「……ちゃん、なめちゃん」 私を呼ぶ声でハッとする。思わずしゃがみこんでしまっていた。 「どうしたの大丈夫?」 「あ、いや違うの。ツチグリが、いて」 友人の頭に、はてなマークが浮かんでいる。 こういう時に魅力をさらっと伝えられたらいいのに。 「きのこ、なの。可愛いでしょ」 そう言うのが精一杯だった。 薄茶色でみかんを上から剥いたみたいな愛らしいフォルムをしたツチグリ氏を見つめる。 今日は漢方に使う植物を見る勉強会で「つくば植物園」に来たのに、ついついきのこを