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一人ひとりの表現~Rくんの「トルコ行進曲」~

ダメと言わない、無理にさせない、したくなるまで待つ、ミュージックケア。初めてミュージックケアに出会ったとき、リトミックの時走り回って全く参加しない長男の様子に悩んでいた私は、「ダメと言わない、無理にさせない、したくなるまで待つ」という言葉に非常に勇気をもらいました。今月の「親子であそぼう!ミュージックケア」で、走り回る長男に悩んでいたころとは違った、「ダメと言わない、無理にさせない、したくなるまで待つ」について、考えたことがあったので、noteに書きたいと思います。

今回のお話*****************************

□ 感じるままに鳴らす

□ こっちのほうが音楽に合ってると思うよ

□ 次のステップ

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□ 感じるままに鳴らす

この日のセッションのラストにもってきた「トルコ行進曲」。たくさん鳴らして、走って、声を出して発散して、最後に改めて音楽に集中して楽しんでほしい、と思って選んだ曲でした。私の横にいたRくん。トルコ行進曲をよーく聴きながら、自分の思うがままに鳴子を鳴らしています。しーんとした中でもなり続けるRくんの鳴子。気にならないわけではありません。いや、とても気になります(笑)が、ここは「ダメと言わない、無理にさせない、したくなるまで待つ」。とにかく、自分自身が、音楽を聴くことに集中し、トルコ行進曲を楽しみました。

□ こっちのほうが音楽に合ってると思うよ

ミュージックケアが終わった後、Rくんがこんなことを私に話してくれました。「ナナエちゃん、トルコ行進曲のことなんだけど、ぼくの鳴らし方のほうが曲に合ってると思うんだよね」おー!そうかー。正直ちょっとびっくりした私。「うんうん、Rくんのリズムなかなか良かったと思うよ」というようなことを話しました。そして、思いました。あのとき、「Rくん、リズムがちがうよ!私に合わせて!」なんて言わなくてよかった、って。(言うつもりもなかったのですが)

Rくんは「トルコ行進曲」をよく聴いて、自分の感じたままに鳴子を鳴らしていた。ここは小さく鳴らしたいな、とか、ここは早く鳴らしたいな、とか、考えながら自分なりのトルコ行進曲を演奏していたんです。私は、まず、Rくんが、のびのびと、自分の表現ができていてよかった、Rくんにとって、ミュージックケアが自由に自分の表現ができる場所でよかった、って思いました。

□ 次のステップ

音楽をじっくり聴いて、自分なりの表現ができるRくん。このままでも充分音楽を楽しめているRくんですが、ここからの成長が、私がミュージックケアってすごい!って思う部分なんです。

Rくんは今、自分なりに音楽を聴いて、楽しんで、自由に鳴子を鳴らしている。まず、楽しんで参加できている、これがとても大事。楽しんで参加しているから、次回も、その次も、続けて参加できる。これを続けているうちに、あるとき、「はい ♩ ♩」、最後に「じゃん!」って終わるところなど、周りの人たちとタイミングが合う楽しさ、気持ちよさに気付く。全員が音を鳴らさない、しーんとした瞬間を素敵だと感じる。こういう、「誰かと合わせるって結構楽しいんだな」「みんなとやるってのも悪くないな」と感じる経験が積み重なると、本当の意味で、周りの音が聴こえるようになり、その場にいる人たちを意識できるようになる。Rくんの世界が広がっていく。

Rくんが、みんなとリズムがあった時の楽しさ、気持ちよさを感じるまで。ここはリズム合わせたいな、と思えるまで。私のやるべきことは、待つこと。ただ待つのではなく、私自身が音楽を聴くことに集中し、心から楽しんで鳴らすこと。これが大事だなって思います。今回、Rくんに、とっても大事なことを考えるきっかけを与えてもらいました。

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