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性別不合の移行。費用・時間・効果が高いのは?見通しが重要

【記事の結論】
 
性別不合の移行期には、簡単なできることから始めることで自信が持てるようになる。周囲からの目線も気にしなくて良い。


1.移行期初期の考え方

 性別不合の移行期のプロセス等に関する研究はほとんどありません。また、移行期についてはインターネットでも情報収集が困難です。やることが見つかっても、見通しが持てないことがほとんどです。その結果、「はやくやる」ことが強く意識されるようになり、心の安定が損なわれます。

 落ち着いて移行準備を進めるためには経験者のサポートがあれば良いのですが、身の回りに経験者がいるとは限りません。さらに、当事者間差別の問題も根深いので「自分が味わった苦労を他人にもさせようとする」ことがあります。

 こうした状況が、移行行動を抑制し、メンタルヘルスへの悪影響をもたらすのではないかと、私は考えています。

 なので、「見通し」に着目し、移行行動に役立ちたいと思って書いています。ちなみに、MTFを想定して書いています。

2.性別不合と美容室

 性別不合の悩みは「見た目」に起因することが多いと思いますが、そのうち、予算と時間と効果の効率がかなり良いと思われるのが「ヘアスタイルの変更」です。

 ヘアスタイルの変更には、そこまで時間がかかりませんが、慎重に行うのであれば1年の見通しを持つと良いです。

 なお、「まさにメンズ」的な短髪から、いきなり「まさにレディース」的な長髪にする、というように一度で変更してもいいのですが、ヘアスタイル以外の部分との「似合い度」が低く、ちぐはぐな感じになる可能性があります。

 また、美容師に注文するにもかなり勇気がいるのではないかと思います。

 それと、「どういう髪型にしたいのか」という選択よりも、「美容師への注文」が一番のハードルになると思います。

 このハードルをクリアするためにLGBTフレンドリーを宣言している美容室に行こうと考える人も多いと思いますが、実際、遠くて行けない事の方が多いと思います。

 そこで私が考える方法は、まず、そこそこの値段がする若いおしゃれな美容室かつ、比較的小さめな美容室を探すとよいと思います。そこで、「ウルフ」や「ネオウルフ」を目指したいと言いつつ、そのために伸ばそうとしていると伝えると良いと思います。変な反応が返ってくる場合には、二度とそこに行かなければいいのです。伸ばしたいと言う希望を伝えれば、髪を大きく切られることはありません。

 ウルフ系が嫌ならマッシュ系でも良いです。

 それと、希望を伝える際に写真を見せるのが良いです。メンズのウルフとレディースのウルフで、似ている写真を探して、それらを混ぜながら提示して、「こんな感じ」と伝えれば良いのです。

 レディースのヘアスタイルの場合、メンズとの骨格の違いからどうせ写真通りの仕上がりにはなりません。ただ、美容師はプロなので、かなり近づけてくれます。

 こんなふうにして、美容師の反応を伺いつつ、徐々にレディースの写真だけ提示するようにするといいです。

 ただし、「ヘアスタイル」はその人の骨格や髪の固さ、癖などによって「似合うかに合わないか」が物理的に制限されます。ほとんどの人に似あうスタイルは「ショートボブ」だと思いますので、まずは、そのあたりを目指すと良いと思います。

 留意点として、ウルフにすると、顔の横の髪が短くなったりしますので、横が刈り上げられているようなヘアスタイルを提示しないように注意するといいです。ボブに近いウルフもありますので、探すと良いと思います。

 前髪をどうするか、前下がりか前上がりか、丸みをつけたいかどうか等も考えておくと良いです。前髪の長さは、眉上、眉、眉下、目の上、目の真ん中、目の下といったワードで注文するといいですね。

 このようにして、少しずつ美容師との関係を作り、髪型も自然に変えていく事ができます。急ぎたい気持ちもあると思いますが、1年~1年半を目安にするといいのではないかなと思っています。

3.性別不合と姿勢

 次に効果的なのは「動作」です。極端に「女性らしく」や「男性らしく」すると、イメージだけが先行して、かなり変な人になります。

 まず、1ヶ月くらい、周囲を観察してみると良いです。言葉が悪いのですが、女性であってもがに股で、どたどた歩いている人や、極端な内股でおかしい人もかなりいます。まず、そういう人を観察して、自分のなかのハードルを下げましょう。

 そして、足をまっすぐキレイに運ぶこと、手を自然にふること、胸をはって姿勢よく歩くことをしましょう。きれいな姿勢は、性別と関係ありません。
 一度は自分の思う綺麗な歩き方をしてみましょう。おそらく、周囲から見られますので、その視線には耐える必要はあります。その視線に耐えられずに元の動作に戻ると移行になりません。

 「見てくる人」は、「あの人、自信がありそうだな」とか「あの人、堂々と歩いているな」と思っているはずです。それが、自分のコンプレックスを刺激して、結果的に、「きも」とかぼそっと言ってくるかもしれませんが、それはその人の個人的な問題であって、私たちには関係ありません。

 そうやって攻撃しないと自分を守れない、未成熟な人間です。

 キレイに歩くことは、たいてい、多くの人がそうしたいと思うものだと思いますし、悪いことでは全くありません。ただ、堂々としすぎて人の邪魔をしないようにだけ注意ですね。

4.性別不合と脱毛

 これも、効果が高いですが、費用も時間もかかります。病院が言う「すぐ終わる・早く終わる」はキャッチのための文句で、実際には何年かかかるのが普通ですし、40代くらいまでは、毛穴が新しくできる事があります。

 なので、時間もお金もかかります。脱毛直後でも毛が伸びて来ますが、肌にダメージを負っているので剃毛ができません。してもいいですが、肌がボロボロになります。

 意外と、努力を要するのが脱毛です。

 ただ、理由はどうあれ、脱毛は普通の事になってきています。病院でも、患者同士が関わることはありませんし、むしろ「かかわってくれるなオーラ」をびんびんに出している人だらけです。顔見知りがいることも、ほぼ無いと思います。

 知り合いに会っても、実際に気にする必要はないでしょう。「コンプレックスだから話したくない」とはっきり伝えれば良いのです。

 記事が長くなりましたので、この辺で終わります。

 最後までお読みいただきありがとうございました。