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自転車はじめて1年でPBPを完走するまで #07 〜PBPまでのブルベ編・冬〜

BRM108近畿300km神戸 佐用・日生グルメ紀行

姫路1000をリタイアした翌週、ひさびさの気楽で楽しい美味しいグルメライド系ブルベ、通称カキオコ300です(300kmを気楽と思うあたり少しずつ感覚がバグってきているのを感じる)。

お昼ごはんに佐用でホルモン焼うどん(鉄板でホルモン・野菜・うどんを焼いてつけダレで食べる鉄板料理)、夜ご飯に日生でカキオコ(牡蠣のお好み焼き)を食べ、獲得標高2500mほど、これはちょうどいい平坦基調のブルベ!

(人気ブルベで参加者もすごい多かった)

グルメも景色も楽しんで、17時間ちょっとでゴール。
なんだかんだで終電を逃し神戸から大阪まで自走で帰るハメに、寒すぎて死ぬ。

大阪→宮崎聖地巡りライド(DNF)

これもブルベではありませんが。

1月中旬、子供が某アニメ映画を観たいというので映画館へ。
まさかの私が感動して泣いてしまい、心の隙間を埋めるために思いつきで3日間ちょっとで大阪〜神戸〜岡山〜愛媛〜大分〜宮崎〜鹿児島の900kmほどを自転車で走る聖地巡りライドを計画(帰りは鹿児島から飛行機で)。

1日目を順調に走り、約230km地点の鷲羽山のあたりで夜景を撮っていると長女が熱を出したとの連絡が。
児島から電車で岡山まで出て、そこからは新幹線で大阪へ帰り、聖地巡りライドは道半ばで終わりました。

なんかDNF、クセになってきてない?

BRM204神奈川400km 追い風

年末の大阪→東京、正月の姫路1000、聖地巡りライドとリタイアが続き、自分の寒さ耐性のなさを本格的に自覚し始めます。

次はオーバーナイトライドがほぼ必須な400kmブルベ。
念のためウィンタージャケットを買い足して、出走に備えます。

コースは愛知、三河安城を出発して東進し、途中、東名高速側道を通りつつ、豊橋の北、新城の当たりまで足を伸ばしてから東海道に復帰。
浜名湖を過ぎてからは国道150号を使って御前崎方面へ。
御前崎をぐるっと回ったあと、大崩は通らずに旧東海道の宇津ノ谷峠、明治トンネルを使って焼津から静岡市に渡ります。
静岡市内は再び国道150号で市街地を回避し、新清水のあたりで旧東海道と再び合流。
敦賀湾を右手に旧東海道に沿って走り続け、富士川手前で北上、富士山を左手に眺めながら富士川橋で川を渡ります。
沼津から伊豆半島を南下し、修繕寺から冷川トンネル経由で伊東へ。
伊東の海沿いのアップダウンを抜けながら相模湾沿いに三浦半島方面に走り続けてゴール地点の逗子に至る、全体としては平坦基調で、西から東への偏西風による追い風が期待できるコースです。

スタートは13時。
交通費を浮かすために朝から新幹線ではなく近鉄特急(アーバンライナー)に乗って名古屋へ行き、そこからこだまで三河安城へ。

三河安城駅のトイレに入り、ちょうど出たタイミングで東京発大阪方面の新幹線が止まるホームから自転車を抱えた男女がゾロゾロと下りてきます。
めちゃくちゃ参加者多そ〜〜

駅から出て自転車を組み立て、まだ少し時間があったので試運転がてらお昼ご飯を食べに行くことに。
5分ぐらいの距離なのにめちゃくちゃ迷子になりながら、街かど屋に到着。もうあんまり時間ないな。
時間に焦りながらも定食を頼んでご飯を2回お代わりし、出走前のカロリー補給はバッチリ。

駅前に戻ってくると、集合場所の広場には100人以上の人、人、人。
こんなに大量の自転車乗りを一度に見たのは人生で初めてです。

ブリーフィングもなんだか大盛り上がりで、陰キャぼっちの私はどこかいたたまれない気持ちになります。

人数が多いのでウェーブ方式でスタートしていくなか、自分の時間スロットがもう直ぐなので列に混ざっていきます。
車検をし、スタートをすると、すぐに信号に捕まります。
う〜ん、先頭になってしまった。

信号が青になり大きい道路に入りしばらく走りますが、信号が多く、車も多く渋滞しているため、すり抜けが苦手な私は後ろを走ってる人に申し訳ない気持ちになりながらチンタラと進んでいきます。
後ろめっちゃ詰まってる……。

しばらく走っていくとどんどんと車も少なくなり、マイペースで走れるようになりました。

浜名湖を過ぎたあたりであたりは真っ暗。
お昼スタートであることと、冬で日が短いことからまだ100kmほどしか走っていないのにナイトライドに突入です。
暗くなると景色も何も見えないので、正直あまりおもしろくありません。
さわやかの誘惑に耐えながら、先を急ぎます。

しばらく頑張って走り続けますが、途中からめちゃくちゃなしんどさを感じ始めます。
どうやら夜9時を過ぎると私の身体は自転車に乗ることを拒否するようです。
いよいよ本気ではやく帰りたくなってきました。

