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20,11,24。総合格闘技思い出の試合①

今回から自分が見た総合格闘技の試合の数々の中で今も鮮烈に印象に残っている試合を個別に取り上げて「プロレスから格闘技」の締めとさせていただこうと思います。一回目として取り上げるのはいまだ語り草となっている漢同士の殴り合いとなった試合です。

        2002 PRIDE.21 高山善廣vsドン・フライ
      https://www.youtube.com/watch?v=tvwp5CFYdMo

総合格闘技というジャンルがスポーツとして純粋に勝敗を競う場である事を考えるとこの試合は褒められるどころかナンセンスと言えるでしょう。にも拘らず長くプロレスファンだった自分はいまだにこの試合の動画を見ると目から汗が出るのを押さえるのに苦労します。

UFCの強豪選手であるドン・フライに対して真正面からの殴り合いを選んだ高山善廣。

おそらく上手くいなすことぐらい容易だったであろうにも拘らず一歩も引かずに殴り合いに応じたドン・フライ。

試合序盤、お互いの後頭部をホールドしての殴り合いはスポーツ的観点から見ればあり得ない戦術です。悲しいかな打撃スキルが一枚も二枚も上のドン・フライのパンチは的確で高山の顔面は試合開始直後からかなり腫れ上がっている状態。

コーナーでのもみ合いから高山が放ったスープレックス気味の投げからの顔面への膝蹴りでドン・フライの額はカットされ血が滲み始めます。ダメージ的に一矢報いた形ではありますが高山の顔面の状態からの一旦試合は止まりドクターチェックが入ります。

ここまでの展開でも現在の総合格闘技ではありえない状況ですが、エキサイティングな試合が売りだった当時のプライドならではでドクターストップは掛からず試合は再開されてしまいます。

結局再開後開始直後と同様の流れからスープレックスに失敗した高山はポジションを奪われパウンドの連打からのTKOとなるのですが、自分にとって最大の「目から汗」ポイントはレフリーが試合を止めた後にドン・フライが高山の胸というか心臓を優しくなでなで&ポンポンするシーンです。

プロレスのリング経験もあり、売られたケンカは倍にして返す主義のドン・フライがボロボロになって横たわる高山に行ったリスペクトは会場で見守るプロレスファンの声を代弁するかのように映り強烈に心に刺さります。

総合のリングでは0勝4敗と成績の振るわなかった高山ですが「もしもプロレスラーが総合で戦うなら」を体現して見せた試合内容からその評価が下がる事はありませんでした。

総合&プロレスにおける激しい試合によって蓄積したダメージから脳梗塞、その後は頸椎損傷と現在もリハビリ生活を余儀なくされている高山善廣という漢をプロレスファンは決して忘れることはありません。いつの日か完全復活とはいかなくても彼が自分の足でリングに上がれる日が来ることを心から祈っています。

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