなく小さなことから始めることで続けることが楽しくなって、気づいたら習慣化できていたという内容なのです。私自身、どうしても本を読みたいのに、電車の中でスマホばかりみてしまう時期がありまして。なので、電車に乗ったら本を開くという習慣をつけてみたのです。読まなくてもいいから、とにかく本を持っていって開く。それを毎日続けると、電車を見るだけで本を取り出さなくてはと思うようになりました。一度開いたら読んでしまうので、以前よりも本を読む時間を増やすことができたんです。」

「なるほど。それくらいだったらできる気がします。」

「はい。先ほどもお伝えしましたが、ビジネス書は、全部をちゃんと読む必要は正直ないと思います。クスッと笑えるエピソードや、自分に必要があると思える箇所だけ拾い読みをしてみる。そして、もっと知りたいと思った箇所だけ深掘りして読んでみるのがいいと思いますよ。全部読もう、吸収しようと思うかも知れませんが、千円ちょいで知識が得られるなら安いもんだ!と割り切ってもいいのかなぁと。辛くなるほど読まず、自分に都合のいい解釈をするのもおすすめです。ゆずか様が『誰かと比べてしまう』時に、『この人は、この分野ではすごいけど、私だって〇〇続いてるもんね〜!』という自信になるのでは、と思ったんです」

「なんだか、今までは誰かと比べないように抑え込んでいたんですけど、そもそも、比べてしまうのは仕方ないことですよね。みんな違う人間ですもん。」

「はい。比べてもいい、と私は思います。比べてしまう自分を責めないことが大切なのかなって。みんな、絶対何かしら悩んでます。芸能人だって、偉い人だって、人間なので!だから、生きている限り絶対に誰かと比較してしまうのは仕方ないと割り切るのもアリな気がしてます。そういう意味ではある種、他の人と違うぶっ飛んだことするのもいいような気がするんです。」

「ぶっ飛んだこと!」

「これは漫画なのですが、わたなべぽんさんの「やめてみた」シリーズなどはまさに必見です。」

「漫画はそんなに読んだことないです。」

「エッセイ漫画なので読みやすいかなと思います。ある時ふと、これ本当に生活に必要なのかな?と疑問に思った著者が、いろんなものを捨てたり、いろんな習慣をやめてみる。そんな内容になっています。

それは例えば、炊飯器だったり、お酒だったり、友人関係だったり。そうすることで日常で当たり前だと思っていたこと、こうあらねば、と思っていたことに、本当に意味があるのか?と思えてきたー。

そんなお話なのですが、これは情報が錯綜する令和だからこそ読んでもらいたいなと思っています。」

あ、だめだ。おすすめしたい本がまた出てきてしまった...。途中からおすすめしたい本が次々と出てきてしまうのは私の悪い癖だ。
でも、これはぜひ読んでほしいんだ...。

「あの、もう1冊おすすめしてもいいでしょうか。吉田修一さんの『横道世之介』です。吉田修一さんは映画にもなった『悪人』のイメージが強いようなのですが、こうしたほのぼの系というか人間ドラマ的な作品も描かれていまして。登場人物の「世之介」はこの、忙しない東京を生きているにもかかわらず、良い意味でぼんやーりしてるんです。自然体で、肩の力が抜けていて、背伸びしないでありのままに生きている。だからものすごく愛されるんですね。今の時代、みんな必死すぎて自分を飾ろうとしたり、よく見せようとしてしまうのですが、彼はその真逆。『人たらし』とも言えるかも知れませんね。なんだかみんなが彼といるとほっこりしてしまうんです。彼から学ぶところはものすごく多いですね。最近続編も出たのでそちらもぜひ!」

だめだ、止まらない。
こうしてお話ししてると、どんどんご紹介したいのが増えてしまい、もはやカウンセリングというよりおすすめ本の紹介になってしまう。

このまま続けてもいいか、断ってから、おそるおそる口を開く。


「あの、ちなみに同じ作者さんの「静かな爆弾」が私の中でビビッときたので、紹介したいのです。これは、音のない世界を生きるヒロインとの恋愛を描いた物語。正直ちょっと嫌なやつが主人公でして。先ほどの『世之介』とは真逆の仕事人間なのですが...。

この主人公の目線でしか語られない、音のない世界での恋愛模様が、なんともリアル。決してよくある切ない系ではありません。限られた文章から考えさせられる、想像させられる。男女のすれ違いを味わってほしいなと思いました。」

「ムーンさんの愛が溢れてますね笑」

「すみません、脱線してますね、、。これは今回のお悩みコーナーとは関係ないのですが、単純に私のイチオシです。これ以上吉田修一さん愛について語るとおかしくなりそうなので、もしハマったら他の作品もおすすめするので教えてください。」

ゆずか様は笑いながら聞いてくれていた。そのうち大きく頷いて、そのあと少し目線が泳いで、そして恥ずかしそうにこう言った。

「最近、あの、好きな人ができまして。この歳になって誰かを本気で好きになるなんてないと思っていたので結婚も諦めていたのですが。なんとなく、言いたくなって言いました。ごめんなさい、急に。」

こういう瞬間が、ある。

誰かの触れていいのかわからない言葉に触れて、なんて言ったらいいかわからない気持ちになる。私が自分のペースで話しまくるから、つられてつい話してしまった、みたいな顔をされることが。

「ゆずか様、嬉しいです。言いたい、と思った言葉を伝えてくれて。ぜひ、今を楽しんでください。全力で素敵な恋をしてくださいね。今度は恋バナも聞かせてください。」

いい表情が最後に見れた。「もう疲れたんです」と言い放った彼女からは想像できない笑顔が。

見送りながら、「自分に向けた言葉ばかりだったな」と思った。本当はこのカウンセリングは、誰かのためじゃなく、自分のための時間なのかもしれない。

人と比べてしまう。自分らしくいられない。続かない。自分が嫌になる。

みんな、そんなもんじゃない?って私は思ってる。

辛いことや嫌なことを、好きなことや好きな人で薄めながら毎日を過ごしていけばそれでいいんじゃないかなって思ってる。

ううん、そう、

思いたいんだ。


★本日の「お守り本」

・スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』
・わたなべぽん『やめてみた』シリーズ
・吉田修一『横道世之介』


★本日の「おまけ本」

・吉田修一『静かな爆弾』


★ムーンの小部屋

選書は、大体複数本を用意するようにしています。その方に合う本を、と考えると既読本であることも多いので。それに、いつもと違うジャンルの方が楽しいかな、と小説や実用書・自己啓発本、時には詩集なども混ぜ込んでご案内するようにしています。

ただ、お話しているとついつい盛り上がり、今回のようにおすすめ本を語り尽くす、ということが多いです。私は大学生のころ吉田修一さんにどハマりしまして、それ以降好きな作者さんを聞かれたら大体「吉田さん」と答えています。この方は肉食ガッツリ系も草食系も、重い物語も、軽やかで爽やかな風景も、海外ものも、なんでも書ける最強の作家さんなので、その時の気分に合わせて選ぶことができちゃうのです。ちなみにホームページには、どの本が自分に合っているのかを知ることができるナビゲーションがあり、そちらもおすすめ。

「パーク・ライフ」や「ランドマーク」もすごくいいのですが、中でもやはり「怒り」は抜群です。読んで疲れるけど、この小説を上回る作品に私はいまだに出会えていない。圧倒的な描写で眠るのを忘れて読んだことを思い出します。お客様に合わせて選書しているので今回は選ばずでしたが、重めのミステリーが好きな方や、日頃から社会問題を深く考えることが多い方、深く思考することが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。

<第二章>「恋愛」とは、恋と愛の違いを知ることだと思うから。


「ようこそお越しくださいました。ブックカウンセラーのmoonです!」

雨がまばゆい。雨は嫌いだけど雨粒は好きだし、雨の音は神秘的だと思う。そんな時だって、1冊の本を求めて。そして、私を求めて。会いにきてくれる人がいる。

まりの様。34歳の女性。事前のアンケートで「このまま1人なのかもしれません。笑」と書かれていた。
多分この「笑」は笑ってない。本当は1人で悩んで苦しんで、もがいて、眠れない夜だってあったはず。真相はわからないけれど。
だから「笑」を信じずに、私は待つ。素敵な恋を見つけてほしい。
「moonさん、よろしくお願いします。結婚に興味はないんです。趣味も楽しい。だからこそ、それでいいはずなのに。なんかもやもやするんです。」

「まりの様、お越しいただき、ありがとうございます。まりの様には、たくさんの趣味がおありなんですね」

「ですです!私アクティブで!バスケもするし、ゴルフもするし、乗馬もします。あとは絵を描いたり、ヨガをしたり。ちなみに好きな歌手、というか推しもたくさんいるので、ライブにもいくしで毎日とっても充実してるんです。あ、真面目に聞こえるかもしれませんが、今は心理学の勉強とかもしてます。」

「なんだか私、すっごい憧れます。自分らしく生きてる!って気がして。」
これは、心からの本音だ。人生を謳歌しているようで、素敵だ。


「でも、周りはみんな結婚して子育てしてるんですよ。好きに生きている今の自分とのギャップがありすぎて、萎えます。正直マウント取られてる気もしてますし。別にいいって決めたのに、なのに、それはどこかで嫌なのかもしれません。」