夜11時過ぎ、宇津ノ谷峠をノソノソと登っていきます。
途中で手作りの看板があり、明治トンネルの方向を指し示してくれています。
真っ暗な山の中、手作り看板に従って横道の歩行者通路に入ります。暗い。怖い。
看板がなければ絶対に間違ってると思って引き返すレベルです。

そのまま少し登ると目の前に明治トンネル。
現実感のないどこか不気味な景色に「おぉ……」と圧倒されながら、とても古くて狭いトンネルを通っていきます。
あとから知りましたが有名な心霊スポットらしいです。そら怖いわ。

明治トンネルを抜けてすぐに有人PC。
草むらに自転車を放り倒してブルベカードにチェックをもらう横で、スタッフがアツアツの豚汁を振る舞ってくれています。
もうとにかく一刻も早く仮眠ポイントで休みたかったのと、止まっていると身体が冷えそうだったので、私はスルーして先へ。食べとけばよかった……

ビューンと下ってすぐに仮眠ポイントかと思っていたらまだ30kmぐらいあります。
寒い。かいた汗が風で冷やされて体温がどんどんと下がっていき、疲労も相まって完全なるイヤイヤ期を迎えます。
寒い、寒い、暑い、寒い。もう嫌だ、嫌だ、とブツブツ独り言を吐きながら静岡市内を横切っていき、もう限界、というタイミングで本日の仮眠ポイント、駿河健康ランドに到着です。

時間は深夜1時半。
ガチガチに凍えながら亀のような速度でシューズカバーと靴を脱ぎ、受付を済ませます。

汗で湿った服を脱いで、温泉に入ります。
「ア゛ア゛ア゛ア゛……」と人ならざる声が出ます。気持ち良すぎる。

温泉が名残惜しいですが、あまり温泉に入り過ぎると仮眠の時間がなくなるので、身体が温まったらすぐに上がって髪の毛を乾かします。
こういう時にロングヘアはマジの最悪です。全然乾かん。

案内板に従って仮眠所に辿り着くと、真っ暗な畳の広間に、死体のように人が大量に転がっています。
布団がたくさん敷いてありますが、それでも足りていないので布団と布団の隙間にも人が転がっています。

ハッ〇ン場みたいだな…と思いながら空き布団がないので布団と布団の間のスペースに身体を横たえます。
1時間ほど寝た後、誰かのアラームで目を覚まし、時計を見るとちょうど起きようと思っていた時間。
まだめちゃくちゃ眠たかったので、二度寝しようと目を瞑ると、となりからトントンと肩を叩かれます。
ハッテンする気分じゃないんだわ…と思いながら無視するも、しつこく肩を叩かれ続けます。
あまりのしつこさにそちらを見ると、なにやらジェスチャーで「布団が空いたから使っていいよ」と伝えたい様子。最初からそう言ってよ。

ありがたく布団で1時間ほど二度寝し、起きて準備をします。
起きて準備を……。
起きたくないし準備もしたくありません。
このまま寝て、朝にまた温泉に入って、新幹線で帰りたい、と思いながら館内着からサイクルジャージに着替えます。ウッ、湿ってる。

後ろ髪を引かれながら会計を済ませ外に出ます。
朝5時前。死ぬほど寒いです。

駿河湾沿いを走り続け、富士川を渡るあたりで夜明け。
朝焼けで赤く燃えるように染まった富士山がめちゃくちゃ綺麗で、心を打たれます。

太陽が出て明るくなると、気持ちも少し明るくなってきました。
たぶんこれは仮眠前に飲んだ風邪薬のおかげです。

冷川トンネルまで300mほどを登り、トンネルを抜けたあとはビューンと下ります。
ここから先は伊豆半島東海岸のアップダウン。海だー!!!!

アップダウンを登って、下って、登って、下って。
ウィンタージャケットが汗でビショビショです。
ここはもうウィンターではない。

駿河健康ランドを出た時に30分ほどあった借金は、気づけば1時間ぐらいの貯金に変わっていたので、すき家でゆっくりと朝ごはん。
完食して20分ほどで再スタート。

途中から内陸の方に入り、アップダウンが続きますが、走り続けると少しずつアップダウンが少なくなってきます。
しばらく走ると看板に「湘南」という文字が目立ち始めますが、一向に海が見えません。
茅ヶ崎に入りますが木しか見えません。海どこ?

江ノ島に近づくにつれて海が見えてきました。
道路沿いの景色が急にカリフォルニアっぽくなってきます。
カリフォルニア行ったことないけど。

江ノ島の手前あたりで大渋滞。車がとにかく多い。
江ノ島のことを全く知らない私、そんなに江ノ島って楽しいの?と純粋に疑問に思い始めます。

そのままずーっと走り続け、気づけばゴール地点の逗子。
狭い路地に入り、迷いそうになりながらもゴール地点の旅館に到着。
タイムは26時間。渋滞でタイムアウトにならなくてよかった〜

ゆっくりしたいところですが、旅費を浮かすためにとんぼ返りです。
逗子から電車に乗って新横浜。新幹線で大阪へ直帰です。

思い出の8割ぐらいは駿河健康ランド。
駿河健康ランドのことが忘れられなくて、翌月にバイクに乗って下道で大阪から8時間かけて駿河健康ランドに行きましたとさ。

次回、「ドキッ!初めての沖縄でバカンス」。
お楽しみに。

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