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なぜ断熱過激派の「断熱しろ」は言い過ぎなのか分かりやすく解説!

この情報が気になった。

断熱性能が高い家に住む人と世間の考えとの乖離について。

今の20代後半~40代がどんな家に住んできたか

自分らの世代は実家や賃貸で無断熱住宅(平成4年基準である断熱等級3まで。正確には等級2や3は等級1の無断熱ではないが、温度差の解消はされてないので無断熱と変わらない)に住んできている。この事実を断熱過激派は忘れていると思う。

リビングは灯油ストーブやこたつがあって暖かいが、ドアを開けて廊下に一歩出ると極寒。真冬の入浴は我慢との闘い。寝室の室温は10度以下、体が苦しくなるような分厚い布団をかければ寝られるも、トイレで起きようなら寒さに耐えながら移動し、起床時も着替えやリビングに行くまではとても寒い。

私たちはこういう家に住んできた。自分の家に限らず、友人や親せきの家にお邪魔してもこの問題がない家は私は経験していない。経験したことがある人も、北海道を除いて「お邪魔した家のうち9割は廊下も脱衣所も暖かかったよ」という人はいないだろう。

最新の建売でもここまではひどくないので、建売ですら快適に感じられるはずである。

この暮らし方、建築コストの高騰の状況を踏まえても無断熱住宅(等級1?)から等級6や7に一気に上げる必要があるのか。これが大いに疑問である。

「暖かい家には住みたいけど、子供や自分の通勤通学がしやすくて病院も近い土地の立地も大切だし、何より将来が不安だから毎月の返済額を減らしたくない」というのが普通の考え方だろう。住宅会社は家が全てだが、消費者は家が全てではない。

つまり実家、賃貸より快適なら安い方がいいと考える人が大半だが、この辺をすっ飛ばして「断熱はできるだけしよう!」という情報発信ばかりがなされるので共感してもらえない。

私たちの子供世代が23年時点のZEH以上の家で育ち、自分の家を建てる時に「最低でも等級6じゃないと嫌」となるのは分かる。(その時は8とかもあるかもしれないが)

しかし仮設テントにエアコンがあるぐらいの低性能な住宅で生活してきた人に等級6や7が必要かというと、多くの人にとって過剰性能だと思う。

世界にはこういうバラックで住む人がいまだに多く存在する。当然エアコンなどもない。

この家に住む人が快適にするのに必要なのは何だろうか?太陽光発電?乾太くん?全館空調?

物ごとには段階というものがあり、需要が少ないうちは高品質な商品は高い。

重い金銭負担を強いて高性能な商品を入れさせるぐらいなら、当事者にとって金銭負担が重くない範囲で快適にしてあげればいいと思うが間違ってるだろうか。

「断熱しろ!」の問題点

平気で行われる情報操作

住宅の耐久性について今建てられている住宅と比較するのではなく、昔の住宅と最新の住宅を比べて優良誤認を起こしているという指摘があった。

高断熱住宅でも全く同じことがされている。

WHに限らないが、この手の情報はよく見るだろう。

ヒートショックの話自体が嘘情報なのだが解説が長くなるので置いといて、もう1つの問題は「高齢者が死亡する原因」というところ。

ここで質問。

高齢者は2023年時点のZEH住宅に住んでいるだろうか?

築30年を超えているなら、この区分でいう等級2や無断熱(等級1)では?

ここ抜けている人多くないですか?

高齢者がヒートショックで亡くなる(そもそもこれが嘘だが)→家が寒いことが原因→高断熱住宅で解決!

という思考フローであるものの、高齢者がどんな断熱性能の家に住んでいるのかが欠落している。

欠落していると言っても実務者がこの情報を言うときは意図的である。当たり前だがWHは高齢者が住む家の断熱性能を知らないわけが無い。

加えて施主である断熱過激派は自身の家で誇れるのは断熱だけなので、自身の選択の正しさ強固にできる情報なら裏も取らずになんでも乗っかる。こういう構図だと思う。

30年前の住宅と最新の住宅の耐久性を比べることがおかしいように、30年前どころか50年以上前の住宅と比べて「断熱をした方がいい!ヒートショックが危ない!」というのが正しいのだろうか。

例えば、30年前の情報通信手段とスマホを比べて販売する会社なんて存在するだろうか。ネットがなく電話が一家に一台、友達と電話するにも最初に出るのは相手の親で「○○ちゃんいますか?」と確認しないといけない時代。

30年前と比べて「昔は親を経由して電話を取り次いでもらうことが必要でしたけど、スマホなら本人に直接連絡ができるんです!便利ですよね?」とiPhoneを説明をする携帯ショップなんてあるのだろうか?