「おそらく、ですけど、まりの様のことが羨ましいんだと思いますよ、きっと。」

「そんなことないのです。いい人がいれば...なんですけど、お恥ずかしながら、恋愛はご無沙汰で...。親のためにもちゃんと孫の顔を見せたいなと思わなくもないのですが。親は何も言わないんですよね。だからまぁいいのかなとも思うし。でも...まぁ迷っているからこそ選書をお願いしたんですけどね。笑」

「なるほど...。私は恋愛ジャンルが実は得意なんです。まりの様には、ぜひ恋愛モードになってもらえるような本をご紹介させて頂ければと思っています。たくさんあるのですが...
まずは、畑野智美さんの『大人になったら、』はいかがですか??35歳の誕生日を迎えた女性が主人公のお話です。」

「え、私も今月35歳になります」

まりの様が食いついた。
ふふふ、それもあって選書したんです、とは心の中にしまっておく。
偶然を必然と捉えることは読書の楽しみの一つだと思うから。

「これは久しぶりの恋がテーマの1冊なんです。大人なのに素直になれない。いや、大人だからこそ、素直さがわからない。ただ、『大人』ってそもそも何?何をするようになったら大人なのか?と考えさせられます。自分の中にある『子供』部分と『大人』部分について向き合うことができると思います。

大人の恋愛って、なんでこんなに難しいんだろうって私もよく思うんですけど、きっと小さい頃みたいに純粋でただ好き、だけじゃなくていろんな条件とかいろんな体裁とかを意識しすぎて、がんじがらめになってしまうのかな、と思います。」

とここまで話してちらりと、まりの様を見る。

「私、誰かを好きになると自分が面倒臭くなってしまうんです。なんだか、尽くしてあげよう!みたいに思って、色々やりすぎて面倒くさがられたり、メンヘラみたいになったり。いつもと違う自分になって、だから恋愛って苦手というか。自分の知らない自分が出てきて、それを認めてあげられないというか。なんだか、自分じゃない自分を受け入れられないんです。好きな人に甘えるなんて、そんなの私じゃない、みたいな。だから頑張りすぎて疲れる。こんな私じゃ結婚なんて難しいだろうなと思うんですよね。」


「すごく、わかります。そうしたら、まりの様にぴったりの本をご紹介しますね。『ゲスな女が、愛される。』って知ってます?心理カウンセラーの心屋仁之助さんの書籍で、食わず嫌いをする人が非常に多いのですが....。おそらくタイトルが強烈すぎるのかなと思います。笑」

見るからに、まりの様は不安そうだ。

「ゲスって、、あの。私と縁がなさすぎる気がしています。」

「ただ、内容はそこまで破壊力はなく、むしろ女性の心に優しく寄り添ってくれる内容となっています。いかに「真面目に生きてきた女性」が『足し算の女』である、と述べられているんですね。
大事なのは、「バーベキューで肉を焼いてあげる女性」(足し算の女)ではなくて「お肉を取ってもらって、おいしい!と伝えられる女性」(引き算の女)だそうです。

私は長女ということもあり、これまでどんな人間関係でも「肉を焼いて」「野菜取り分けて」「話題を振って」というの立ちまわりをこなしてきたのですが、ずっとこのまま生きていくのは、めちゃくちゃ疲れるなと思いまして。

だからこそ、ちょっとわがままくらいに生きてやろう。私がわがままになって、誰かに迷惑をかけてみる経験をしたらどうなるだろう、とこの本を読んでから実験してみたんです。それが、全く迷惑だと思われていなくて。普段は真面目に生きている人は、ちょっとくらいわがままを言うくらいがちょうどいいのかもしれないなと思いました。」

まりの様が、頷いた。私のカウントが間違ってなければ、合計6回、頷いた。

「私自身、実は三兄弟の長女で。自分で言うのもなんですが、ものすごくいい子だったので。そういう意味でも、ちょっと気になります。」

『ゲスな女が、愛される。』は真面目に生きてきた長女や、その気質がある方必読の本かもしれませんね。自由に真っ直ぐに自分らしく生きる。そうしているだけで仕事も恋もうまくいきだすのかなって思います。

もしかして、まりの様が『甘えられない』とおっしゃるのはご自身に厳しいのかな?と思ったんです。そして、こうしなければ、という思いが強いのかなぁと。」

「それはありますね。人に言われたわけではなくても自分で自分に負荷をかけている節はあります。マスト思考というのですかね、それもあると思います。」

「たとえば、恋愛ではこうあるべき、みたいな思想が染み付いていて、愛されるためには甘えなきゃとか、大切にされたかったら想いを伝えなくちゃとか、そんな「こうしなくては」があるのかなとも思いまして...。でも、恋愛は十人十色どころか百人百色です。江國香織さんの、『はだかんぼうたち』をぜひ読んでいただきたいです。

『はだかんぼうたち』では、年齢も性別もさまざまな人々の目線で書かれています。まさにタイトルどおり、それぞれの登場人物の心が丸裸にされていく様子に、『あぁ、当たり前だけど色んな人がいるな。なんだか、みんなそれぞれだな』と思わされます。

恋愛は、人に見せない部分を全て曝け出したり、うまくそれが出せなかったり。そんなことの連続です。自分が自分でなくなるほどおかしくなるとしても、それは他の人も同じじゃないのかな、と思うきっかけになればと思います。

江國香織さんは「現実」をそのまま、淡々と書く天才だなと思います。
そして、いつもいろんな恋の形について考えるきっかけをくれるんです。」

「ムーンさんは、本当にたくさん読まれているんですね。ぜひチェックしてみます。」

そんなふうに言われると、サービスしたくなって、つい。
いや、自分で言いたいだけだけれども。

「最近読んだ中だと『隣人の愛を知れ』がもう抜群に良くて。著者は、尾形真理子さんです。恋のその先、愛のその先が描かれていて、この本に今出会えてよかったと本気で思いました。登場人物がたくさん出てくるのですが、それぞれがお互いに絡み合って、それぞれの人生に影響していく。恋とか、愛とか、しんどくてつらくてどうしようもないけど、愛おしいなぁと思える作品です。あ...気づいたら、4冊もご紹介しちゃいました。ぜひその時の気分で選んでみてください。」

「ありがとうございます。おすすめされるとその時は読もうと思ったり、購入したりするのですが、なかなか読もうという気分になるのは腰が重くて。こうした機会があると、ムーンさんに読んだ感想伝えたくなるので、俄然読んでみたくなります。」

「嬉しいです。これだけおすすめをしておいてあれですが...本当に必要な本は、人に勧められた本の中だけにはもしかしたらないのかも、とこの仕事をしていてなんですが、思う部分もあります。」

だって、人生ってそんなに単純じゃないんじゃないかって。誰かが作った本のまとめサイトやおすすめのガイドマップ。それだけを信じて生きていたら効率がいいかもしれないし、失敗は少ないかもしれないけれど、『ああ、この本はなんか違ったかも』みたいな経験とか失敗とか、そういう泥臭いことを乗り越えてなんぼみたいなところがある気がするんです。

私は立場上、もちろん全力でまりの様に合う本を探させていただきましたが、全てが答えじゃない。全てが間違いでもない。ムーンがいいと言ったから面白い、もないし、つまらないもない。そんなふうにいろいろ思考を巡らせながら読んでほしいなと思います。」

まりの様の目の中に光が見えた、気がした。目玉の中のキラキラしている部分が、さっきよりも増えているように思える。そんなのは錯覚だと言う声も聞こえてくるけれど、私がそう思うのだからいいのだ。

最後の方は、少し語ってしまったかなと反省だ。聞くことが好き、大切。と分かっていても、ついつい想いが溢れ出してしまう。話していると思考が脱線して大変なことになる。

これはもしかして、話すより、『書くBOOKカウンセリング』の方が向いているのかもしれない?メールでやりとりするようなカウンセリング。ううむ、悪くないぞ。
そんな風に常に脱線する私。今頃、本を読んでいるのかな。楽しんでもらえたらいいな。


★本日の「お守り本」

・畑野 智美さん『大人になったら、』
・心屋仁之助さん『ゲスな女が、愛される。 -あっという間に思い通りの恋愛ができる!』
・江國香織さん『はだかんぼうたち』

★本日の「おまけ本」

・尾形真理子さん『隣人の愛を知れ』

★ムーンの小部屋
今回は恋愛一色という感じで、いろいろな角度から愛について考える本をセレクトしました。
恋愛ハウツー本は世の中に溢れまくっているのですが、大きく分けると3つ。

意識を変えると運はついてくるという少しスピリチュアルテイストのものと、
男女でこんなにも違う!相手の喜ぶ言動はこれだ、という直接具体的ハウツーのもの、
そして自分とどう向き合うかの大切さを教えてくれる自己分析本。

私は、自分自身に合う本がなかなか見つからず、あれもこれもと読み漁ってきました。

もちろんインターネットでも検索の日々。

でも、わかったことは、人生で答えの出ないことなんていっぱいあるんだなってこと。それから、人に言われたくらいで変わるほど、私たちは甘っちょるくないんだなってこと。

仕事術とかはまだ「参考」にできることはあっても、恋愛や生き方なんかは、なかなかどうにもできないことも多い。だから「こうするといいですよ!」「私はこれで結婚ができたよ」というハウツー系は、半分くらいで聞き流して、それよりも圧倒的に恋する人の心理を学ぶことにしました。それは大学が、心理学部だったこともあり、学術書が中心にはなりましたが(今回は紹介はしませんが)それよりも何よりも、人の心情の変化が一番よくわかったのが、小説でした。

