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バイクで空中一回転して伏線を回収する話

今日は16歳の時の話を書こうと思います。

夜19時頃、2歳歳上の女友達が原付で家に遊びにきてくれました。

友達のバイクは少しボロボロになった黄色のビーノという原付でした。

私は免許はあったもののちゃんと乗ったことがなかったので、原付で来るって、なんて大人でかっこいいんだ!と目を輝かせ、その原付を少しだけちょんちょんと突いていると

秋口で夜風が冷たかったのか、友達が早く家に入ろうといってきたので、すこし惜しみながらも家に入りました。

家でキャッキャキャッキャ沢山話をしました。
時間が過ぎるのはあっという間で、
最後らへんに、話題が〝コンプレックス〟になりました。

私のコンプレックスは、小学校5年から高校1年の最初まで柔道をしていて
結構ガッチリとした体型が嫌で、それがコンプレックスでした。

それを話すと友達は「大丈夫。いつか柔道やっててよかった!って思える日、ぜっっったいに来るから。努力したことが無駄になることなんてないから!」
と言ってくれて、
「そんな日、くるんかなぁ。」と言いながら
嬉しくなって少し小躍りをすると
「だまれよ」と制されました。
それからすぐ、0時を回った頃、友達が「ほなもう帰るわ!」
と立ち上がったので玄関までお見送りに行き
原付に跨った友達に手を振ろうとしたのですが

ちょっと待って!と引き留めました。

「…ちょっとバイクに乗ってみたい」
と恐る恐る言うと

「これボロボロやからちょっと運転難しいかもしらんけどいいよー」
と言ってくれて

そのバイクを受け取りました。


やったー!とニヤニヤしながら
その原付に跨ろうとした

その時


間違えてハンドルを捻ってしまった私
ハンドルから手が離せない私
走り出す原付、走りだす私
走り続ける原付、絡まる足達
走りまくる原付、引きずられる私

やっば。と思った瞬間
行き場のなくなった原付の力なのかなんなのか
原付が宙に浮いた。
結構多分空高く浮いた。
一緒に浮いた。
結構多分空高く私も浮いた。

その瞬間頭の中で

「友達のバイクや」
「借りといて壊すわけにはいかない」
「死んでも無傷で返さなければ」

この3つが浮かんだ。

気づいた時には無意識に
受け身を取る体制に入っていて
原付に傷を付けぬよう、原付は私の体の上にやり

ビターーーーン

と地面に落ちて叩きつけられた。
ハンドルは私の腹に捩じ込まれ

「ごふっ!」

と言う声が響き渡った。

その瞬間友達が

「あ!死んだっ!!!!!!」

と叫んだ。

「…いやまだぁ…」
と小さな声で死んでないことを示し

見事に決まった受け身と体の上には友達の原付。
受け身は取ったものの
突き刺さったハンドルのせいで
起き上がることは出来ない身体。
どうにか首だけを起こし、原付を見渡しました。

よかった。無傷でした。

しかし無傷であろうが、
もしかしたら怒られるかもしれない。
下手したら殴られるかもしれない。
そんなことを思いながら
恐る恐る友達に目をやると


めっちゃくちゃ笑顔でめっちゃくちゃ嬉しそうに
している友達が

「ほら!!!
柔道しててよかったと思えた日
来たやん!!!!
受け身、かっこよかったで!」

と声高々に叫んできました。


「…でもまず助けてほしぃかもぉ…」

と捻り出した声で叫び返しました。

だって、まず怒ってないなら大丈夫?て聞いてほしいし
その話あとでいいし、
ハンドルまだ突き刺さってるし。

ごめんごめん。と笑いながら原付を持ち上げ
起こしてくれました。

そして友達が
「柔道しててよかったって思える日
いつか絶対くるよって話して、そんな日くるんかなぁっていうて5分後に来ることあるんや。
だいぶ早めの伏線回収やん。」
といっていました。

お腹を抑えながら「うんうん」と頷きました。


これが私のバイクで空中一回転して伏線回収したお話でした。

バイク気をつけて乗ってくださいね。

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