存在するなら逆に面白いから接客を受けてみたいかもしれない。私がタイムマシンで30年前から来たならこの説明で正しいだろう。。

まるでタイムマシンで30年前から来た人に説明する営業トークが普通にされているわけだが、他の商材に置きかえればどれだけ異様な営業活動が住宅業界で行われているか一目瞭然だと思う。

インフレを加味しない近視眼住宅売り

時が経てば性能も意匠も向上して10年前に建てた家は10年前の家、30年経てば30年前の家になる。老いからは逃げられない。

将来的な性能のインフレに対応するならG3でも足りますか?インフレに対応することが目的ならなんで等級6で満足してるんだろう?

この設計士の会社の標準が等級6なら2030年には等級7になる。今5が標準の会社と何が違うのか。

「インフレに対応することが目的」なら今の断熱等級なんて基準にする意味はなく、100年間は低スペックとならない家の定義から始めるべきでは。

2030年までは高スペックでも、2040年、2050年になったら不適格になる可能性があるならたった30年まで適合する意味はあるのだろうか?(30年までに住宅を手放すときの資産価値維持?なぜそんなことを考えないといけないのか)

2030年の最低レベルにはなるけどそれ以降は知りません。たった7年後までの保証。100年住宅の1割弱の期間を保証する意味はなんだろうか?

断熱はした方がいい、けど将来のインフレ考えるとキリがない。予算と優先順位がある。G3でも寒い家がある。Ua値だけ良くても空調計画や太陽光トータルでいい家を目指すフェーズ。

そういう話が抜けてるよと中立的な人は断熱過激派に指摘しているのだが、断熱そのものを否定してると思われるから噛み合わない。是々非々という考え方がなく0か100でしか議論ができない。

つまり6が理想ではなく、今時点の建売やHMとの差別化要素を作りたいだけだろう。

断熱した方がいいからと建築コスト増を促すのは本当に施主のためになっているのか?

今の注文住宅の一番の悩みはどう考えてもコスト。しかしコスト負担を抑えて快適な家に住んでもらうというアイデアは出さない。「断熱しよう。G2目指そう」の1点張り。

安い時期に高性能住宅を建てた施主(断熱過激派)と、高性能住宅をプレミアムブランド化し高い家を売りたい実務者の利害が一致している。

最近は断熱リフォームっていうのありますよね。無断熱住宅をZEH~G2にするという。

これを2023年に建ててから30年後や50年後にするんじゃだめなんですか?

一番金銭負担が重い入居時にコストをかけまくる合理性はある?「2030年以降の高性能住宅」がまだ分かってもない段階で。

30年も経てば子供が巣立って夫婦だけになっている。仕事もリタイヤ直前。順調に生活していれば貯蓄もたまっている。

その時に必要な分だけリフォームにお金をかけるのではだめなのか。

人によっては4人家族の家、土地は広すぎる、庭の管理が大変などで住み替えを行う人もいるだろう。

そこまで普通に住める程度の家であれば家にお金をかけすぎる必要性は無い。後から選択肢を持ったうえで生活ができるという方が賢いと思う。

とにかく最初に高い家を買ってほしい。「あなたのこと思って2030年の基準に適合した方がいいですよ」と言うが、実際は住む人の生活や人生を一切考えない住宅会社の浅ましい考えが透けて見える。

家は最新の基準に満たないといけないなら、こういう人は車も最新の省エネ基準に適合する車にちゃんと乗っているのだろうか不適格になる前に乗り換えしているのだろうか。(車は家のように構造をリフォームできない)

自動車税は登録年月から13年、18年経過で増税になるがこのような車についてはどう思っているんだろうか。これでクラシックカー好きとかだったら笑いますよ。

ちなみに先生はクラシックカーのラリーがご趣味のようで。車を動かすうえで機能的な問題があるようですが、「運転してて楽しい」からいいんだそうです。

でもクラシックな家に住んでる人たちが楽しくても許されないんですもんね。

記事公開後の補足

切り取りと言われているので、間違った引用をしてたのか確認しました。

たしかにこの人はG2にするべきというスタンスではなく、ZEH以下の家を今でも建てている住宅会社を問題視している。

それは正しいと思う。

がしかし、私は彼をフォローしてないしフォローしてたとしてこの話をしているのは8ヵ月以上も前なので覚えている可能性は低いだろう。

当日投稿した2つのツイートをそのまま掲載しているのに、自分の言葉足らずを棚に置いて切り取りと言われても無理がある。ZEHでもいいとすると、なぜあだちの家(G2最低基準)を評価するのか整合性が取れない。

