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実家は自分の家なのか、他人の家なのか

昨日、実家に行った。夜に帰って車から出ると、外の匂いに落ち着いた。
子どもの頃、小学生の頃、おばあちゃんの家に泊まりで行って帰ってきた時と同じ感覚だ。もちろんお祖母ちゃんの家で過ごす事は楽しい。いとこもいた。夏休みは、1週間以上、祖父母の家で過ごした。

それでも、帰ってきた時、やはりここがホームタウンだと肌で感じた。なんとも言えない、ほっとした感覚。街が私を迎えてくれているような温かい感覚。私の両親はどう思っていたか分からない。おばあちゃんの家に行くことを、父は、「帰る」と言っていた。私にとっては「行く」だ。

そして、今、結婚して30年経ち、実家には全く私の物がない。着物は置いてあるが、日常生活で目につくものは何もない。あー、ここはもう自分の家ではないと感じる。私には故郷というものがない。引っ越しを17回もしている。今、借りている家が私の家だ。それでいいと思う。負け惜しみとかではなく、家はしょせん家だし、経験に勝るものはないから。

住めば都というか、人は、その土地になじんでいくのだと感じた春の夜だった。

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