長女の高校受験談義

音楽を選択するかな?と思いきや、中学から剣道をはじめた長女は最終学年に女子チームの主将となり、最後の大会で区内市内大会を勝ち上がり、見事に団体で県大会出場!という快挙を実現しました。メンバーが肩を寄せ合って円陣を組み、その喜びを分かち合っていた光景が今でも脳裏にはっきりと映ります。

それでも部活は7月末には引退を迎え、高校受験生として中3の夏休みを過ごすことになる。

高校の説明会が開催され、各家庭、親子で意中の高校のブースへ足を運び各校の先生方と話をする機会を得ながら高校生活のイメージや目標とする高校を絞っていく。

さて、表現力が豊かな長女は漫画家になりたいと思っています。そのため中学1年生から美術教室に通わせています。隔週に2時間、キャンバスに向かって絵を描く時間がとても充実しているとのこと。
「この気持ちは本物で大切にしたい!」と。その教室は美大予備校としてのコースもあるため、大学は美大に通うプランも現実的な選択肢として存在している。私と妻は美大の受験経験はないので、擬似体験をしようとブルーピリオドを娘と一緒にみる。(この話は過去Noteでも記録している)すると、東京藝大という最難関校も意識するようになる。

藝大に行けて困ることはないので、わりと自然に藝大入学が10代での目標になりがちになる。そういった視点で各高校の進学実績を一緒に眺めたりする。

手段は目的に容易にすり替わる。その存在だけは情報を集めるにつれてどんどん大きくなるが、なぜそこに行きたいのか?というロジックは実は整っていない。

そのような状態で学校説明会に挑み、長女は藝大に行きたいという希望や覚悟を冒頭に伝えたもとで、先生方との会話を開始する。印象に残る生徒にはなるだろうが、一定の共感を示した上で進学校で美大を目指す場合のデメリットも先生方は共有する。国公立大学を目指すカリキュラムと美大を目指すカリキュラムは当然異なるはずで、高校側に後者に相当するカリキュラムは通常存在しないからだ。

当然長女もそのことは事前に理解しているが、例えば高校側が生徒に与える課題が美大受験を目指す生徒にとっては負荷になり得る話を聞くと、及び腰になる。当然だろう。

そこで私は、そもそもなりたい漫画家と美大を繋ぐストーリーの不完全性をどう扱うか(正すか)をずっと考えていた。

学校説明会の直後に図書館に行き、芸術・美術を言語化している本と漫画家になるためのハウツー本を数冊ほど借りて読むことにした。

・わたしが芸術について語るなら(千住博)
・芸術とはどういうものか(三浦つとむ)
・美しいこと(赤木明登)
・美しいもの(赤木明登)
・マンガ脳(米山公啓)
・マンガ学入門(夏目房之助・竹内オサム)

やはり懸念していた通り、藝大を出て創作家として個展を出したりデザイナーとして活躍する方々と、漫画家の方のバックグラウンドはかなり異なっていた。漫画の方がどうしても商業色が強く、人に読ませるためのテクニックや支持されるプロットの研究などが盛んであり、絵を描くことは同じでも”芸術”や”美”とは違った方面であるように感じた。

(僕の人生の主題である音楽と通じる点もたくさん見つかって、この分野に足を踏み入れる機会を与えてくれた長女に感謝もしているが、この気づきや発見は別のNoteに纏めたい)

そこで本人に「漫画を通じて何を実現/表現したいのか?そのために歩むべき道は何か?」という問いを立てて、今一度考えさせようとも思った。が、このやり方も若干14歳に対して適切かどうかスッキリせずで、介入の仕方を思案する日を数日過ごした。
具体的に言語化した目標と計画は行動力の源になる。マネージャーである自分は会社では最重視していて、複数回の面談でメンバの言語化をサポートしている。しかし、言語化は視野を狭めてしまう効果もあって、娘な世界を狭めてしまうことを恐れた。また、ロジカルさを求めすぎることへの抵抗もあった。彼女はそういう世界線が主戦場にはならないんじゃないかなと。

今日このNoteを描くきっかけとなったのは、妻との夜中の散歩でこのテーマについて話し合ったためである。散歩のように適度な身体運動が伴っているときは話が弾みやすいことは何処かの記事で書いた。家の中では子供達がすぐにボク・ワタシの話を聞いて!との勢いで夫婦の話に割って入ってきてしまうし、そんな日々の連続では大事な話がなかなかできないので僕は妻を散歩に連れ出すようにしている。今回のようにテーマが定まっていることもあれば、何もテーマは決めず雰囲気に任せることもある。(ちなみに今日の散歩の前半は、夜な夜な音色を奏でる秋を告げる虫の話だった。お盆休みを過ぎて一気に音が増えた)

で、今回のテーマに戻ると、大学の行き先を今ガチッと決めてしまいのは時期尚早で、美大ありきで学力レベルを落とすよりは、選択肢が広く保てるように今の成績(内申点は抜群に高く、先生方からの評判もすこぶる高く、親も鼻が高い)で目指せる地域で一番の進学校には励まして行かせるべきだ。という意見でまとまった。

高校入学後も美術予備校には希望どおり通わせて、画力はどんどん高めてもらう。2月に推薦入学枠でその高校(幸い美術予備校にも一番通いやすい)を受けて、もしダメだったらランクを下げて3月の一般入試を受ける。あくまでも2月までは目標は下げない。あなたならできるよ、頑張ろう!と励ます。

そう2人で決めて、散歩から帰宅したら早速長女の部屋をノックして、勉強中の彼女ににそう伝えた。

学校説明会以降はランクを下げる選択肢をとる気持ちに依っていた長女は、最初こそ困惑だったり自信のなさ気な表情を見せたけど、親としての自信をストレートに伝えたら、表情が変わった。

あなたは十分その力があるし、高いレベルの環境に入ればその環境で新しい気付きや学びがあって、より人生プランに色どり豊かになるはず。

子の人生への介入法に正解はないけど、家族で包摂する形で決めていくスタイルは我が家らしいかなと思ったり。

そんな出来事の記録。

※追記
見事長女は県内トップ3に入る進学校に合格しました(推薦)。週3で美術教室に通いながら、ESS部に入り、英語での弁論大会に挑みながら見識を広めるための留学を計画しているようです。




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