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戦争と人口ピラミッド

6月23日
沖縄慰霊の日だそうだ。

6月23日は、旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日で、沖縄県が「慰霊の日」と定めています。



最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では、早朝から遺族などが訪れ、戦没者の名前が刻まれた「平和の礎」の前で花を手向けたり、手を合わせたりしていました。

この記事を読みつつ少し考えていた。
思い起こすと戦時中うちの祖母は父を守って亡くなったそうだ。そして大叔父?にあたるひとは南方戦線あたりで亡くなったそうで墓石には陸軍星がついていた。
ただここで平和云々という話はしないが、いくつかの戦記物を読んでいると、現場では時に戦友とくだらないことで笑って、翌日その戦友が戦場で亡くなって。上官はいつの間にか居ない。トイレはもちろん野外だ。そんな光景がある。
言葉では言えない現実があるのが戦争だ。現場と司令部では状況がかけ離れすぎている。これは今の日本にも言えるかもしれない。


https://dashboard.e-stat.go.jp/pyramidGraph?screenCode=00570&regionCode=00000&pyramidAreaType=2

さていきなり本題に入って、こちらは1945年の日本の人口ピラミッド。終戦の年。男の20-40歳代が相当いびつだが、戦争のためだろう。単純計算で1千万人くらいにあたる。これでは富国どころじゃないし、結婚どころでもない。足掛け15年くらい戦争していたわけだがこれではどうにもならない。戦士も居ないのでは。


同じく統計ダッシュボードより1955年の人口ピラミッド

続いて1955年の人口ピラミッド。5-9歳がとても多いが終戦直後のベビーブーム(第1次婚姻ブーム)によるものである。戦争でブランクがあって、平和による反動だろう。ちなみに10年前20-24歳だった男は30-34歳となり、200万人→280万人となった。これは復員や国籍変わりの方が居たのだと思うが、その下の世代と比べると・・。


同じく統計ダッシュボードより1975年の人口ピラミッド

1975年の人口ピラミッド。戦後のベビーブーム世代が25-29歳となり、新たなベビーブームが生まれた。そう、今の団塊ジュニア。つまり戦後のベビーブームが今の団塊世代だったのか。
ちなみにこの頃世界ではベトナム戦争が終わり、1980年にアメリカは15%というとてつもないインフレに見舞われた。終息するのに2年かかったそうだ。黄金の50-60年世代は終わりを告げ、一方軍事費の増大と高利による工業の空洞化で双子の赤字問題が大きくなっていたそうだ。近現代史を学び直すのもいいかもしれないね。


同じく統計ダッシュボードより2025年の人口ピラミッド(将来推計)

そしてこれが2025年の人口ピラミッド。今世間を騒がしている少子高齢化である。


出典:「国土の長期展望」中間とりまとめ 概要(平成23年2月21日国土審議会政策部会長期展望委員会)

日本の人口問題は上のグラフのように急激な人口増加が一つの要因だと思われるが、その原因の1つに戦後のベビーブームだったように思う。そして戦中でインフラの構築もできなかった。
急激にみなが結婚して子供を産むと、子育てがあるので第2子第3子は間が空く。社会インフラも間に合ってないから、急激に増えると増やせず止まるという現象が起きる。
団塊ジュニア期に合わせて900万人規模の小学校が間に合わず出来た頃には使わない教室が増える。今は保育園問題になっているが。
急激に人口が増えるという事は人口ボーナスをもたらすが、オーナスもその後やってくるということなのだろう。
これが日本の少子高齢化の要因の一つなのではないか。ふとそれを沖縄慰霊の日のニュースを見ながら思った。
ここで諸外国の人口ピラミッドはどうなのか調べることにした。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD/2020/

まずアメリカ。直接本土が戦場になっていないし、移民も受け入れている。年齢層の人口バランスが均一で日本みたいな問題は今のところ起きなさそうである。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9/2020/

次にフランス。多少いびつになっているが、若い層は少子化対策がうまくいっていた時期を反映しているものだと思われ人口減少を一回は食い止めそうだった。ただ日本ほどいびつでもないから安定していけそう。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84/2020/

次にドイツ。枢軸国側で日本と環境が近く今やユーロのトップ。
しかし日本と時期が少し後ずれで次第に日本と同じようなことになりそうである。ドイツの躍進も日本と同様人口ボーナスがあったせいかもしれない。そのうち保守化もしてきそう。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2/2020/

イタリアも形がよろしくない。欧州唯一中国と「一帯一路」を結んだりしていたのも苦境が近づいているせいだろうか。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD/2020/

次に中国。日本の団塊ジュニア世代と中国の団塊世代がだいたい同じ時期で1975年頃生まれから増えた。これは文革の終了期だからそういうことだろう。
よく中国も人口ボーナスが終わったと言われているが、人口ピラミッドからすると日本の15年後くらいで重なる。上海総合指数とかの株価を見てもそうだが、中国バブルは終わって日本と同様少子高齢化に悩むことになりそうだ。これでは戦争どころではないだろう。同時に日本の交易相手も衰退していくという事になるが・・


https://www.populationpyramid.net/ja/%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD/2020/

同じく韓国。朝鮮戦争があったので日本の10年後くらいになっている。日本以上の少子化なのは、日本以上に急成長したが故の人口オーナスが起きているのかもしれない。


https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2/2020/

最後にアフリカ最大国家の一つナイジェリア。きれいなピラミッドだがこの後どうなるのだろうか。まあ、これからの国というかたちだ。

色々思うに、戦争は人口ピラミッドの歪みを産んでしまう。これは見落とされがちだが戦争のよくない弊害の一つだろう。
そして人口ボーナスをもたらすが(奇跡の発展とか)同時に人口オーナス(その後副作用)が起きる。欧州は比較的安定していて、もう急発展もないが急に衰退もない。これはインフラなどの社会的固定費が安定できるというのも一つ理由があるのではないか。
残念ながらいま日本では1億2千万人が入るマンションを建てても20年後には人口が1億人程度になるので部屋が余ってしまう。かといって1億人のマンション立てると今の2千万人があぶれてしまう。
ここから考えるに相当機動的な社会にしていく必要があるのだが、中央集権から抜け出せずマイナがどうの名前がどうのとやっているようでは、この先もおぼつかない。このあたりの分権化についても思うところはあるので気が向いたらまとめてみたい。祖母は何を思って父を守ったのか考えつつ・・


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