ここまで主人公の恋模様を覗いちゃって大丈夫?というくらい、ありありと描き出す作家さんたち。そりゃあ、時には「ちょっとこの表現無理かも」っていうのもありますが...。(正直、そんなのは生身の人間だったらもっと色々あるもの。事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので。)

そんなこんなで、今回は割とライトめのものをチョイスしましたが、本気で恋について考える、となればもっともっと感情がぐっちゃぐちゃになる本もお薦め。自分と考え方が相当離れている頭のおかしい主人公の話を読むと、自分の恋の悩みは割とどうでも良くなります。笑
そういう意味ではFさんの「20代で得た知見」も必見です。恋愛アドバイスがドダ〜〜って書かれているのに、最後に「このリストの全てを疑え」と書いてあって、なんだか救われた気分になります。

<第三章>完璧主義の仕事人間を治したい?そんなのは無理だ、諦めよう。


冬が歩いてきた。
そんなふうに感じることがある。
周りに伝えると、「どういうこと!?」と笑われる。

ソフトクリームに牛肉をまきつけた、牛乳ならぬ「牛肉ソフトクリーム」を発売してみてはどうだろう!と目をキラキラさせながら言うと、「意味わからないから!」と笑われる。

仕事が物凄く忙しい時に、あえて新しい趣味を始めてみたり、あえて引っ越しをしてみたりする。環境を変えて、ストレスを減らすために、家にある物をほとんど全部捨ててしまったこともある。周囲に伝えると、「ムーンって、0か100しかない感じだよね!」と笑われる。

でも私は、自分の奇想天外さが好きだ。
でも私は、自分の無双っぷりが好きだ。

今日のお客さんは、森永様。働きざかりの30代の男性。
事前アンケートで見る限り、どうも根を詰めすぎているような気がして。真面目で頑張り屋さんなんだろうなと思う。

突飛なアイデアで彼を救えたら、なんて思うこともあるけど、それはきっと傲慢だ。
私が思う「相手にとってのベスト」は、彼にとって、ただ苦しいことかもしれない。
だから、今日も「こうした方がいいですよ」といったアドバイスはしないようにしたい。「仕事とは、求められることに対して与えることであり、勝手に与えることではない」
恩師の言葉を、胸に刻む。


「割と完璧主義なのかなって思うことがあるんですよね。自分の中での完璧を突き詰めていく感じでして...。本当にそれが正しいことなのかはわからないですけど、でも...ううん。そうですね。なんだか、あれをやりたい、これをやりたいというのがどんどん出てきて、それを思ったタイミングで実施できない自分ももどかしいし。

『仕事早いね』とか言われることもありますが、自分では全くそう思わないし。だから、そうですね …自分が自分に厳しすぎるのかもしれないけど、それすら自分ではそんなふうに思えない、というループで大分メンタルやられることもあって。なんていうんですかね、完璧主義をどうにかする本が知りたいです。」

早口で語る、森永様。
ふぅ、と一息置いている様子から、とにかく何かを吐き出したかったようだ。

「お伝えいただき、ありがとうございます。お仕事で...責任感を発揮されている、という感じですかね」
まずは、少しずつ寄り添っていきたい。

「そうですね、仕事人間なのは自覚があると思います。仕事じゃないところは人に迷惑がかからない程度に適当にしているんですが、仕事となると急にキャラ変バリにモードを切り替えてしまいまして。そうなると、対人関係でも結構怒りを覚えたりします。

それは『自分だったらこうするのに』という想いがあると部下にもそれを求めてしまうからです。そんなふうに自分が思ったことを自分の価値・基準で伝えてしまうことがあって、後から後悔したり。仕事人間になっているのがいけないのですが。余裕がないですね、正直」

わかりみが深い。いや、こんな言葉だけで片付けてしまってはいけないだろうが、本当にこの言葉に尽きる。令和用語は便利だ。それでも。半端な共感は、今日はしない。

「お仕事が生活のほとんどを占めている、といった感じなのですかね。」

あくまで聴き切る。私。

「そうですね、管理職としてスタッフをまとめる立場にありまして。飲食で、かなり展開しているところなんですが、事故防止はもちろんのこと、それぞれの店舗ごとの売り上げ目標を立てたり、新しい施策の検討もしないとだし...って、すみません。仕事の愚痴になりますが。でも、僕自身は面白そうと思ったことはなんでもやりたいんですよね。ただ、それをうまくやってもらう、委任するみたいなのが苦手で。」

「森永さまの頑張り、私は周りに伝わっているんじゃないかな、と思いますよ。周囲の方とのご関係はどんな感じなのですか??」

「それが、ありがたいことにみんなついてきてくれて...それが嬉しいんですけど、自分で自分のことを許してあげられない部分もあるので、本当はみんな無理してるんじゃないかなって思うんです。」

言われた言葉だけを信じるって、できるようでできない。
想像で苦しんで、想像で悲しんで、想像で期待するのが人間だ。

少し、間口を広げてみようか。

「ちなみに、かなりお忙しいだろうなと思うのですが、本当に仕事のことを考えなくていい、という時があったとして、何かしたいことありますか?」

「そうですね。でも、休みの日も結構仕事してるんですよね。趣味と言われても。本は読みますし、YouTubeとかは普通に見ますが...」
かなり、かなり無理をされてるような気がする。

「私がお薦めしたい本、決まりました。『最高の体調』『科学的な適職』など、数々の名著を生み出している鈴木祐さんの作品『無(最高の状態)』です。

私たちが悩む理由。それは、「事実の苦しみ」ではなく、そこから派生した「第二の矢」によるものなのだそうです。

第一の矢がクレームが起きた、だとしたら、そこから『管理体制を築けていなかった』と思い悩む、みたいなのがおそらくこの第二の矢なのかな、と。
人間関係において、さまざまな妄想で疲れてしまったとき、私自身もこの書籍を読むことで、自分の生み出す「自己」を切り離すことについて学び、かなり生活にいきた経験があります。

かなり分厚く、『無』の状態になるためのプロセスが説明されているので、
全てを読み解くのは時間がかかるかもしれませんが、ぜひしんどい時に少しずつ読み進めてもらえたらいいのかなと思います。」

森永さんは、きっと賢い人だと思うから、きちんとしたエビデンスに基づく脳の休ませ方などをお勧めしたいと思った。この本は、出典がきちんと明記されているので、論理的思考で物事をジャッジされる方にも受け入れやすいと思う。

「また、お仕事のことを忘れて没頭できる作品とかも、と思うのですがどうですか?」
趣向を変えていく。森永さんが、少しずつ笑ってくれている。
緊張されていたのかもしれない。

「そうですね、人文とか哲学系とか、ミステリーとかは読みますが、最近本当に疲れてて読んでないので、もう少しライトに何も考えずに読める本が知りたいです。」

「それでしたら、朝井リョウさんのエッセイはどうですか?

『風と共にゆとりぬ』が個人的に好きすぎて。実はエッセイ三部作のちょうど二作目なのですが、前後を知らなくても大爆笑できるかと思います。
朝井さんは、その文才や表現力がすさまじいパワーを持っていて、天才的すぎる...。もう、私が浅はかすぎてすみません、と言いたくなるような重たい小説もあるのですが...。
このエッセイは、同じ人が書いたと思えないほど、ライトなのです。
ちょっと驚くくらい、朝井さんの身に降りかかる災難が面白おかしく描かれています。私が電車で読んで後悔したのは、後にも先にもこの1冊だけですね。

これは持論ですが、仕事で忙しい時って、仕事のこと忘れることがなかなかできないのかなと思うんです。
そういう時、『頑張らなくていいよ』みたいな本とかって、あんまり響かないのかなって。そんなことはもうすでにわかっていて、その上で頑張っているのだから。なので、たくさん笑って、たくさん疲れて、たっぷり寝てもらえたらいいのかなと思いました」

「おぉーたしかに。睡眠は浅くなりがちです。寝ようと思っても寝付けずにスマホを見ることも多くて。さらに寝れないという」

「なるほど、それでは、そんな時に読んでいただきたいな、という本も選んでみますね。正直、睡眠に関する本は私もたくさん読んだのですが、正直書いてあることはどれも似ている気がして...最近読んで1番ぐさっときた1冊をお伝えします。その名も、『運動脳』です。

「あれ、なんかどこかで聞いたような」

「『スマホ脳』の作者、アンデシュ・ハンセンさんが書いたものです」

ああぁ!と納得の様子。私も初めて知った時は同じ反応をしたのを覚えている。

「なぜ急に、運動!って感じですよね。アンケートの趣味の欄には特になかったのですが、普段から体を動かしたりされてます?」

「いえ、嫌いではないのですが、なんというか時間がもったいない気がしてしまって。」

「すごく分かります。運動って、前後の準備や片付け、シャワーとか、色々付随してきますもんね。笑」

「そう!そうなんです!バスケするだけ、とかなら楽しいのに、時間がかかるというか」

『運動脳』が伝えたいことは運動の素晴らしさ、その一点なのですが...。運動するのがなぜいいのか、その理由がこれでもか、というくらい詰め込まれていて、これで運動しない人はいないかもと思えるような濃い内容だったんです。

