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「製造業のサービタイゼーション化」をパネル討議司会の立場で深掘りする経験の記録

  • パネル討議司会という機会を頂く

  • 基調講演テーマは、製造業のサービタイゼーション

  • パネル討議のデザインに趣向を凝らす

過去noteでも紹介している品質工学会主催の次世代経営研究会において、パネル討議の司会という大役の打診があったのは、2021年2月ごろ。手がけていた技術開発が顧客のニーズにヒットし、いろいろ物事が加速的に動き始めて、その反動について危惧している時期でした。
2022年5月にパネル討議司会者としてコミットできる状態であるかは不明瞭であったものの引き受けることを決意しています。余裕の生み出し方については、己に向き合いペースを調整すること  に記録していますが、以下は理由付けになります。

簡単にいうと、サービタイゼーションに縁を感じたんですね。
どういうことか。

素材業界の生産技術職に長く従事してきましたが、いわゆるプロセスイノベーションだけでは、会社がなりたい姿、あるいは社会が求める姿には到達できないという想いを持っていました。その足りない何かを得るために、昨年4月に新規事業の技術開発に社内転職しました。担当として、その技術/製品の顧客は何か?を強く意識するようになり、顧客との直接的なやりとり機会が高まっています。また、新規事業を作るということで、自分でもビジネスモデルを構想していますし、DXを導入すれば、より広いサービスを提供できるのではないかとも、社内メンバーとの壁打ちで感じていました。というわけで「サービタイゼーション」にも縁があると感じ、自身の学びも含めて司会を引き受ける決断をしています。

次世代経営研究会パンフレット

サービタイゼーションの勉強を兼ねて〜と書きましたが、組織開発を過去先導してきた経験もあり、与えられた75分のパネル討議のアウトプット最大化をどのように実現するか?も私の一つの興味関心でありました。

当日のアジェンダ

上記はパネル討議冒頭に示したアジェンダですが、このアジェンダ作成に至るまでのプロセスも記録しておきます。

パネル討議まで準備スケジュール

流れのイメージの事前共有

4月中旬に戸谷圭子先生の基調講演資料が事前に公開されましたので、本格的な準備開始です。週末を使って、パネル討議でどんなテーマで深掘りをしていくかを定めるべく、パネル討議本番までのスケジュールと、当日の流れについて持っているイメージを共有しました。

その時、自分自身では当然深掘りしたいテーマはすでにありました。が、他のパネリストの皆さんの意向も確認すべく、事前フィードバックをGW明けまでに頂くことにしました。結果としてこの取り組みは正解でした。自分にはない観点の引き出しに成功しています。

パネリストの皆さんに頂いた事前フィードバックを眺めながら、どのように深掘りテーマを決めていこうか・・・と頭の整理のために描いた図表が次のようなもの。それぞれの属性(専門性や役職)、深掘りしたいと感じている内容を1枚にまとめたものです。

この時、それぞれがそれぞれの立場で興味関心を示されているが、少なくとも”where, why, そもそも〜”を問う戦略的な観点と、”how to"を問う戦術的な観点は分けた方が良いなと気づきました。

深掘りテーマを定める上での思考の整理

そのような思考の末に、深掘りしたいテーマを定め、以下の4つの質問にまとめました。

テーマを深掘りするための事前質問

Q1でそもそも論を議論し、Q2、Q3でHow to を議論し、そしてQ4に実務に繋がる気づきを得よう!という構想です。
Q5は個人的に興味があった内容なのですが、パネル討議参加者のうち、この分野に精通しているメンバーは5名中2名であったので、メインテーマからは外し、オーディンエンスからの意見を集う形を取りました。

さて、本番の結果はいかに??

実はですね。今回のパネル討議は、実はジャズセッションを意識してデザインしています。司会を引き受ける時の密かな試みとしました。

そもそも、次世代経営研究会のアジェンダ設定、特に基調講演⇒パネル討議の流れは、はじめて聴講する機会を得たときから非常に優れた構成であると感じていました。ここにグルーヴ感を生み出す音楽理論を積極的に盛り込むともっと面白いだろうなと思っていたんですね。
基調講演でメインテーマとそれに付属する共通言語を場の参加者に浸透させたのち、多様な音を奏でるメンバーでセッションを繰り広げるイメージです。

事前フィードバックを元に提案した一連の問い(深堀テーマ)はセッションする音楽のさながらコード進行で、メンバーに曲の展開を前もって共有する目的があります。
各テーマでパネリスト⇒戸谷さんのループを繰り返すのは、繰り返しによるリズムや流れを生み出す効果が。事前に各発言時間にMax3分未満と言及させていただいたのは、心地よいリズムを保持する目的がありました。
各パートでそれぞれがどのようなプレイをするかは、ジャズセッションでは誰も知りません。意図的に知ることもしません。一見、自由に演奏されているようで、根底には小さなルールが存在するのがジャズセッションです。

さて、盛り上がるジャズセッションは、流れに応じて部分的な協奏が突如生まれます

今回はどうだったか?
白熱しました!事前に設定したテーマから脱線したコメントが飛び出しり、私もその部分をどんどん掘り下げたり。
密かな楽しみは無事に成功しました!!!

さて、パネル討議の内容はテープ起こしされまして、臨場感を伴った形で品質工学会報誌に掲載されます。もちろん明治大学グローバルビジネス研究科専任教授の戸谷圭子先生の講演内容も収録されています。

是非興味を持たれた方は、品質工学会に加入してみてください。
大変良質な雑誌の一つです!!!

今回のNoteは2000文字を超えました。
ようやくアーカイブが完了し、次のテーマに切り替えることができます。
引き続きよろしくお願い致します。

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