見出し画像

古町の思い出を振り返っていたら、少々ぶっ飛んだ提案を過去していたことを思い出しました。というお話です。

古町の思い出

東京で仕事していた20代の頃。
盆暮れに帰省すると決まって古町で飲んでいた。

荒っぽい時代の古町。

必ずといっていいほど喧嘩を目撃した。
目撃だけにとどまらず、巻き込まれたこともあれば、参加したこともある。記憶が丸ごと無くなるほど飲むこともしばしばあった。

30代、NAMARAを立ち上げてからも激しい飲み方をしていた。
たぶんこの日も古町で飲んでいたのだと思うが、ある日気が付くと僕は警察署にいた。
酔っぱらって、いろいろやらかして、手に負えなくなった誰かが通報し、ご厄介になったのだと思う。
何をしたのかは全く記憶がないけど、もう朝方で、数時間後に予定が入っていたから、出してくれ出してくれと訴えていたところからしか記憶が残っていない。
大事な用があるからここから出してと訴えても帰せないという。

僕は警察官に
「実は新潟県知事と大事な約束をしているんだ。知事を待たせるわけにはいかない。家に帰って準備しないと間に合わないから…」
と必死に伝えた。

たぶん、呂律が回っていなかったと思う。

警察官は
「はいはい、もう少し休んでいきましょう」
と取り合ってくれない。

嘔吐感をこらえながら僕は
「いや、本当にね、本当なの。むしろ新潟県知事が俺に会いたいって言ってんだからさ。これからの新潟をどうしたらいいのか、ねっ、大切な話があるのよ」

すると間髪入れずに
「新潟をどうこうする前に、もっと自分のことを考えようか。とにかく弟さんが迎えに来るまではそこで反省していようね」
と諭された。

ああ、弟が迎えに来るのね。
そんな段取りになっているのね。少しずつ状況が読み込めるようになって、冷静さを取り戻したころに弟が迎えに来た。

「兄ちゃん、知事との懇談が間に合わないよ」
そう、新潟県知事との懇談会は適当な言い訳でもなんでもなく、すべて本当のことだ。
その時の警察官の(マジで?)といった顔が忘れられない。

家に帰ってシャワーを浴び、水をがぶ飲みし、着替えてから弟に県庁へと送ってもらった。

二日酔い&遅刻 最悪のコンディションで知事に提言

僕が知事室に駆け込むと、すでに若者が10人ほどずらっと並んでいた。奥には当時の平山新潟県知事が座っている。
不本意ながら知事を待たせて遅刻してしまった。

彼らは昼食をとりながら"若者たちの活動"はどのように地域を活性化させられるのかを知事に対して提言を投げかけていた。
おそらく、次々に彼らは素晴らしい活動実績と、実に立派な夢を語っていた、と思う。
一方僕はまだ二日酔いが収まらず、目の前の弁当も食べられない。
話す内容もほぼ耳には入らないまま、自分の番が来るのを待っていた。

僕以外の全員の提言が終わったところで末席に座る僕に
「それでは遅刻してきた江口くん」
と知事が声をかけた。

待っている間、暇だったのでちょっと弁当を口にしたのが悪かった。
本気で吐きそうになっていた。
持参したメモには「お笑いで地域活性」と書いてある。

僕は咄嗟に三日前の新聞一面の記事を思い出した。
「知事、新潟県は二年連続全国で自殺率一位です」
と伝える。

すると知事は
「そうなんだ江口君。自殺は新潟県にとって大きな問題だ。笑いの力で何かできるのかな?」
と質問してきた。

笑いは副作用のない薬として、免疫力を高める効果もある。
健康長寿を目指す新潟県とNAMARAの活動はリンクしていた。
だけど、立ち上げて一年目の酔っぱらいである。
平山知事に向かって僕はこんなことを話し出した。
「自殺率二年連続一位。これをなんとかしなければなりません。そこでどうでしょう。ただでさえ人口が減ってきているのですから、これからは自殺名所をたくさん作って、『骨を埋めよう新潟!』のキャッチコピーで、JRとタッグを組んで片道切符をバンバン売りましょうー」
と声高らかに訴えた。

まあ、当然のことながら、もうすごい空気になってしまった。
移住のすすめ(Uターン)の話だったのだが、残念ながら伝わらず、とぼとぼと県庁を後にした僕だった…



それから数年後が経った2005年、泉田知事(現衆議院議員)に、僕は"笑いの力で新潟県を元気にしてほしい"と「新潟県元気大使」に任命された。


最後に、古町の宣伝をさせて下さい。

お酒の飲みすぎで痛い思いを何度もしたことのある古町ですが、その古町に育ててもらったことも多くあります。
本当にお世話になった古町に恩返しと思い、現在、古町五番町のアプリに古町にまつわるコラムを連載しています。
古町で「立ち飲み缶詰バー」なるお店をNAMARAで経営していたこともあります。
古町演芸場の立ち上げにも関わらせてもらったことも…とにかく古町でのエピソードは尽きません。

そのあたりをこれからも古町五番町公式サイトのコラムにて連載しておりますので、下記のリンクから飛んでみてください。

また、AppStoreとGooglePlayのダウンロードリンクがそれぞれ置かれているので、そちらも是非。まだ出来上がったばかりなので、これからコンテンツも増えていくと思います。



記事を読んで頂き、有難うございました。

前回の死にたい死にたいおばさんのいいねが現在(6月2日時点)70を超えていて、びっくりしております。
これからも更新頑張ってまいりますので、応援の気持ちとしてハートボタンと、おこがましくも読んだ感想を一言でもコメントまで頂けたらナマラおじさんはとっても喜びます。
このnoteでは新潟お笑い集団NAMARAの活動を通して感じたことや、これからの取り組みなどを紹介していきます。

YouTubeでは、ナマラ江口としてのリアルな活動をお届けしておりますので、こちらも覗いていってみて下さい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?