私たちの脳の海馬は、年々小さくなっているようなのですが...運動によって、その働きがむしろ活性化されるそうなのです。なんと、ストレス軽減だけではなく、うつやADHDの薬よりも効果があり、クリエイティブなことを考える方にとってもプラスに働くようで。
この本の中で、村上春樹さんが4時起きで運動していると紹介されており、私も一念発起して運動を始めてしまいました。笑

今回のお悩みにも、もしかしたら刺さるかもしれませんが、そうでなかったとしても、心のお疲れを癒すのに、『疲れるくらい動く!』というのは有効かもしれないなと思いまして。」

「人間関係や仕事の悩みで、運動の本を紹介されたのはなかなかシュールというか面白いなと思いましたが、今日の中ではこれが1番読んでみたい!と思いました。

なんだか、割と理由がはっきりしていないと頑張れないタイプで。スマホ脳は読んで納得、で終わってしまいましたが、この本はメモとりながらよんでみようかと思います。」

「ぜひ!1冊目の本でも、マインドフルネスの一環として、歩くこと等の大切さについて触れていたので通ずるものがあると思っています。そして...。これは今回のお悩みと直接関係はしないのですが、もう1冊だけ。単純に私のお気に入りの書籍なのですが、世界ゆるスポーツというのを提唱されている、澤田智洋さんの本『マイノリティデザインー「弱さ」を生かせる社会をつくろう』という本がありまして。これがもう、私的には今年no.1と言えるかもと思ってます...!」

「えぇと、これはデザインの本ですか?」

「私も最初はそう思ったのですが、ウェブのデザインなどではなく、人生のデザイン、というニュアンスの方が近いです。作者には全盲のお子さんがいらっしゃいます。そのことが澤田さんの人生の方向性を変えるきっかけを与えてくれたんだそうです。

この本が伝えたいことは、自分の中にあるマイノリティ、弱さの部分に着目して新しい発想を生み出す、ということの大切さ。

澤田さんは運動が苦手だったようなのですが、自分の中のマイノリティである部分を考えていくうちに、でもそれは『運動弱者なだけだ』と捉え直し、それが「ゆるスポーツ」という新ジャンルスポーツを生み出すことに繋がったのです。


私自身、自分の得意なことには目を向けることはあっても、弱さに着目してそれを誰かのために分け与える、という発想はなかったので、目から鱗でした。

この本では、そうした発想の柔軟さや、優しさが基盤となったクリエイティブな活動が多数紹介されていまして、自分の発想がいかにカチカチに固まったものだったのかを思い知らされました。


あれ、余談なのに長くなってごめんなさい。ぜひよかったらご覧くださいね。また機会があればお話しましょう!」

いけないいけない。カウンセリングと言いながら、最後にはどうしても「推し本紹介」になっている。ただ、この「推し本紹介」がなかなか好評だというのもまた、私に調子を乗らせているきっかけになっているのも事実で。

どの本が、どんな人に刺さるかなんて、わからない。だから少しでも幅を広げておきたいし、私が心からおすすめしたいと思える作品たちだったら、自信を持って伝えることができる。

いっそのことカウンセリングと言わず、今月の推し本を語るイベントとかに変更しようか。ううむ。

そんなふうに、今日のお客様との会話を振り返る帰り道。

メールにて、感想が送られてきた。

「話すことが苦手だったから緊張していたけれど、とても濃密な時間でした。今、神保町で、紹介してもらった本を買ってみたので、端から読んでみます」と。

ニンマリしながら、歩いてゆく。「私こそ、ありがとうございます、です。」
ニヤニヤがバレないように、そっとマフラーを巻き直した。

★本日の「お守り本」

・鈴木祐さん『無(最高の状態)』
・朝井リョウさん『風と共にゆとりぬ』
・アンデシュ・ハンセンさん『運動脳』

★本日の「おまけ本」

・澤田智洋さん『マイノリティデザインー「弱さ」を生かせる社会をつくろう』


★ムーンの小部屋

今回は男性向けの選書を心掛けました。気づいたら、偶然にも全部男性作家さんの本でした。
カウンセリングは、わかりやすく性別で紹介する本を変えることはまずないですが、
『右脳系』なのか『左脳系』なのか、感覚派なのか論理派なのかによってアプローチの仕方を変えることはよくあります。今回の本は、エッセイ以外はビジネス寄りの選書になりましたが、この方はそうした結論が分かりやすく、出典がしっかりと明記された本がいいのかなと思ったのです。お忙しそうだったので、読みやすさも考慮しました。とはいえ、ビジネス系の本を人にお薦めするのはなかなか体力がいることです。

私は仕事柄、自分の読みたい本以外にも、「この仕事の人にはこれがいいかな」などと考えながら読書するようにしています。

それが必ず刺さることもあれば、私の勉強不足で力が及ばないこともある。
だから、そういう意味では、ビジネス・自己啓発ジャンルは、できればおすすめというより、ご自身で書店で見つけられた方がいいかもな、と思うのです。

ただ、心と体の健康にアプローチする本や、自分の考え方の凝りをほぐすような自己解釈本は、どんな方であっても響く部分があると思っています。

そのため、割とどんな悩みの方にもお薦めしやすいなと思っています。

最後のオマケ本は、作者の澤田さんがコピーライターとして活動されていることもあり、本の組み立て自体から学ぶこともたくさんあります。「言葉」を司るプロであるコピーライターさん、編集者さん、そしてアナウンサーの方からは学べることがかなり多いと私は思っており、積極的にそうした方の書籍に触れています。

自分のやりたいこと、自分の伝えたいこと、それに気づいて表現すること、仲間を探して巻き込むこと、ただアイディアを思いつくのは誰にだってできますが、それらをアウトプットするにはどうしたって、書いたり伝えたり、『言葉』が必要不可欠です。

読書は素晴らしい知的好奇心を満たす手段である一方で、たくさんの「伝え方」を教えてくれる教科書でもあるということでしょう。

いろんな作家さんの文章に触れ、自分の感覚を磨いていくことは、どんなビジネスマンにもいきていくだろうなと本気で思っています。

【あなたへの処方箋本01-34】


ここからは、これまで出会ったたくさんの方から寄せられたお悩みに、私が独断と偏見で本をお薦めしていきます。自分の経験に基づいた、効能と副作用も書いていますので、よかったら参考にしていただければと思います。ビジネス書からエッセイから小説から漫画から...様々です。お仕事や家事の合間に読みやすい本たちが揃っております!


<<お悩み>>

1:行動する勇気が持てない。

◆処方箋本
『マンガでわかる チーズはどこへ消えた?』
(スペンサー・ジョンソン/著、星井博文/シナリオ、松浦まどか/漫画、多田あゆ実/漫画)扶桑社

◆効能
変わるのが怖い。みんなと違うことはしたくない。それでも、このままではいけないと思う。わかってはいるけど...。この作品には、「ベストセラー作品の漫画版で読みやすい」以上の価値がある。現代人のリアルな悩みに寄り添いながら、変化のきっかけを与えてくれる1冊。漫画で読みやすく、時間のないビジネスマンにもピッタリです!

◆副作用
元気のない時に読むと、「頑張れていない自分」が嫌になるかもしれません。
翻訳本なのでニュアンスが少しキツく感じるかもしれません。
自分を責めずに読んでみましょう。


<<お悩み>>
2:人と比較して落ち込む。

◆処方箋本
『20代で得た知見』
(F)KADOKAWA

◆効能
人の数だけ、人生がある。それがここまでわかる本は、なかなかない。隣の芝生はいつだって青く見えるけど、その見えている景色が全てではないし、正解かどうかなんてわからない。何十年かして、自分の人生をコンテンツだったな、と思える時がきっと来ると思うから。毎日は思うように進んでいかないけれど、みんなそれぞれのストーリーがある。そう感じると、毎日が全部ひっくるめて愛おしく思えてくる。ワインと共に読むとよく効きます。

◆副作用
人によりますが、ものすごくエモーショナルな気持ちになって、詩やエッセイを書きたくなるでしょう。自分は自分でいいんだ、と、なんだか酔いしれてしまいますので、そのまま誰かに話して引かれないように気をつけましょう。20代とタイトルにありますが、「20代以上」の方であれば誰でもご覧いただけます。*10代の方でも服用はできますが、何かしらの苦労を経験し、ご自身の人生へのモヤモヤが大きくなった時が読みごろです。

<<お悩み>>
3:周囲に自慢ばかりされて、萎えている
◆処方箋本
『メンタル強め美女白川さん』
(獅子)KADOKAWA

◆効能
自分のこと、好きで何が悪い?
どこもかしこもマウント取り合いのいま。誰かと比較して落ち込む必要なんてないのかもしれません。そうはいっても、「あの人は綺麗だし」「あの人は頭いいし」と自分と比較して落ち込む方へ。どんな人にだって悩みがあって、でもそれを自分なりの方法で気づかないふりをしてやり過ごす。自分より相手のことを大切にした方がいいなんてそんなことはないと思えてくる不思議な一冊です。

