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2213 『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』

◇2213 『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』 >小野壮彦/フォレスト出版

自分自身は大丈夫だろうかと、ドキッとさせられる本。

筆者はエゴンゼンダーという人材関係のコンサル出身の方。経営幹部のヘッドハンティングや次期幹部候補を見極めるという仕事をした経歴を持ち、「人を見る目」をできるだけ言語化しようというのが本書の試みだ。

私なりに理解した重要な点は3つ。人は「4つの階層」で構成されるという点、中でもポテンシャルに注目すべきだという点、そしてEVILという存在である。これを私が理解した範囲で書き留めておきたい。

人を構成する4つの階層
・地下1階:経験、知識、スキル
・地上1階:コンピテンシー
・地上2階:ポテンシャル
・地上3階:ソース・オブ・エナジー

・コンピテンシーとは、その人がどんなシチュエーションでどういうアクションを取りがちかという固有の行動パターンのこと。

・ポテンシャルは、過去のトラックレコードばかりを見るのではなく、未来の伸びしろを読むべきだという、HR界ではコペルニクス的転回の必要性を指摘したもの。エゴンゼンダー社が開発。

ポテンシャルには4つの分野がある。

(1)好奇心(吸収、更新)新しい経験、知識、率直なフィードバックを求めるエネルギーの強さ。学習と変化への開放性。古い考え方を捨てられる力。

(2)洞察力(集める、繋げる)新しい可能性を示唆する情報を収集し、理解するエネルギーの強さ。地頭の良さと近似する概念。

(3)共鳴力(結ぶ、響く)感情と理論を使って、自身の想いや説得力のあるビジョンを伝え、人々と繋がろうとするエネルギーの強さ。

(4)胆力(腹決め、律する)大きなチャレンジがある課題を好み、困難な目標に向かって戦うことに強いエネルギーを持つ。逆境から素早く立ち直る強さを持つこと。覚悟を決める。

・面接時にポテンシャルを見るためには、例えばこれまでの仕事で最も誇りに思うことは、といった質問をしてその答えの中から、これら4つに関係しそうなエピソードをすくいあげて、掘り返していく。

・人のタイプを、優秀な人と平凡な人という評価軸と、人としての善悪という評価軸を掛け合わせた4象限で区分することができる。

・優秀でかつ人として善である人材を見逃さずに活かすことが組織にとって最も重要。

・一方で優秀だが人として悪な人を見極めることも大切。平凡で悪な人は分かりやすいので避けやすい。しかしながら、優秀で悪な人は巧妙に隠したり印象操作したりして、見つけにくい。

・世の中に完璧な人はいないので、リスクを感じたら、そのリスクを認識しておくこと。排除や差別することがもくてきではなく、許容範囲を超えたらどうするか腹を括っておくこと。

・筆者は優秀だけど悪な人のことをEVILと読んでいる。彼らは「向社会性サイコパス」といって、社会に溶け込むことができ、善人の顔をしていることがある。誰もがその要素を持っており、その率が高いか低いかの違い。

・EVILな人は、相手がどう思うかは知ったことではない。共感性が著しく欠如している。利害関係が弱い相手や格下の存在に対してのみ、本来の顔を出す。(面接時に受付にどのような態度を取ったか、会食時に店の従業員にどのような態度を取ったかなどが判断基準のひとつ)

Levenson self-reportで自分のサイコパス度合いが判定できる。

MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)は信頼性が高い心理テスト。

・誰しも強いプレッシャーを感じると突発的EVILになる可能性がある。

・平時に目指すべき目標に向かうことに意識が強い人は、他者を操縦して問題を起こす可能性がある。より良い人間関係を築くことに意識が強い人は、他者に依存して問題を起こすことがある。あるべき姿を目指すことに意識が強い人は、自己を防御して問題を起こす可能性がある。

・強さをひっくり返したものが弱みではないか?

・人を決めつけず、見切った気にならず、好奇心の扉のシャッターを下ろさずに、目の前の人を見続けていくことが大事。




【目次】

目次
序章 「人を選ぶ」ということの意義
第1章 「人を見る目」を分解する
第2章 人を「階層」で捉える
第3章 相手の本質を見抜く実践メソッド
第4章 人を見る達人となるために
第5章 地雷を踏まないための知恵
第6章 人を選ぶ現場で今起こっていること
終章 「人を見る力」がもたらす究極の喜び


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