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従姉妹の進路決定で考えたこと

先日、歳の離れた従姉妹が進路を決めた。 

地元の大学に進学するとのこと。

晴れて大学生だ!良かった良かった!とはならなかった。少なくとも彼女の両親や親戚など身内は。

彼女の高校は地元で屈指の中高一貫の進学校だった。彼女の決めた大学は偏差値が低く、その高校から進学するにふさわしくない大学と見なされたのだ。その高校の生徒でその大学に進学する生徒は、ここ数年の進学状況を遡っても、恐らく彼女以外にいないのではないかと思う。

彼女は第一希望の大学に落ち、すべり止めの大学にも落ちたのだそう。その大学はすべり止めのすべり止め。センター試験利用で出願し、彼女が合格した唯一の大学だったのだ。

私はその話を母から電話で聞かされた。「なんてバカな決断をしたんだ!」と言いたげな様子だった。

「いいんじゃん?本人が決めたなら。今は学歴の時代じゃないし、どこの大学行ったかではなくて、何をやってきたかが重要なんだし。」

私はそう応えた。

母には私のその反応が面白くないようだった。

実はその時、私はまだ地元でのその大学の評判やレベルなども知らなかった。地元で18年間過ごしたけれど、その大学の存在すら知らなかった。

あまりにも母が「でも」とか「だって」とうるさかったので、電話を切ってその大学について調べてみた。

ググった瞬間、固まった。

「センター試験得点率56%、偏差値35.0(河合塾データ)」

確かに、彼女の高校から進学する大学とは思えない数値だった。

「今は学歴の時代じゃないし、どこの大学行ったかではなくて、何をやってきたかが重要」

そう言ったし、実際そう思っている。でも、この数値を見たら、母や彼女の両親が騒ぎ立てるのも分かるなと思った。

母に電話をかけ直してその旨を伝えたら、ここぞとばかりに彼女に来年再度挑戦するように、私から説得してほしいと頼んできた。それが、彼女の両親の意志でもあるとのこと。

彼女の高校は私の出身校だったし、私は一浪した結果、希望の大学に進学が決まったから。説得するには最適な人物と思われたようだ。

「説得はしないよ。体験談を話すだけだよ。」と言って、彼女と話してみることにした。


実際に彼女と話してみたら、かなりしっかりした意志を持って決断したことが伝わってきた。

・最終的には第一希望の大学で学ぶのと同じ免許が取れる。

・授業料が一部免除される。

・鶏口牛後。(進学校である高校が好きではなかった。もともと成績も良くなかった。第一希望の大学やすべり止めの大学では希望学部はレベルが低い方だけれど、この大学ではレベルが高い方。そんな中で頑張ってみたい。)

・大学卒業後は大学院も考えている。


「もう1年受験勉強するのがイヤなのかな。」「他の子が大学に行くのに自分だけ大学生じゃないのがイヤなのかな。」と少しでも考えた自分が恥ずかしくなった。自分なりの考えを持っている彼女に何を説得することがあるのか。本人の考え、意志が伴わない浪人を1年させたところで時間の無駄になるだけだろう。若さ故、経験不足故の読み違えもあるかもしれない。実際入学してみたら「やっぱり違ったわー。」となるかもしれない。でも、それは彼女が経験から得た貴重な気づきだし、そこから方向転換することはいくらでも可能だ。とにかく、やってみたらいい。

一応私の体験談も話してみたが、そんなことで気が変わるような彼女ではなかった。母からの伝聞ではなく、彼女自身と直接話して意志を聞けたのは本当に良かった。

彼女の両親(私の叔父叔母)は夫婦揃って高校教師をやっている。物腰やわらかで人に優しく家族を大事にする尊敬できる二人である。幼い頃に持った「なんとなく偉くて立派な人たち」という子供っぽいイメージを、私は今でも持っている。その二人が、あわよくば娘の気持ちを変えたいと思っているのが意外だった。真っ先に子供自身の意志を尊重しそうなのに。ま、子供を少しでも良い道に導いてやりたいと願うのは当然のことか。

息子が1歳2ヶ月、保育園2日目の子育てど初心者の私が言うのもなんだけれど、ほんとになんだけど、良い道なんてないと思っていて、その子が選ぶものがすべてだと思っている。何を選んでも本人の意志があれば大丈夫!と信じている。どんな紆余曲折あっても結果大丈夫!と信じている。 (なーに寝ぼけたこと言ってんだ。って思われた子育てを終えた大先輩たち、どうぞ鼻で笑ってください。子育てど初心者の戯言です。)

子供が成長してくると、そう余裕ぶっこいていられなくなるのかもしれない。でも今のところはこれでいい。私もまた子育てという道の途中。「やっぱり違ったわー」と思ったら、それも私が体験から得た貴重な気づき。方向転換すればいい。

彼女自身の選択が、彼女を素晴らしいところへと運んでくれるに違いない。










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