◆副作用
やさぐれている時に読むと、「白川さんは綺麗だから!!!!」と逆効果。でもこの漫画が
伝えたいことはそこではない。落ち着いて紅茶と共に味わうことで副作用は出づらいでしょう。

<<お悩み>>
4:就職・転職の面接が苦手。

◆処方箋本
『何を準備すればいいかわからない人のための 総合型選抜・学校推薦型選抜(AO入試・推薦入試)のオキテ55』(鈴木鋭智)KADOKAWA
◆効能
そこらの自己啓発本よりよほど効き目が強いです。これから先、面接の機会がある方はあえてAO入試の教科書から学んでみてほしい。
この本の目玉は『自分らしさ』の語り方、伝え方が書いてあること。よくある話をそつなくするなら誰でもできる。でも、あなたにしか語れないストーリーがきっとある。
高校入試も大学入試も就職も転職も、私はこの本に書いてあることを自分なりに解釈して実践していました。本当は秘密にしたい本を特別に。
◆副作用
滑り止めだし、という気持ちで服用すると、合格してしまうことがあります。お気をつけて。


<<お悩み>>
5:自分がこの先どうなっていきたいのかわからない。

◆処方箋本
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』
(八木仁平)KADOKAWA

◆効能
やりたいことって言われたって。そこらの本は大体読んできた、というあなたへ。革命的な一冊を授けます。なぜあなたがやりたいことは何か、と彷徨ってしまうのか、それは「やりたいこと」と「なりたいもの」がごちゃごちゃになっているから。この本は、やさしくあなたに寄り添いながら、本当にあなたが得意なことや好きなことを紐解いてくれます。頭の中がクリアになり、人生に生きがいを感じるはず。

◆副作用
転職がしたくなったり、副業がしたくなったり、急に行動したくなってしまいます。そのために周囲に驚かれ、「やめておいたら?」などと言われるかもしれません。ただ、周りの声を意識しすぎると前に進めないので、ほどほどで聞いておきましょう。大切なポイントをメモをとりながら本を読むことで、副作用は出づらいです。

<<お悩み>>
6:うまく物事が説明できない自分に落ち込む。

◆処方箋本
『メモの魔力 -The Magic of Memos-』
(前田裕二)幻冬舎

◆効能
メモを取るといいですよ、という本ではない。もちろんハウツー的な要素も出てくるが、それ以上に新しい発想も、仕事の進め方も、答えは全て自分の中にある、ということに気づかせてくれる。ビジネス書は最新の物じゃないと意味がないと思っている方にはぜひ、あえて過去のベストセラーに触れてほしい。表現する機会が増える今だからこそ、言語化力を鍛えるべし!

◆副作用
一度きりの服用だと、効果が薄れてしまいます。三日坊主にならないよう、大切だと思う箇所はあらかじめ「メモ」をしておくことをおすすめします。

<<お悩み>>
7:仕事をしすぎて毎日疲弊している。

◆処方箋本
『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』
(中野信子 )アスコム

◆効能
頭がいい人は仕事のこなし方も、人間関係も、やっぱり他の人とは違う。毎日疲弊してしまうあなたは、ぶっ飛んだ天才たちの思考を覗き見してみることをお勧めします。こうした、まとめてみたシリーズは本の要約ということも多いですが、これは、実際に著者が触れ合った人たちのことを客観的に考察しているので、信頼できて実践しやすいな、という印象でした。なかなか普段は出会えないような東大、フランス国立研究所など「頭のいい人」の実際の様子。「へーすごい」で終わってしまったら勿体無い。脳科学者の著者が語る共通点を手がかりに、何か一つでもやってみたら、この本のもとは十分に取れます。

◆副作用
効率よく仕事ができてしまうことでしょう。ただ、余った時間でまた仕事をしてしまうと逆効果です。程よく真似して、程よく遊びましょう。


<<お悩み>>
8:いつも人の顔色を窺ってしまう。

◆処方箋本
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 』
(草薙龍瞬)KADOKAWA

◆効能
悩みを作り出しているのは実は、自分。という衝撃的な事実を目の当たりにしたあなたは、本当は人の顔色を窺っているふりをして、自分で「こうしなければ」という想いに縛られているのかも。
「無駄な反応」をするから疲れるし、生きづらい。「そうはいってもなかなか」と思うかもしれませんが、この本を片手に、できることからやってみませんか。自分のために生きていくために「無」を極める。

◆副作用
拡大解釈しすぎには気をつけましょう。今まで気遣いができるあなたが急にツンツンし出したり、無視をしだすと周囲は驚きます。あくまで変えるのは、自分との関係。それを忘れずに服用することをお勧めします。

<<お悩み>>
9:仕事が遅いと言われて落ち込んでいる。

◆処方箋本
『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣 』
(越川慎司)ディスカヴァー・トゥエンティワン

◆効能
ビジネス書でよく出てくる「仕事術」に胡散臭さを感じてしまう方向け。この本は、一人の著者がおすすめの仕事術を語るのではなく、バリバリ仕事ができる人たちの特徴を AIで1万8000人分析してわかった共通点をまとめたもの。これをまず徹底的に真似してみる。ビジネス戦闘力が上がること間違いなし。


◆副作用
ビジネスモードが強くなりすぎて、周囲の人に誤解を与えることも出てくるかもしれません。「今週の私、ビジネス〇〇になりますので!」と宣言しておくと、頑張っているアピールと面白いやつだなという印象を与えられて好感触です。


<<お悩み>>
10:コミュニケーションがうまく取れない


◆処方箋本
『もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら』
(樺沢紫苑/著、齋藤邦雄/漫画)サンクチュアリ出版

◆効能
書籍を漫画にしました系では初の試みだという、漫画を読みきらせてから解説が出てくるパターン。コミュニケーションがうまく取れない、これは言い換えれば自分の本当に言いたいことが言えない。相手が心の奥で感じていることを引き出すことができない。これは、まず自分と徹底的に向き合うことから始めてみるのがお勧めです。本書で紹介されている、誰にでもできるアウトプットのやり方、まずは一つでも試してみてください。


◆副作用
モチベーションが上がりすぎてしまい空回りする可能性があります。まずは対「人」ではなく、対「自分」に対するアウトプットから始めてみましょう。急に大きな変化をするのではなく、「最近この本読んだんだけど」と一言添えた上で、本の感想やそれをもとに実践していることをシェアしてみましょう。

<<お悩み>>
11:何もかも疲れた。現実逃避をしたい。

◆処方箋本
『逃北 つかれたときは北へ逃げます』
(能町みね子)文藝春秋

◆効能
がんばりすぎる私は、休むのが下手で疲れやすい。そんな時手にとったこの本は、文字通り、「北に逃げる」というエッセイ。なんとなく疲れたら「南の島でゆっくりしたい」というイメージが定説になりつつある。のだけれども能町さんは違う。「北」にある独特の風を感じ、癒される旅、というより日常を求める時間。「この辺は北っぽくて、でもこのあたりは北ではなくて」そんな独特の感覚で描かれる文章が、冷たい土地なのになんともあったかくて。そんな読書体験に、日々仕事に追われていた私自身も救われたのです。

◆副作用
猛烈に旅行に行きたくなるので、ご注意を。強い副作用が不安な方は、サッポロビールやじゃがぽっくるなどを事前に用意しておくといいでしょう。


<<お悩み>>
12:部下との関係に悩んでいる

◆処方箋本
『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』
(安藤広大)ダイヤモンド社

◆効能
日本で最も売れてるリーダーシップ本、と帯に書かれていましたが、それだけ部下との関係に悩む人がたくさんいるんだろうなと思いました。私もその一人。どうしても感情で仕事をしてしまうことがあり、周囲に気を使う日々。正直安藤さんの文章には厳しさもキツさも覚えました。でも、仲良しこよしでビジネスが回るわけではない。仮面をかぶって、淡々と。事実を事実として捉える強さを持つ。これができたら苦労しないよ!と読んだ人は口を揃えて言うかもしれないけれど、それでも読まなかった方がよかったとは思わないと思うのです。「読後は疲れる。でも、読まなかったと思うと後悔する。」そのくらいの衝撃があります。

◆副作用
色んな意味でガツンと殴られたような衝撃を受けるかもしれません。自分はダメなのかも、と必要以上に落ち込んでしまうこともあるので、1日で読み切ることはおすすめしません。

<<お悩み>>
13:なんのために働いているのか見失いかけている

◆処方箋本
『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』
(岩田松雄)アスコム


◆効能
元スタバCEOの語る、生きる目的がここにある。
「仕事に行きたくない」「仕事のモチベが下がった」という方がいたら、これだけ読んでから考えてみて欲しい。これまで読んできたビジネス書の中でも、群を抜くほどの情熱を感じた。何のために働くのか。なんのために生きるのか。社会のために成し遂げたいミッションをもち、そのために突き進む。それがどういうことか、スタバでの取り組み実例などを読み解きながら探っていく体験ができます。

◆副作用
スタバに行きたくなります。手っ取り早く、スタバで読むといいでしょう。


<<お悩み>>
14:パートナーに対するイライラが止まらない

◆処方箋本
『キミは、「怒る」以外の方法を知らないだけなんだ』
(森瀬繁智(モゲ) )すばる舎

◆効能
怒ってしまう自分を責める必要はないけれど、怒りってなんだろうと考えてみることはできる。怒るのは、これまでアンガーマネジメントについて学ぶ中で、一番即効性が感じられた本でした。怒りの感情を「ダメなもの」と思わなくていい。本当の自分の想いと上手く付き合えたら、人生はより華やかになることでしょう。