G2を最低基準にした、というあだちの家の情報に対して今年8月に共感していた。
これを踏まえて先の投稿を再度見てもらいたい。

8月同様にあだちの家の断熱性能(G2最低)、「一足先に未来の普通の家を建てること」に共感しているのは変わらないと思う。ここは読み違えてないはず。それを強調するために、自社基準ではなく国の最低基準に併せて引き上げる住宅会社を出している。

よくわからないのが、あだちの家を評価するならG2目指すべき、という引用の仕方は間違ってないはずだが、ZEHでもいいじゃん、等級4で樹脂サッシ使うだけでもいいじゃんというスタンスのどちらなのか分からないこと。

これが本来言いたかったことなら「あだちの家いいじゃん」とはならない。G2目指すのもいいし等級4から樹脂サッシ使うだけでもいい、みんな違ってみんないいという明確なスタンスが無いことがスタンスなら10月4日の投稿は言葉足らずだと思う。

長くなったが、別に彼に固執しているわけではなく「他の住宅会社より一つ上のG2標準」とすることで断熱性能をアピールする会社はいくつも存在しており、それについての疑問から実例を探した。

彼が違うニュアンスだったなら引用元としては間違っていたが、私の言いたいことはG2がいいよと今は言っている会社も2030年になればG3にしましょうとなる。G2がベストでもない可能性があるのにたった7年の間古い家にならないようにするというよく分からない理屈でG2住宅は販売されているよということです。

どういう情報が必要なのか

先の情報では上手に切り取りをしていたようだが、実態としては高性能住宅の認知度は省エネ対策の中でトップになっている。それで十分とは言わないが、認知度が低いという課題は見えてこない。
認知度が上がったとして、建築コストの増加からは逃げられないので他にやりたいことやローン負担を上げて断熱に予算を割くかどうかになる。

不景気で生活が大変なのに屁理屈をこねてお金むしり取ろうとしないで、「ZEH/G1でも快適な家づくり」を住宅会社には依頼したい。

それこそが不景気、建築コスト増の2023年に施主にとって必要な情報である。

その手段の1つがF式だと思うし、太陽光やおひさまエコキュートになる。私が力を入れている窓についてもその1つ。(先のアンケートで12%が2重窓、3重窓を上げているので樹脂サッシの浸透もしているようだが、引き違いの問題やFIXの良さ、窓は最小でいいこと、通風設計が時代遅れであることはまだまだ浸透していない。引き続き活動が必要)

断熱過激派やそれ以外の施主も含め、このあたりの情報をこれから建てる人には提供してあげてほしい。情報の切り取りや30年前の住宅と比較せず、ちゃんと公平なアンケートや経済情勢を加味して情報を発信してほしい。

2023年時点でいえば2022年前半以前に契約をした人とは建築コストは比較にならないので、その当時の考えで「断熱しろ!」と言われても昔話になってしまって参考にならない。当時のことは忘れて、今の状況で自分ならどうするかを教えてほしい。

できることなら自分が建てた会社に「今同じ家建てたらいくらになりますか?」と聞いてほしい。その上で当時と同じ予算にするには何を削るか考えてみる。そこまでやって出てくる情報なら意味があるだろう。(工務店が倒産して確認できない人はドンマイです)

金持ち、もしくは断熱にだけ予算を割く人しか快適な住環境を手に入れられないなら高性能住宅なんてマウンティングの道具でしかないので無い方がいいと思います。

叙々苑は美味しい、フェラーリはいい車、時計は最低ロレックス。高いものはいい、という当たり前にもほどがある情報に価値があるとは思えません。

それが手に入らない人、買えなくないけど他に優先順位が高いものがある人も満足できる方法にこそ価値があります。

これはネタも入っていると思うが、真面目に受け止めるとG2未満の情報の方が価値があると思う。

G2、G3がいい住宅とされているのは家アカなら全員知っている。

未だに分からないのはZEH、G1だとどのぐらい不便なのか。太陽光や空調計画、窓配置を工夫しても超えられない壁があるのか。G2以上とのギャップがどれほどあるのかとうこと。

家アカ全体の問題はUa値、C値インフレが激しくて、すごい数値ではないと施主が「うちなんてしょぼいから」と言ってしまうこと。それにより、すごい数値の家の情報が偏りそこそこの家の情報が無くなってしまう。

G2以上を建てられる人ならいいが、それ以外の人が路頭に迷う。

だからZEHやG1、C値1.0~0.7ぐらいの家アカ的には高性能というほどではないかもしれない数値の人こそ情報発信を頑張ってほしい。

私の家だが、等級上はG2。でも断熱構成は酷いものなので、窓が少ないがためにG2になっているだけの家である。(特に屋根がネオマ50㎜と貧弱)

どちらかというとG1寄りの家なので、その点も加味して住んだ後の情報も載せたいと思う。

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