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冬に読んだ本から 『煌夜祭』 『汝、星のごとく』 『星を編む』

今年は本のことをメモしておきたいと思います。

書きたいことはあるのにいざ言葉で書き出そうとすると、まとまらないない難しさ…(ああ、もどかしい)それでも一歩進みたくて、読んだ本から3冊あげていくところから始めることにしました。

『煌夜祭』  多崎礼

◎ きっかけ

レーエンデ国物語の読了後、著者の多崎さんの他の本を読んでみたくて手にとりました。

年に1度、冬至の夜に開かれる煌夜祭。語り部たちが恐ろしくも美しい魔物の物語を語り繋いでいきます。ちょうど冬至あたりに読んでいたので夜ゾワゾワっとしたのを覚えてます。

感想

人間の欲深さを交えると、魔物の愛するが故に食べてしまいたい(深く知りたい)心情がピュアに思えてきたり…

森と小夜啼鳥(さよなきどり・ナイチンゲール)からはじまる序章、語り部たちがそれぞれつけている仮面からはベネチアンマスクをイメージして瞬く間に引き込まれていました。

時間軸、登場人物の名前が覚えきれなくて振り返りながらも一気に読み終えました。もし「一冊に収まっている好きなファンタジー小説をあげよ」と聞かれたらこの本が候補に入ってます。

◎ ふたつのあとがき

2013年に書版発行した「ノベルス版あとがき」、その後に「文庫本あとがき」が続きます。

デビュー時のものを実に青臭いといわれていてクスッとしたのと同時に、今の自分が手直しすることで失われてしまう何かがあるという言葉にとても惹かれました。

不器用で頑固、時流を掴むのも苦手と書かれているところではレーエンデ国物語のトリスタンが浮かんできました。
胸のうちの表し方もどことなくトリスタンが漂っていて、このあとがきから作家さんの魅力を垣間見れたように思います。


『汝、星のごとく』  凪良ゆう

きっかけ

書店でもパッと目を惹く表紙に気になりながら、昨年中は遠ざかっていました。
年始に体調を崩してゆっくり過ごしてる時、瀬戸内の海を思い出し手にとりました。

感想と変化

凪良さんの本を初めて読みました。重めなテーマを表紙のような透明感ある言葉で包み込んでいるような印象を受けました。

本書の半ばあたりにひと息いれつつ読み終えてみると、様々な愛や様々な生き方を柔らかく肯定してもらえたような安堵感。

本には読むタイミングというものがあって、他のジャンルの本も読んでみようと読書の幅が広がるきっかけをもらいました。


『星を編む』 凪良ゆう

心動かされた言葉

本作では語りきれなかったこの物語が世に出て『汝、星のごとく』が櫂の作品であることが引き立てられたように思います。

社会問題とまではいかない、けれど確実に人の心に傷をつける些細なことも随所にあって頷く場面も多かったです。

「でも、わたしはもうあの場所には戻れません。……もう息を止めてあの深い海にたったひとりで潜ることはできないのです。」
物語を描くという行為を『息を止めて深い海に潜る』と表現する……

「星を編む」 P134 より

何かを創り上げる行為の孤独と苦しさを美しく儚い言葉で表現されていて
締め付けられるような、込み上げてくるものがありました。

的外れ、プラス勝手な決めつけ。それもしかたない。自分の価値観で整合性のとれる物語をつくる、それが一番簡単で気持ちのいい他者への理解の方法だからだ。

「波を渡る」 P228 より

本書ではとても分かりやすく勝手に決めつけられている話なので少々ズレてしまいますが。

どんな人なんだろう?と興味を持った時点でこんな人であった。と解釈したい心情が湧き、大なり小なり自分の基準値で勝手に判断するってよくあることで、その訳がストンと腑に落ちました。

「決めつけない人になりたい」はわたしにとって重要課題でもあるのでここに残しておきます。凪良さんの『流浪の月』も本棚にあるので、また読むべきタイミングが訪れたときに。


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