◆副作用
これまでの自分がいかに怒ってきたか、と絶望してしまう可能性があります。大丈夫です。これからですこれから。

<<お悩み>>
15:夫婦喧嘩ばかりで疲れたし子育てもへとへと。

◆処方箋本
『まんがでわかる伝え方が9割』
(佐々木圭一/著、星井博文/シナリオ、大舞キリコ/作画 )ダイヤモンド社
◆効能
相手を動かす、という意識で発言するとどうしてもトゲトゲしてしまう。だからこそ、ちょっとした言葉の力を借りる。家族のみんなを変えるのは、あなたの発言かもしれない。
忙しい時だからこそマンガで笑いながら学ぶ。言葉の魔力を強く感じることのできる一冊です。

◆副作用
あらゆる「言い換え」を考えたくなり、人生が面白くなる一方で、頭をフル回転する時間が長くなり、疲れることもあるでしょう。

<<お悩み>>
16:アイデアが思いつかなく、煮詰まった

◆処方箋本
『マイノリティデザイン 「弱さ」を生かせる社会をつくろう』
(澤田智洋)ライツ社

◆効能
一見、デザインの本に見える。それは間違いではないかも知れない。でも、間違っている。この本は、「人生をデザインする本」全人類クリエイター時代が、足音を立ててやってきているこの時代。アイデアを考えるというのが苦痛になってしまっては勿体無い。この本は、自分の強みと誰かの弱み、自分の弱みと誰かの強みについて考え尽くす本。「協力し合わないと」私たちは生きていけない。作者は全盲の息子さんがきっかけで180度違う人生を歩み始める。誰か1人のために考えたことが、世界中の人を救うサービスになることだってある。まずは徹底的に自分の取説を作る。私の得意とは、なんだろうか。世界が違って見え始める本。本編でも登場してますが、そのことをわかっていても、再度紹介してしまうくらい、私の好きが詰まってます。

◆副作用
副作用は特にございませんが、注意してほしいことがございます。電子書籍のものも出ていますが、効果は少し薄くなるでしょう。確実に紙をお勧めします。理由は、表紙を一度さわればわかるはず。愛に溢れた1冊です。

<<お悩み>>
17:なんとなく、先が見えずに老後が不安

◆処方箋本
『一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー』
(大住力)ディスカヴァー・トゥエンティワン

◆効能
「なんとなく不安で」「お金とか、キャリアとか、どうしよう私って」そんなふうに思うのはあなただけではありません。みんな一緒。芸能人だからいいよなとか、政治家だからアンパイでしょとか、そんなことはありません。みんないつも何かに怯えながら、いつも不安を抱えながら生きてます。だって人生がどうなるかなんて誰にもわからないんだもん。だけど、この本は一筋の光をくれました。私自身、ここまでじっくり読み込み、行動に移せた本は初めて。巻末には、人生の残り時間を意識するための200年分のカレンダーがついています。人生は一度きり。死ぬ時に思い残すことがない、なんていうのは無理だろうけど、今から計画を立てれば十分にできることがあるのです。人生を「Re・スタート」させたいあなたへ。

◆副作用
あれもこれもやりたいことが出てくるので、年末に読み始めると、「あぁ今年何もできなかった」と落ち込むことも。できれば新学期・新年に計画を立てるのがお勧め。新たな気持ちで人生の目標を描いていきましょう。


<<お悩み>>
理詰めされるといつもしんどくなってしまう。自分でも悲しいのか怒っているのかわからない。そんなことがよくあります。

◆処方箋本
18:『感情は、すぐに脳をジャックする』
(佐渡島庸平/著、石川善樹/著、羽賀翔一/画)学研プラス

◆効能
特に「気持ちをうまく表現できない」と悩む、感覚派のかた(左脳より右脳で生きてる人、表現するのは好きだけど論理的思考が苦手な人)は必見。
感情について、これ絶対授業でやったほうがいいやつ、と思いながら読み進めていく。感情を因数分解してみると、怒りの裏に隠されたことや悲しみの裏に出てきていた思いが見え隠れする。そうか、私がうまく表現できなかったのは、「涙」のうらに「羨望」や「期待」があったからなのかも知れない。これまでうまくいかなかったことたちの合点が言ったように思った。


◆副作用
感情についての理解が深まった時に、この本を手放すなかれ。どんなに理解できても、感情の起伏はその時のストレス状態によって大きく左右される。いつだって近くに置いておくことをお勧めします。


<<お悩み>>
仕事へのいいイメージが持てない

◆処方箋本
19:『本日は、お日柄もよく』
(原田マハ)徳間書店

◆効能
言葉の力、偉大なり。そう思える最強の一冊。結婚式のスピーチをきき、お決まりの文句についウトウトしてしまった主人公。しかしそこで伝説のスピーチライターと出会ってー。言葉の操り方で、人の印象はここまで変わる。「自分を良く見せたい」でも自分に自信がなくて。そんな、人生に迷走しているあなたに捧ぐ、最強のお守り本。究極のところ、どんな仕事でも、「言葉」を使う。これは避けて通れないものだから。スピーチライターの話だけど、どの仕事でも通用する、「想いを伝える」魔法について学ぶことができます。読み終えたらちょっぴりモチベが上がっているかも。
◆副作用
涙腺が弱い方は、ウルウルきてしまうかも知れません。できる限り、暖かい場所でまったりゆったり読んでください。

<<お悩み>>
20:自分のことを責めすぎてしまう

◆処方箋本
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』
(根本裕幸)ディスカヴァー・トゥエンティワン

◆効能
自分を許す。そうは思ってもなかなかできず、ついつい周りを大切にして自分は最後になってしまう。そんなあなたへ。ここで一番効くのは、あなたがあなたを大事にしないことは美徳ではない、ということ。日本では我慢が美しいというような文化はあるものの、美味しいスープを作ってみんなに配り、気が付くと自分の分がない、という状況をみたら周りは悪いことしたな...と罪悪感を持ってしまう。頼れない、私がやったほうが迷惑かからない、その思考は思い込みで、周りは全てあなたがやってくれることに対して申し訳なさを感じているかも知れません。

◆副作用
自分を甘やかすという解釈は本当に難しく、ワガママと自己主張は表裏一体。この匙加減は、本を読みながら試していくしかありません。また、人との関係によっても変わってきます。人間関係がうまくいかないことも出てくるかも知れません。そんな時はその人との関係を見直すことも視野に入れるとよいかも知れませんね。





<<お悩み>>
21:恋人が欲しい

◆処方箋本
『わたしは愛される実験をはじめた。』
(浅田悠介)KADOKAWA

◆効能
自分とデートする。自分を大切にする。それを具現化したような1冊です。
「モテテクニック」なんて学校じゃ習わない。でも、国語より算数より理科より、絶対人間関係が難しい!だって答えがないから!
この本を読むと、恋愛初心者のあなたも、いつも友達の恋バナを聞いて終わりという方も、積極的に行動できるようになれます。自分らしく自分を出していく。そんな方法を知ることができます。男性も読んでみてほしい。男性は、男性向けの恋愛ハウツーを読むよりも、女性向けのハウツーを読む方が遥かに学びが大きいと思います。

◆副作用
モテちゃうので気をつけてください。


<<お悩み>>
22:結婚に対していいイメージが持てない

◆処方箋本
『ボクの妻と結婚してください。』
(樋口卓治)講談社


◆効能
放送作家さんが書かれた作品とのことで、一本のドラマを見たような満足度。
自分の妻の結婚相手を探す。どういうこと!?という感じですが、本当に心の底から愛している人のためなら、ここまでできちゃうのかもしれません。家族について、結婚について、しみじみと考えさせられます。多様性が謳われて久しいこの時代に、結婚の良さはなかなか感じられなくなっていますが、こういう本に巡り会えると自分の中に眠っていたものを大切にしたくなります。なお、「こんなことありえない!!!」と読む手を止めたくなる気持ちもわかりますが、それくらいのめり込めてしまっているのもまた事実なのです。

◆副作用
涙が止まらなくなります。翌日出勤の時はお気をつけください。

<<お悩み>>
23:なんとなくいつもだるい

◆処方箋本
『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』
(大久保愛)ディスカヴァー・トゥエンティワン



◆効能
「なんだか心の元気がないなぁ…」「なんか疲れちゃったなぁ…」そんな時、ぜひ「心に効く」食べ物をとってみてほしいんです。騙されたと思ってやってみると、体調の変化を感じられます。毎週のおすすめ食材が掲載されていて、無理なく自炊ができるのも嬉しいポイント。私自身は、鬱々とした気分をどうにかしたくてさまざまな漢方などを試しましたが、全然だめで...。その答えがこの本の隅々に書かれていて、衝撃を受けたのです。健康が全ての悩みを解決してくれることだってあります。

