見出し画像

地方クラブの生きる道 〜 地元愛で選手を育てるモンテディオ山形ユース(U18)

9/17に行われたプリンスリーグ東北 第15節、モンテディオ山形ユース 対 帝京安積の一戦は、モンテディオ山形のホームスタジアムであるNDスタジアムで開催された。しかもナイターで、である。

この試合の観客動員数は公式記録で1,000人。普段のリーグ戦が概ね100人未満であることを考えると、箱が大きくなったとはいえ、かなりの数の客が集まったことが分かる。

これにはスポンサーの獲得、スタグルの出展など、モンテディオ山形の営業努力もさることながら、有志のサポーターによるバックアップや情報拡散なども積極的に行われたことが要因であろう。

試合後、モンテディオ山形ユース公式の投稿には試合開催への協力のお礼とスポンサーの紹介が。地元の方々の協力的な姿勢が伺える。

その他、当日の様子を収めたXのポストを幾つかピックアップ。

さて、このように様々な人々に支えられている山形ユースだが、そんなユースへのモンテディオ山形の対応について特筆すべき点が幾つかある。

まずはトップチームへのユース選手の積極的な登用。モンテディオ山形からガンバ大阪に移籍した半田選手や、来期加入の関東学院大の狩野選手、仙台大の相馬選手はユース出身。そして、現在のユースからは上林選手、千葉選手の昇格が確定している。

続いてU18以下の施策。トップチームであるモンテディオ山形とユースのトップチームを同じユニフォームにし、NDスタジアムでの公式戦を開催するなど、選手のモチベーションを上げる工夫を欠かさない。また、U15の選手も上位組織にうまく引き上げており、ユースの6割の選手はU15ジュニアユース出身だ。その他の選手も主に東北のチーム出身で、非常に地元志向が強い。この選手構成から、地元のタレントを育てようとする気概が伺える。

また、有志サポーターの熱意も見逃せない。この試合用に選手の横断幕を用意していたが、それだけではない。普段の試合からホームだけでなくアウェー戦にも足を運び、勝敗を選手たちと共に分かち合っている。そして、クリーンな応援も印象がいい。世の中を見渡せば罵詈雑言を放つサポーターもいるなかで、それとは真逆の世界を見せてくれている。

資金力が潤沢ではない地方のクラブにおいて、この山形ユースのような対応は、地方クラブがこれから生き残る道を示しているのではないだろうか。

つまり、クラブがある地域の子供たちは『トップチームでプロの選手になる』という夢を見て、地域の人々の支援を受けながら下部組織のなかでステップアップし、サッカー選手としても人としても育っていく。このような環境こそが、クラブが地域から愛されるために、そして必要な人材を囲い込むために必要とされるだろう。

近い将来、モンテディオ山形ユースとユースを支える人々が目指す形が、地方クラブのスタンダードになるのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?