◆副作用
舌が健康的になります。ジャンキーなものを食べ納めてからどうぞ。


<<お悩み>>
24:自炊が面倒臭い
◆処方箋本
『しあわせは食べて寝て待て』
(水凪トリ)秋田書店

◆効能
漢方に基づく漫画。料理が面倒なのは、本当にわかります。なので、ついつい作りたくなるレシピ系の本にしようかとも思いましたが、あえて、「自分のために食べる」ことについて見つめ直すことのできる1冊を。口にしたもので自分はできている。それに気づき、丁寧に生きることの大切さを感じられるはず。

◆副作用
四季折々が楽しみになりすぎます。手に入らない食材があって悶々としてしまうことがあります。それすらも愛おしいなと思えると良いです。

<<お悩み>>
25:心の中にモヤモヤが溜まっている。
◆処方箋本
『おしゃべりな部屋』
(川村元気、近藤麻理恵)中央公論新社


◆効能
こんまり先生のあの本が、小説になって帰ってきた!大事なのは「ときめき」。ベストセラーになったあの本が伝えたいことは、「整理整頓の大切さ」だけじゃない。これは、こんまりさんにお片付けをお願いした人々の部屋と心が、少しずつ解放されていく様子が丁寧に描かれた作品。人生において日常生活でつい忘れそうになる「ときめく暮らし」に必要なことと、不要なことを学ぶことができます。

◆副作用
お部屋の状態と心の状態はよく似ているといいますよね。もやもやしている時に読むと、片付けなきゃ、片付けられない私はだめだ、となってしまうかもしれません。でも、こんまり先生がいうように、「片付けは一大イベント!」元気な時に取り組めばいい、ということは忘れないでくださいね。

<<お悩み>>
26:お金がなくて人生が嫌になります。

◆処方箋本
『はじめての人のための3000円投資生活』シリーズ
(横山光昭)アスコム

◆効能
お金のことがわからなすぎて本も色々読みました。YouTubeも見ました。でもなんだかわかったようなわからないような。「投資なんて損しそう。めんどくさい」そんな私が、初めて行動に移せた1冊がこちらです。

「3000円投資生活」というシリーズなので、最新版を購入されてもいいかと。お金とか面倒なことが嫌いな私が行動できた理由。それは、タイトルにもある「3000円」という、なんとも頑張ればできる額から始められる世界だったから。まずは自分の使っているお金が、「消費なのか、浪費なのか、投資なのか」を考え、貯蓄するためのコツを学び、そこから最小金額3000円を投資に回していくメソッドが詰め込まれています。「3000円から始めて増やそうね」ではなくて、「本当に3000円でいいからね!?」という視点が嬉しい。

かなり平易な言葉で書かれているので初心者に優しいことが1番のポイント。こうした本は小難しいのが多すぎるので途中でやめてしまいますが、この本は読み終わるのが惜しいくらいでした。ここに書かれている通りに投資してます。(この本を持って窓口に行きました。笑)
びっくりするくらい長くなりましたが、本当に良いですよこの本!!

◆副作用
節約に目覚め、「付き合い悪いな」と言われるかもしれません。いっときの楽しさをとるか、未来への自分にお金を回してあげるか。迷う時は少し痛みを覚えるかもしれませんね。

<<お悩み>>
27:何もかも中途半端な自分が嫌になる。

◆処方箋本
『フランス人は10着しか服を持たない 』シリーズ
(ジェニファー・L・スコット )大和書房
◆効能
心が安定するために大切なことは、文字通り「定まっていること」だと思うんです。
色々とブレずに、同じ日々を暮らす。面倒なことを愛す。姿勢を正して毎日シャキッと歩き、丁寧な食事をつくって、綺麗なネグリジェに包まれて眠る。朝は早起きして紅茶を飲む。そんな毎日って本当に素敵。でもなかなかできない。それはなぜか。「つまらないように感じるから」なのかもしれません。もっと面白い娯楽があればやってみたい。新しい化粧品が出ていたら試してみたい。そんなふうにあれもこれも手を出すことって「ワクワク」します。刺激的なことをついつい追い求めてしまいますが、それで本当に豊かな人生になるのでしょうか?それともこの本に出てくるフランス人の毎日の暮らしの方が、自分らしさを見つけることができるのでしょうか?答えは人それぞれか。でも、自分の生活に取り入れたい習慣をきっと見つけることができるはずです。

◆副作用
ボウルで紅茶が飲みたくなっちゃう。(!?)

<<お悩み>>
28:自分らしさがわからない。

◆処方箋本
『それ、勝手な決めつけかもよ?』
(阿部広太郎)ディスカヴァー・トゥエンティワン

◆効能
自己啓発本が苦手な方にもオススメ。ワークを通して自分の「当たり前」がどんどん変わっていく。「周りからこう思われているかも」という「解釈」を変えることで自分自身を肯定し、自分らしく生きていくための方法を知ることができます。自分の名前、自分の仕事、全て全部、自分で決めつけているだけで、捉え方を変えると、生き方が変わってくるのです。実はこの本が好きすぎて、いろんなところで紹介し続けた結果、思わぬご縁がありました。それはまた、別の機会に。

◆副作用
世界が全く違って見えてしまいます。今までって、一体何だったんだろうって。生きるのが楽しみになってしまう一冊です。


<<お悩み>>
29:結婚しないの?子供は?他人にあれこれと言われて、嫌になる。

◆処方箋本
『傲慢と善良』
(辻村深月)朝日新聞出版

◆効能
いい意味で、しんどいことに目を向けることになります。荒療治かもしれない。でも、そのほうが効く時だってあるんです。私たちは、いつだってなんだかんだ自分のために生きていたい。他者からの評価なんて関係ない。そう思いたい。でも他人の目線は気になるし、他人によく思われていたい。そうやって、善良な人間に見せたいと思ってしまう。そして、条件のいい相手を探し求める。自分を棚に上げ、もっといい人がいるのではないか、と。傲慢だなんて思ってしまったら、もう何もできなくなる。みんな他人のことなんてわからないけれど、自分のことはもっとわからない。人間のめんどくさいところや、人間らしいところを見事に書き切った名作。相手の考えていることなんて、本当は何もわからない。感情がぐちゃぐちゃになりながらも、自分の置かれている環境と重ね合わせながら読んでください。

◆副作用
婚活中の方には響きすぎる言葉があるかもしれません。でも、服用したほうがいいです。世界の見え方が変わります。


<<お悩み>>
30:自分の人生の正解がわからない

◆処方箋本
『ひと』
(小野寺史宜)祥伝社

◆効能
絶望を味わった時、もうダメだと思った時。助けてくれるのは、やっぱり「人」なんです。
こんなに心が救われる小説が他にあるでしょうか。人と人との縁は、どこからともなく生まれてくる。この本ではそれが、一つのコロッケだった。主人公は不器用で、どうしようもなくしんどい状況を生きていて、でも、それを乗り越えて前を向いている。涙を流しながら、この小説に出てくるような「人」でありたいな。とそう強く思うのです。

◆副作用
コロッケやメンチカツが食べたくて、本当にどうしようもなくなります。週末に商店街に行く予定を立ててから読みましょう。

<<お悩み>>
31:人生、詰んでる。

◆処方箋本
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
(町田そのこ)新潮社

◆効能
どうしようもないほど苦しい。もう逃げ出したい。でも答えはきっとあなたの中にしかないから。そんな、自由への憧れめいたものを丁寧に描いた連作短編集。短編だけど、短編じゃない構成力には圧巻。読む手が止まらない、優しさと愛に溢れた物語。あなたは、あなたのペースで進んでいけばいいんだよ。そんなふうに教えてくれている気がします。人生は理不尽だから。迷って迷ってどうしようもないけれど、それでもいい。明日も生きていこうと思えます。タイトルの意味を知って、ため息をついてほしい。大丈夫。あなたらしく、生きていけばいいよ。

◆副作用
一気読みしてこその面白さです。没頭してしまって、仕事や家事はできなくなりますが、一旦忘れましょう。

<<お悩み>>
32:アイデアが閃かない自分は才能がないのかも。

◆処方箋本
『センスは知識からはじまる』
(水野学)朝日新聞出版

◆効能
「センスないんだよね」「やったことないから分かりません」そうやって逃げることはできる。でも、それはチャンスを逃していることに他ならないかもしれません。
大切なのは、自分の中に変化を起こすこと。それは「お風呂を右足から入っている人は、左足から入ってみる」「いつもと違う駅で降りる」そんなことだっていい。センスは、どれだけチャレンジしたか。もちろん、「そうはいっても天才とは違う」と思うかもしれないけれど、ちょっとしたインプットをいくつもすることで、それが点となり、のちに大きな武器になるのだなと思いました。まずは感受性に磨きをかける。諦めないで楽しむこと。毎日が楽しくなる魔法の本です。

◆副作用
無性に旅に出たくなります。


<<お悩み>>
33:妻(夫)と価値観が合わない

◆処方箋本
『夫婦でFIRE』
(グミ&パン)フォレスト出版

◆効能
FIRE達成されたんだ、すごいなーと、かなり軽い気持ちで読み始めたのですが、職場や夫婦の人間関係においてかなり大切なステップが詰め込まれていたので、正直お金の章はすっ飛ばして、このご夫婦が築かれてきた関係性について読み込んでしまいました(本来の目的とは違うかもですが)。

旦那さんが分かり合えない妻と分かり合うために奮闘されている様子がとても分かりやすく、また、再現しやすく書かれています。これはタイトルを「夫婦円満のコツ」などにして、お金のことをすっ飛ばして売って欲しいくらいです。FIREで一番大切なことは、価値観のすり合わせだった!ということで、軸がお金(FIREについて)なのですが、「価値観のすり合わせ」のやり方が書いてあるんです。


◆副作用
夫婦関係以上にお金のことを考えたくなってしまう可能性もあり!再読して乗り切りましょう。

<<お悩み>>
34:仕事が遅い自分が嫌になる。

◆処方箋本
『限りある時間の使い方』
(オリバー・バークマン)かんき出版

◆効能
ひろゆきさん中田敦彦さん、NYタイムズ他、いろんなところで超話題だったので、なんだかあえて手に取らなかった私ですが後悔。2022年のベストセラーは間違いなくこれですね。
「時間の使い方」みたいな本かと思ってましたが、全く違って。時間をうまく使えればそれで幸福なのかといえば、そんなことはなくて。うまく節約して時間ができれば、その節約した時間でまた仕事をしてしまう。いつかくるはずの最高の自分のために生きていたら、そんなものはやってこない。この本を読んでいると、私たちは「今ここ」にいるだけで十分幸せだし、それでいいんだと思えます。
大事なことを忘れがちな現代人に匙を投げる一冊でした。
あなたの大事なことは何か。一度ゆっくり考えてみて欲しいんです。

◆副作用
たくさんのタイムマネジメント系の本を読んできた方にこそ響くかもしれません。
社会人になりたての方などは、いきなりこれから読み始めると、それはそれで違う悩みを得てしまうかも。これに関しては、この分野の本を乱読される方が効果が出やすいでしょう。

【moonブックガイド】35-66


35 ▶︎オトナな恋愛を覗き見したい時。
『蹴りたい背中』(綿矢りさ)河出書房新社

36▶︎恋愛とかよくわかんない。
『劇場』(又吉直樹)新潮社

37▶︎知らない世界に、現実逃避したい。
『密やかな結晶』(小川洋子)講談社

38▶︎ゾワゾワとしたい時。
『あの日、君は何をした』(まさきとしか)小学館

39▶︎結婚する女友達にプレゼントしたい。
『presents』(角田光代)双葉社

40▶︎サクッと読める本が知りたい。
『強運の持ち主』(瀬尾まいこ)文藝春秋


41▶︎結婚って、紙切れ一枚なのかなぁ。と思ったら。
『紙婚式』(山本文緒)角川書店


42▶︎家族について考えたい時。
『海の見える理髪店』(荻原浩)集英社


43▶︎ニュースで気が滅入ってしまった方にはこれ。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング他)日経BP社


44▶︎信じることの奥深さについて考えたい時。
『星の子』(今村夏子)朝日新聞出版


45▶︎飛行機の中で読めるミステリーを探している人へ。
『殺した夫が帰ってきました』(桜井美奈)小学館


46▶︎子供を本好きに育てたい。
『まなの本棚』(芦田愛菜)小学館


47▶︎料理勝負が好きな方へ。
『オルタネート』(加藤シゲアキ)新潮社



48▶︎一味違った「食」エッセイを探している方へ。
『B級恋愛グルメのすすめ』(島本理生)KADOKAWA


49▶︎圧倒的な文章表現を学びたい方へ。
『かわいそうだね?』(綿矢りさ)文藝春秋


50▶︎世にも奇妙な物語が好きな方へ。
『世にも奇妙な君物語』(朝井リョウ)講談社


51▶︎伏線回収が好みの方へ。
『乱反射』(貫井徳郎)朝日新聞出版


52▶︎まだ1人のみをしたことのないOLさんへ。
『ランチ酒』(原田ひ香)祥伝社


53▶︎沖縄旅行に連れていく本を探している方へ。
『アンマーとぼくら』(有川ひろ)講談社

54▶︎深く深く思考したい方へ。
『正欲』(朝井リョウ)新潮社

55▶︎何かを乗り越える強さが欲しい方へ。
『昨夜のカレー、明日のパン』(木皿泉)河出書房新社

56▶︎徹夜読書のお供に。
『BUTTER』(柚木麻子 )新潮社

57▶︎最近泣いていない方へ。。
『青い鳥』(重松清)新潮社

58▶︎大好きな推しがいる方へ。
『推し、燃ゆ』(宇佐美りん)河出書房新社

59▶︎小説を書いてみたい方へ。
『マナーはいらない ー小説の書きかた講座』(三浦しをん)集英社

60▶︎車が好きな方へ。
『ガソリン生活』(伊坂幸太郎)朝日新聞出版

61▶︎長風呂のお供に。
『十二人の死にたい子どもたち』(冲方丁)文藝春秋

62▶︎今いる場所から逃げ出したくなった時。
『青空と逃げる』(辻村深月)中央公論新社

63▶︎普通って何?と思った時。
『コンビニ人間』(村田沙耶香)文藝春秋

64▶︎苦いコーヒーがお好きなあなたへ。
『リバース』(湊かなえ)講談社

65▶︎名前にNがつく方へ。
『Nのために』(湊かなえ)双葉社

66▶︎私の読書好きを加速させた本を読んでみたい方へ。
『怒り』(吉田修一)中央公論新社

【おわりに】


読書って何が楽しいの?
そう聞かれるたびに、どんなふうにこの娯楽を説明しようか、ものすごく迷っていた。

「読書家ですごいね」
そんなふうに言われるたびに、それは違うと声高に言いたかった。
私は、何にもすごくない。
私には、ただ何もなかっただけだ。

何もなかったから、ただひたすら近くにあった本を、直感の赴くままに読んでいただけだ。

でも、気づいた。
私は、昔から本が隣にあったから気づかなかったけど、本を「読もう」とすると、やるべきことがたくさんある。だからきっと、現代人にとって本を読むのは大変なことなんだ。

失敗しないために本を選んで読むって相当の体力がいる。

面白いかどうかわからない本を読み始めるのは時間がもったいない、ということもあるのだと思う。

時代はどんどん「短縮」されていく。

NetflixやHulu、Paraviの登場で、私たちはレンタルDVD屋さんで「1泊2日以内」に見ることを終える必要がなくなった。

YouTubeの登場で、iPodに音楽をいれてうまくいかない、とイラつくことがなくなった。

電子書籍の登場で、重たい本を持ち歩く必要がなくなり、スマホの登場で、地図やお金を持たずにどこへでもいけるようになった。

でもそれが、なんだというのだ。


人生は無駄の連続で、人生は暇潰しだ。

だったら、私はつまらない映画を見たと言って家族で笑い合いたいし、機械音が鳴り響くiPadを早送りしたい。

こうした「便利な端末」が嫌いなわけではない。でも、あまりに便利すぎて。みんなが便利なものを考えすぎるがゆえに、少しでも不便なことを排除しようとしているように思う。

だから時代に逆行したい。
全てが「時短」と叫ばれる時代に、重たくて移動が大変な書籍を手に、意味のわからない物語も含めて愛していきたい。


そしてその仲間を、
人生の寄り道を一緒にしてくれる友人を
どんどん増やしていきたいと思っている。

この本が、次の一冊を決める指針になれば。
この本が、本を読みたくなるきっかけになれば。

そう思いながら、今日も私は。

新たな本と出会い、その本の魅力を書き記していく。


本というギフトを、まだ見ぬ誰かに届けるためにー。

【参考文献】

第一章より
・『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ)ダイヤモンド社
・『やめてみた』シリーズ(わたなべぽん)幻冬舎
・『横道世之介』(吉田修一)文藝春秋
・『静かな爆弾』(吉田修一)中央公論新社

第三章より
・『大人になったら、』(畑野智美)中央公論新社
・『ゲスな女が、愛される。-あっという間に思い通りの恋愛ができる!』(心屋仁之助)
 廣済堂出版
・『はだかんぼうたち』(江國香織)KADOKAWA
・『隣人の愛を知れ』(尾形真理子)幻冬舎

第五章より
・『無(最高の状態)』(鈴木祐)クロスメディア・パブリッシング
・『風と共にゆとりぬ』(朝井リョウ)文藝春秋
・『運動脳』(アンデシュ・ハンセン)サンマーク出版
・『マイノリティデザインー「弱さ」を生かせる社会をつくろう』(澤田智洋)ライツ社

最後の最後に。

今年1年。激動の時間の中で、たくさん本をよみ、おすすめをし、その中で得てきた学びを詰め込みました。感じたことを、ここに書き切りました。それがたった1人でも伝わればいいなと思って書きました。

この本はエッセイなのか小説なのか、もはや私にもわからないけれど。

新ジャンルの物語として、あなたが「次の1冊」に出会うきっかけとして楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。

実は前の書籍がきっかけで私は今この環境でお仕事をしています。

この本も、何か、大きなご縁につながる一冊になりますように。

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本をたくさんお勧めしているのでペーパーバックの方が読みやすいかもしれません...!
次に読む本を決める時に、ぜひご利用ください✨


moon

『ベストセラー作家になる』これが私の夢です。40歳までに形にします。もし、「エッセイ、よかった!」「頑張れ!moon!」と思っていただけたら、温かなサポートをお願いします!有名になって「あの時サポートしたんだ!」と思ってもらえるようにいたします✨(強気!笑)